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February 27, 2016

南部騒動 妲妃のお百

 本当ならこれ以外にもいろいろ見てるんで、これより以前に見た「他人の顔」とか「白夫人の妖恋」とか、「女巌窟王」とか書くべきものもあるんだろうが

 今回は書くのが簡単そうなのでこれにしたのでした。小畠絹子の出てる映画のパターンって、だいたいはささやかながら幸福な生活を送るヒロインがどんどん転落していって落ちるところまで落ちて、でも最後は何とか希望のもてるオチになるのが定番なので、見てみたら今回もこの展開だったんだものなぁ。

南部騒動 妲妃のお百
監督:毛利正樹
脚本:大貫正義・葉山浩三
制作:大蔵貢

本来は南部藩でなくて秋田佐竹藩なはずなんだが、まぁいいや。

国屋敷があるから江戸なのかな?南部藩の御用米を一手に取り扱うのは桑名屋徳兵衛(岬洋二
ここで働く惣七(武村新)の一人娘・お百(小畠絹子)は人気者。そりゃ美人だからねぇ。
小畠絹子の転落はけっこう早く始まる。いきなり父の惣七が運んでいた御用米の米俵の下敷きになり重傷を負ってしまい、働くことがかなわなくなってしまったのだ。
そのかわいそうな様子に同情したお百のあこがれの男前の南部藩士の内海幸次郎(明智十三郎)は見舞金を徳兵衛に預けるんだが、徳兵衛はそれを着服。下心丸出しの徳兵衛は同情してるフリをしてお百を住み込みの女中として働いてもらうことにした。
まぁこれでやれやれひと段落、という流れになったところでお百は盗賊の不知火小僧(中村竜三郎)の捕物に遭遇、でもお百は不知火に脅されて捕り方に彼のことを教えなかったので、彼はその場をやりすごすことに成功。
「またな」と去る不知火小僧はこののちいろいろと関わることになります。

やっぱり、案の定、お百は徳兵衛に手込めにされてしまい、徳兵衛は彼女を妾にすると父親の惣七にわざわざ伝えに行きます。徳兵衛が留守にしている間にお百に届けられる内海さまからの手紙、お百は切ない気持ちを募らせるのでした。
で、惣七に彼の娘のお百を妾にすると伝えた徳兵衛、当然のごとく反対されます。
「俺はおまえが藩の御用米をくすねてんのを知ってんだ!出るところ出てやる!」
と寝たきりの惣七に凄まれた徳兵衛、カッとなり惣七の首を絞めて(スリーパーホールドだけど)倒してしまいます。
駆け込んできたご近所さんから父が大変と伝えられたお百は急ぎ家に戻ると惣七は虫の息。
惣七は最後の力を絞り徳兵衛にやられたとお百に伝えこと切れる。お百は復讐を誓います。

これ以後、お百はどんどん大胆にお妾さん稼業に精を出していく。
徳兵衛の女房・お初(加藤欣子 「女競輪王」でも活躍)が見ている前でも大胆にいちゃついたりして、どんどんお初の怒りはつのっていくのでした。そして、どっかの宿に二人がしけこんでいる現場にお初乱入。なだめる徳兵衛だったが、結局口論になりお初は徳兵衛に突き飛ばされ階段から転落し絶命してしまう。
桑名屋の苦難は続くもんで、大嵐が来てしまい持ち船三隻が全て沈んでしまい、ついに事業停止。残った家財を越前屋に売り飛ばし都落ちするのでありました。
その道中、お百は不知火小僧に再会。お百は不知火の手を借りて徳兵衛に復讐を開始。
不知火が徳兵衛の財布を隠し、困っているところに不知火が善意で金を融通してあげるふり。
そのついでに道中、不知火も同行する。地獄谷にさしかかったところ、お百は今までの徳兵衛への恨みつらみをぶちまけ持ってきた短刀で刺して、不知火の助けを得て崖下に落してついに復讐を遂げるのでありました。

