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November 28, 2013

女競輪王(無敵の前田通子)

 くだらないくらいにささやかな希望だったのが、この映画を見ることだったんだけど

 ほんとにくだらない望みだよなー

 なんでこれが見たかったかというと、最近はとにかく昔の新東宝映画をなかなか見る機会がなくてCSで見るくらいになってる上に、DVD買って見るにもかつて新東宝の作品をリリースしてたテックコミュニケーションズは廃盤にしちまった(その後バップが出してるのもあるけど)おかげで、過去に流通してたソフトは中古市場でもどえらい高値で取引されてる(というか、値付けが異常すぎ)のでなかなか手が出ない。そのひとつがこの「女競輪王」
おかげで、見る機会はないかもと思ってたがたまたま借りて見ることができたのはありがたいかぎり

 ではあるのだが

 見たからってどうというもんでもなかったかも(笑)

 主人公の椎野美樹(前田通子)は千葉の魚屋の娘。将来を誓い合った婚約者・五十嵐健一(杉江広太郎)がいてラブラブなんだけどいきなりの意思表明。
「わたし、競輪選手になるの」
結婚をあえて遅らせてまで何で競輪選手になりたいのかよくわからないけど、とにかく競輪選手になることに決めた前田通子は杉江広太郎の父・五十嵐源造(小倉繁)に頼みこんで競輪学校の入学費用など15万円を借り、入学する。
ちなみに家には父親はいないみたいで、母の友枝(花岡菊子)が主に家の切り盛りしてて、家業の手伝いは妹の正枝(北沢典子)にまかせて前田通子は競輪学校に。
競輪学校の実地見学でダービーの行われている後楽園競輪場まで行って、優勝したスター選手の渋井三枝子(阿部寿美子)に会ってさらに気持ちは舞い上がる。「お姉さま」となついている姿は何なんだろうか。強くなるための方法を教えてほしいとか何とかお願いするんだけど、お姉さまには「それは自分で考えることよ」とソデにされる。そりゃそうだろ。
めでたく同期の小西好子(江畑絢子)と原慧子(遠山幸子)といっしょに卒業しB級選手になった前田通子、千葉でのレース開催に出場が決まったんで自主トレ開始。ここでスター選手の倉本信也(沼田曜一)が同じく自主トレしていたので、彼の後追いでさらに強化自主トレに励む。でも倉本=沼田曜一はいかにも前田通子のカラダだけに興味があるみたい。それを生殺しみたいにあしらう前田通子は何なんだか。
好子や慧子と開催地の旅館で風呂など入ってサービスカットを提供していると古参選手の河野菊(加藤欣子)に呼び出され、今回のレースで負けると15連敗になり選手を辞めさせられてしまう秋山久子(宮田文子)のために勝ちを譲るように強要される。そんなこと気にせずに前田通子はぶっちぎりで勝利。加藤欣子に覚えとけよとすごまれつつも、負けた宮田文子は子どもを抱えたまま選手をクビになるわけで、その姿を見て涙を流しつつも気持ちを引き締めるのであった。
そんな姿を見て声をかけるスター選手の倉本、つまり下心丸出しとすぐ分かる沼田曜一は一緒に祝杯をあげようなんつって夜に会う約束をするんだけど、次戦のためマッサージで調整するため約束をブッチした美樹=前田通子の代わりにやってきたのは倉本に気のある慧子。代わりにそのまま慧子とむにゃむにゃしてしまいます。
 美樹はそれからは連戦連勝。27連勝(ほんとかよ)してあっさり借金も返済。
一方の倉本信ちゃん=沼田曜一、健一の父の取引先でもある御手洗(江川宇礼雄)に恩義をタテに八百長を強要される。ここで登場する御手洗の子分には泉田洋志に広瀬康治がおりますな。
これをきっぱりと断ろうとする沼田曜一はちょっとかっこいいんだけど、結局は従わざるをえないみたい。
次回のレースではわざと転倒してしまいます。いやいやながら御手洗のいうことに従った倉本、選手控室でくさってるところで美樹に励まされます。スランプの厄払いに今夜付き合ってくれという倉本に、美樹は
「それであなたの気が済むのなら」と応じるんだけど、これに「殊勝だねぇ」という倉本に対して
「敗者をあわれんでるだけよ」などとすげぇ斜め上からの発言。なんだこいつ。
そこに健一から電話で、北海道に転勤になるので今日中に出発することになった、今夜会えないか、と請われるけど
「行かれそうもないわ」と倉本との約束を優先するんだよな。ますます「なんだこいつ」感が強まります。
行った先のダンスホールで前田通子は「体が破裂するまで愛し合おうぜ」なんてすごい言葉で言い寄られますが、そこに倉本に惚れている慧子が登場。今夜は美樹ちゃんなの?なんてイヤミを言う慧子に
「勘違いしないで。私はレースに負けた信ちゃんをあわれんでいたのよ。敗北を知らない私自身を誇っていたの
などとすんげー受け答えをするのでした。ますます「なんだこいつ」感は強くなります。
慧子が来たことで美樹はさっさと退場、思い直して上野駅まで行き旅立つ健一を見送るのでした。
婚約者のことなんだからさっさと上野駅に行けよと言いたくなります。

