December 01, 2005

ジャイアントロボ原作コミックス版を読む

 たまたま本屋で立ち読みしてたら、驚いた。
「ジャイアントロボ」のコミックスが出ているではないか!
それも横山光輝の!まさしく原作のコミックスである。

 子供の頃は特撮小僧だった私にとっては、ジャイアントロボはあくまでも
実写のフィルム作品であったのだが後にこの作品が巨大ロボットものの
開祖、横山光輝の原作であるということを知った。
なのに、原作のコミックスはなんでか読めないままだった。なぜ?

 特撮もののコミック版というと実はけっこう出来のいいのが多い。
有名なのは桑田次郎版の「ウルトラセブン」だと思うけど、やっぱあの人
のクールな絵柄が冴えわたっていた時期の作だし脚色もいいので、とても
面白く読めた。この人の場合、とにかくキャリアが長いもんだから(デビュー
が12歳!)あまりにも作品が多いけど、そのほとんどが絶版状態だった。
復刊されたのも多いけど、…高いぞ、おい。
「8マン」をはじめ平井和正原作の作品は面白いのが多い。

あと、「ウルトラマン」のコミック版はなんと楳図かずおが描いていたのが
あるのに驚いた覚えがあるが、だいぶ前にサンコミックスで全3巻、復刊
されたのだけどこれがいまや高額商品。(桑田版ウルトラセブンもサン
コミックスで同時に復刊されてた)全巻揃ってればそりゃもう大騒ぎ。
これもやはり、あの楳図風の絵柄だからどうなってんだ?と思って当時
読んだけど、そんなに意外なことはやってないです。手堅くコミック化して
おります。確か、巻末に楳図かずおのインタビューがついてたはず。

 これらの特撮もののマンガ版といえば、まず出てくるのが一峰大二。
「ウルトラマン」「ウルトラセブン」も実は描いてたし、後に主にピープロ
特撮番組専門の漫画家として「スペクトルマン」とか「怪傑ライオン丸」とかも
描いてたと記憶している。この人の場合、絵がいまいち巧くなかったので
子供心に「やっぱ桑田次郎のウルトラセブンでなきゃ」と思ったものだった。
今になってみると、こっちはこっちで味がある。桑田次郎とは兄弟弟子に
なるのだそうで、言われてみると画の「間」というか、語り口というか、似てる
ような気がする。

 んで、「ジャイアントロボ」を立ち読みしてみたわけであるが…こりゃすごい。
時期的には横山光輝がノリノリの時期である1960年代後半の作だからまず
間違いはないと思ってたけど、まず草間大作が事件に巻き込まれてからの
お話が長い。
悪の組織ビッグファイアが某国にて開発中の巨大ロボットGR1は、その作業
中に事故が続発し計画が遅れに遅れていた。その某国に留学しにやってきた
草間大作は国際警察組織のスパイに間違われ、ビッグファイアに身柄を拘束
される。作業を妨害していた内部のスパイをあぶりだすことに成功したビッグ
ファイアは自白剤まで使うのだけど大作には効かない。そりゃそうだわ、うそ
ついてないんだもん。
そしてとうとうGR1が完成。しかし、その起動にはとにかく高電圧が必要なので
雷を使って(だから、この製造基地は落雷の多い場所にある)起動作業にかかる
と予想外の高電圧が必要で装置がオーバーロード。どっかーんと爆発して基地は
壊滅。地下牢にいた大作はこのおかげで脱出に成功したら、GR1の音声認識
装置にでくわす。わけがわからないまま大作はいろんなことをくっちゃべるので
彼の声がそのままGR1の唯一の操縦者として登録されることになる。
そこへ現れる国連特別捜査機構の皆さん。大作を救出し日本に帰す都合上GR1
を日本まで曳航する(大きくて運ぶのに難儀だから)ことになる。大作も腹をくくり、
捜査機構に協力する意思を固める。そりゃ、「オールドボーイ」じゃないけど
いきなり監禁されたら頭にくるわな。
このGR1を奪還すべく、ビッグファイアは追撃を開始。GR2を送り込み激闘を
繰り広げることになる…というのが上巻。(下巻は、なかった)このGR1がのちに
ジャイアントロボとなり、ビッグファイアと戦うことになるわけなんだけど、うむむ、
この海上での戦闘のテンポ、絵柄はどこかで見たような?と思ってたらやはり、
このマンガの上巻分にあたる前半部は小沢さとるが描いていたのだった。
この当時、小沢さとるも「サブマリン707」という潜水艦アクションの大傑作
をものしていたけど、当時多忙を極めていた横山光輝の代打としてこの作品を
描いていたらしい。実際、このふたりの絵はよく似ているからそれはそれでまぁ、
編集側ではよい選択だったと思う。それにこの海上でのGR1争奪戦の面白さは
すばらしい。さすがは小沢さとる、いい仕事してます。
途中から横山光輝本人が画も描くようになり、ここからの分が一度だけ出版された
ことがあったそうな。
しかし、横山先生この作品の前半部分(小沢パート)が気に入らなかったらしい。
「私の生きているうちにこの作品が出版されることはない」
とまで言っていたんだそうだ。出来が好みでなかったのが最大の理由だと言われ
ていたけど、読んだ感想としてはこの小沢さとるパートに嫉妬してたんじゃないか
と思う。面白いんだもん。