それからのち、お百はいつのまにやら深川の料亭で小春という名で芸者にとらばーゆ。不知火はどこいった?
南部藩の江戸家老・吉川外記(芝田新)はそんな芸者のお百に心惑わされて内海をダシにこそっとあいびき。そこで外記は恐るべき陰謀をお百に伝えます。彼の計画は、お百を腰元として殿の元に送り込みその実は自身の子をお百に産ませ、それを南部藩の世嗣としてしまい南部藩二十万石(だったかな)をわがものにしようというもの。この計画に乗ったお百は八重菊という名で外記の営業の結果、見事に殿様(伊達正三郎)に気に入られ腰元に収まります。
それでもお百が忘れられない存在は、内海幸次郎さま。ドキンちゃんみたい。
一方の内海、彼は本流派の中心メンバーとして南部藩江戸屋敷にて勘定方として働いておりました。そんな中で外記がいろいろ金をバラまいていることが判明。江戸家老の谷口一角斎(久保春二)と困ったもんだと相談しておりました。
そんなこんなしてるうちにお殿様が出府してきて、使途不明金は内海が着服してると外記が殿様にウソを吹き込んでしまい、殿はこれを信じちゃったもんで内海はお目通りもかなわなくなってしまいます。
これは困った、と島耕作みたいになった内海は国表の家老、津島掃部介(林寛)に事の次第を手紙に書いて送ります。なんとか内海を守りたい掃部介は内海に何とかして外記の悪事の証拠をつかむように指示。たまたま一角斎の娘、糸路(やっぱりかわいいお姫さまぽい役はこの人、北沢典子)が行儀見習いに国屋敷に勤めに入っており、八重菊の世話係を仰せつかっていることを本人から聞き、糸路に八重菊の監視役をさせることにします。
内海も自ら八重菊の様子を見張っていますが、そこに久々に不知火小僧が登場。また捕物になります。
でもこれはおまけみたいなもんで、八重菊(お百)は殿に気に入られているという事実を利用して外記との関係もあんばいよく保っているのであります。
高僧の行雲(大谷友彦)の祈祷により、南部家代々短命なのは先祖が殺した白蛇のたたりのためなので、その白蛇のたたりを除くのには毎朝冷泉を飲み祈祷所で白蛇を安んじるべしという指示が伝えられます。同時に、不知火小僧がお百の現状を知り自身を屋敷にかくまうよう要求してきます。
お百は外記と相談し、八重菊がお百であった過去を知る不知火小僧を殺すことに。たらしこんでその隙に斬り殺すつもりだったのですが、これが失敗。お百が切りつけて傷を負わせただけで「おべえて(覚えて)やがれ!」との捨て台詞を残した不知火には逃げられてしまうのでありました。
翌日、糸路はこそっと内海に会い、彼に短刀を渡します。それはお百が不知火に手傷を負わせたときのもので、血のりが残っています。八重菊の部屋で何かあったに違いないと内海は確信。その様子を不知火小僧は見ていました。
そんな中、ありがたい冷泉を毎日飲んでいる殿様は体調がどんどん悪くなっていきます(やっぱり)
一方で短刀がないことに気付いた八重菊ことお百と外記、糸路の行動を怪しみウソの手紙をことづけて使いに出します。当然、中身を改めようとした糸路はその現場を外記に押さえられ捕まってしまいます。誰の仕業かを糸路に吐かせようと外記は彼女を縛り上げ拷問するのでした。外記といっしょに糸路を責める侍は泉田洋志であります。が、その様子を見ていた不知火小僧はこの状況を内海に知らせるのでした。なにゆえ自分にそんなことを教えるのかちょっと疑問に思う内海でしたが「早えとこ助けに」とせかされ二人で糸路救出に走ります。
同じころ、一角斎は怪しい侍たちに襲われます。その場に駆けつける内海と不知火小僧でしたが一角斎は倒されてしまうのでした。