のちのレースでも相変わらず美樹は勝利するも、同走の慧子はビリになっちまいます。どうしたの?なんて話しかけてるところに、以前負けるよう脅してきた菊が登場。決勝で二人は走ることになってたのね。どうみてもこないだの仕返しを考えているようにしか見えない、変な気合の入り方してる菊さん。
宿に戻ると慧子はつわり発症。倉本の子供を妊娠していたのだった。いつも通りの沼田曜一キャラの倉本が最近は会ってもくれないと涙する慧子のため、美樹は倉本に慧子の妊娠の事実を告げに行きます。倉本に慧子との結婚を確約させようとする美樹、でも倉本は「慧子も赤ん坊もいらない、おれが好きなのは美樹ちゃんなんだよ」とにべもなく断るのであった。私のよく知る沼田曜一キャラです。
言う通りにしないと競輪の主催元である自転車振興会にことのすべてをバラすと美樹におどされても倉本は言うことをききゃぁしない。
そこに好子がやってきて、慧子が流産して病院に担ぎ込まれたことを美樹に告げます。振興会に自分の名前が漏れていないと知り「じゃあいいや」などと言う沼田曜一を美樹=前田通子は「人でなし」などとなじり2発ばかり顔を張って去っていくのでした。

翌日の女子競輪決勝、レースで勝つことが難しいと知った菊はやけになって美樹に体当たりをかましてしまうもんだから、二人は接触して転倒。美樹は軽傷だったけど菊さんは重傷を負って気を失ったまま担架で運ばれていく。その姿をにらむ美樹でありました。
 病院に運ばれた美樹には好子とその兄・英治(鮎川浩)が付き添ってくれています。
(転倒したもんだから)「これでダービーには失格しちゃったわ」という美樹に、英治は失格したのは河野菊の方で美樹はダービーに出られることを教えるのであった。ダービーとは、つまりは日本選手権(なのか?)全国争覇競輪というのが正式名称(らしい)ここでついに美樹はスター選手の渋井のお姉さまと戦うのである。
胸の目立つトレーニングウェアで、美樹は好子を従えてレースに向けて自主トレを開始。そこで好子は選手を辞めて結婚しようと思っていると美樹に告げます。
「倉本さんも慧ちゃんも、みんな脱落するわね。わたしそんなのキライ!」
倉本さんが脱落したのは、うーん、まあいいか。
それに対して「わたしはミス競輪なんかなれっこない。美樹ちゃんは強い人。勝ち続ける力がある」と励ます好子ですが、美樹の胸中は複雑です。
一方で、源造さんとこの息子の許嫁が美樹だと知った御手洗、源造に美樹に八百長をさせるように脅しをかけるのであります。源造は御手洗に借金もあり、すぱっと断ることができないまま。そしてダービーが開幕。
選手控室で美樹=前田通子は渋井のお姉さまと言葉をかわし、正々堂々戦うことを誓い合います。車券持って大騒ぎする、いかにもギャンブラーなおじさんのガヤにまじって沼田曜一が新聞かなんか持ってアツくなっている姿が映るけど、私の知る沼田曜一がここでやっと本来の姿になった気がする。
激戦のレースを制して、ミス競輪となったのは美樹。
レースの後、渋井のお姉さまから祝福されるとともに自身は引退すると告げられる美樹。来年もダービーで戦いたいと思っていた美樹にはショックな話。
「これからはあなたが競輪界のヒロインよ。わたしの分までがんばって」と励まし、寂しげに去っていくお姉さまの後姿を見て胸中はさらに複雑になります。そこに競輪学校の女子生徒がわやわやとやってくる。敗けたお姉さまは無視され、前田通子を皆「お姉さま」と囲む。一人の女の子(田原知佐子(原知佐子))が進み出て「競輪学校の木下百合子という者です。お姉さまに教えていただきたいんです」と燃える瞳で美樹を見つめる。
これに対して美樹は渋井のお姉さまの言っていた「来年のことはわからない。すばらしい新人が出現するかもしれない。あなたはわたしのライバルよ」という言葉をかみしめつつ、静かにその場を去るのでありました。
そのあと、美樹は八百長させることを断ったため御手洗たちにボコボコにされた源造にどういうわけか出くわし、彼を病院に運んだあとひとり後楽園競輪場にいきこれまでの出来事をかみしめ、ある決意をするのでした。