時は流れ、横山光輝は2004年4月に寝タバコで火事になり全身やけどを負い
亡くなる。結果この作品の完全版が世に出たと思うと、なんか複雑。
そこまで言うなら最初から自分で描き直せば良かったじゃん。

このとき本屋で同時に見つけたのが「マイティジャック 完全版」。作画がなんと!
横山まさみち!あの「やる気まんまん」の!
読んでみたら、これがまた面白い。

「マイティジャック」は1968年に円谷プロが製作した、当時としては驚きの特撮
アクションで一部では伝説化している。まず、「民放初の1000万円番組」一本あたり
の制作費が1000万円というのは超大作だったのだ。そして、夜8時のゴールデン
タイムの1時間番組として製作された特撮アクションだったのだ。
当時岩手県でコドモしてた自分には見られるわけもなかった(フジ系ネットなし)
けど、後に東京でオールナイトの上映イベントで見る機会があった。
そこそこ面白い作品でした。というか、興味のほうが先にたち、いまいち物語とか
ちゃんと観られなかったので今となってはくやしい。
でも、今回このコミック版を読んでみて思ったが、このマンガのほうが面白い。
このスピーディな展開。そして次から次のどんでん返し。誰が味方で誰が敵かが
ようわからなくなる、悪の組織Qとの激闘が源田隊員を主人公に描かれている。
番組本編では当隊長(二谷英明)がメインで、源田は二瓶正也が演じていた。
…イデ隊員では、漫画版のこんなスパイアクションにするのは難しいなぁ。
また驚いたのが横山まさみちの画のうまさ。「やる気まんまん」しか知らなかった
あたしには新鮮な驚きでした。高かったけど、買ってしまった。

「マイティジャック」は意欲作だったけど、視聴率がふるわず1クールで一旦
打ち切り。子供にターゲットを変え「戦え!マイティジャック」として30分番組に
なった。諸行は無常である。

他にも、ジャイアントロボを代打で描いた小沢さとるは交通事故で一時療養生活
していたが、707の新作をいまだ描いているらしい。ちゃんと描いてください。
桑田次郎は名前が桑田二郎になり、最近はこんなことしてるらしい。
楳図かずおは手を故障したとかで、作家活動が現在中断している。
一峰大二は、現在イラストの仕事がメイン。
横山まさみちはなんといっても「やる気まんまん」とかの艶笑まんがが有名だった
けど、まじめな歴史まんがも最後まで手がけていた。2003年10月にお亡くなりに
なってます。
残念なことは多いものである。

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