そんな寄り道しながらも糸路救出に突入する内海と不知火、大立ち回りのすえ糸路を助け出します。
このシーンの中村竜三郎の「ここはあっしが引き受けた!おめえさんたちは早く!」というj台詞が気持ちよく響きます。
そのまま早馬を飛ばし南部国表へ駆けつける内海は掃部介に八重菊の素性を報告するわけなんだが、どの証拠で?糸路を助けるのに協力してくれたのに不知火小僧を「怪しげな盗賊」なんて言ってるし。
このままでは殿の命が危ない、と掃部介は急ぎ江戸に上ります。だけど、殿は「心配ないから国表に帰ってよい」と掃部介を帰そうとします。ならば、と掃部介は内海幸次郎の勘定方への復職を願い出るわけでしたが、なんでか八重菊もこれを殿にお願いします。内海が来てるってんで舞い上がる八重菊ことお百、深川端の料亭で会いたい旨の手紙を彼に渡してしまうのでした。掃部介と内海は何で?と疑念を持ちますが、復職できたのも八重菊の口添えあってのこと、何かいわくがありそうだってんで内海は八重菊と会うことにします。
待ち合わせの場所に来てみると、八重菊があっさり自分の素性を内海にバラし、ちょこっと昔話に花を咲かせたくらいにして今回の企みの中身まであっさりばらしてしまうのでした。内海も内海で、言われてやっとこさ思い出してるけど。そんなに内海のことが好きだったんならこんな悪だくみに加わるなよなー。
とにかく、「内海さまのいる南部藩という話に心惹かれ、外記さまの口裏にのったあさはかな私。いつのまにやらこんな悪い女になり一大事に関わってしまいました(泣)」なんてあっさり白状したのでこの騒動も一気に終幕にむかうわけであります。
(たぶん)翌日の江戸屋敷、掃部介が外記を詰問しています。例の、内海が糸路から手に入れた短刀の血のりの由来を問うていましたが、外記は当然しらばくれるわけでした。でもそこに内海が不知火と糸路を連れて登場。
「この者たちに覚えがあるはず」と問い詰めます。さらにそこに八重菊ことお百「ほほほほほほほほ」と笑いながら登場、外記のすべての悪事を殿にバラしてしまうのでした。予定調和でここからは開き直った外記一味vs内海と掃部介ら主流派との大立ち回り。
当然のごとく不知火小僧の中村竜三郎は見せ場がいっぱい。持ってるエモノが短ドスだったはずがいつの間にか長ドスになってますが、気にしちゃいけない。糸路も殺陣で大活躍。
内海の明智十三郎の殺陣がやはりここではメインになりますねー。そして、ここまでただいるだけでさっぱり目立つ場がなかった植木主水(村山京二)が大活躍。そんなこんなで予定通りに外記は内海と不知火のツインビーム攻撃により倒されます。死ぬまでけっこう時間がかかります。
それを見届けた八重菊ことお百、その場で自刃しようとしますが不知火と内海とに「早まるでない」止められ、のちに尼僧になってしまうのでした。様子を見に来た内海と糸路を見送るお百の姿で本編は終わります。


とにかく、テンポが早いこと早いこと(笑)そして、小畠絹子さんはやっぱりよその映画会社だったら大成できたろうになぁとしみじみ感じる。よその制作会社に比べてあまり裕福でなかった新東宝なのですが、ことさら現代の目で見ても時代劇にかかってる手間ひまは半端なもんじゃないです。いつもどおり、ジェットコースター展開で運命に翻弄されていると思われる小畠絹子が見られるという安定感がすばらしい作品でした。
でもなぁ、オイラ的には南部騒動だってんで見てみたかったのに物語の主な舞台は江戸の国屋敷。
もっと国表の様子も描いてほしかったです。

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