 後日、また実家の魚屋の手伝いをする美樹の姿が千葉の海辺に。
美樹は競輪選手を辞めていたのであった。そこに現れる健一に「約束じゃないの、結婚するのよheart」と抱きつきます。
「勝手な美樹だって、叱る?」と甘える彼女に
「そ、そんな」
「ごめんなさい、うふっ」ますます「なんだこいつ」感が強いまま、ラブラブな二人が海を見下ろす画でエンドタイトル。


 平たく言うとスポ根ドラマなんだけど、もともと主役が和風美人の前田通子で本編通じてとても胸が目立つので、一応お色気路線はギリギリキープしてる、そんな感じ。女の幸せとは何か?と問いかけたかったのかもしれんけど、まずこんな美人が何故競輪選手になろうと決意したのかは語られず、ストーリーにからむ要素がとてもステレオタイプなのが面白い部分。からんでくるイジワル河野菊が太めの関西弁のおばはん風とか、同期の選手が妊娠させられるやら結婚して辞めていくやらという様子、あるいは自分が打ち破った渋井のお姉さまが引退していく姿に自分を重ねて前田通子が感じる失望感とか焦燥感の表現がそんなところの現れ。
そのくせ「勝つことが全てです」とか「勝負の世界は厳しいのです」とかものすごーい割り切ったこと言っていたのに、思いのほかあっさり選手を辞めてしまう。あれは嘘だったのか?とツッコミをいれたくなります。ツッコミどころはいっぱいあるんだが、マメに書くとすごい長くなる。
割り切りがすごいっていえば、借りた金を返しにいったときに1万円の利子をつけて返すんだけど「これで貸借関係はきれいさっぱりね」だと。なんだこいつ。
だいたい婚約者も気長だよなー。草食系男子のはしりといっても過言ではないかも。競輪学校の卒業式にお祝いに仕事休んで来てくれたってのに「これから行きたいところがあるの」って自転車やら荷物やら預けられて、そのまま家まで持って帰ってあげるなんてただの良い人じゃないか。
それでいて沼田曜一をなんだか自分から誘ってたじゃないかとも思うし。この主人公の描写のおかげで、八百長を強要する悪役の江川宇礼雄もすっかり影が薄くなってるし鮎川浩はとても善良な役だし、前田通子が演じる美樹という主人公はすごい存在です。
ここで舞台となっている女子競輪は1964年まで行われていたもので、今はガールズケイリンという名前で2012年からまた女子の競輪が開催されてるんだそうな。今のケイリンでは、先輩選手を「お姉さま」とかって呼んだりはたぶんしないんだろうなあ。

女競輪王
1956年新東宝
監督 小森白

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November 21, 2013

俺は都会の山男(暴れん坊吉田輝雄大活躍)

 チャンネルNECOの新東宝リクエスト特集のトップで放映されていたのだが、まぁたぶんスカッとポテンヒットレベルの、新東宝らしいビミョーに看板倒れの代物だろうなぁと、見る前には考えておりました。

 タイトルだけ見ると、田舎から出てきたさわやかーな青年が巻き起こす青春コメディなのかと思って見たのだが、のっけからえらいモダンなタイトルバックで少し読みが外れた。もっとクールな都会的な話なのかと期待してみたら、実際にはとにかくアップテンポのドタバタという驚きの活劇映画。

 主人公・朝比奈七郎(吉田輝雄)は直情径行のアツい男。恋人の山代美弥子(三条魔子)が勤務する五井産業の会長・五井五左衛門(小川虎之助)の孫娘・五井ルリ子(万里昌代)が友人ということもあって美弥子の口利きで五井産業の採用試験を受けるんだけど、三次面接の順番待ちでグースカ寝てる始末。ルリ子が会長に友だちの恋人だからということで採用を頼んでおいてOKもとってありながら、七郎は面接で浅川人事部長(大原譲二)とケンカして席を立ってしまう。直情径行すぎる男である。
会社を飛び出したところで南一平(浅見比呂志)にぶつかって、実はそのとき何かをこっそりふところに入れられていた。
追っていた刑事(国方伝)につかまれて、それを振り払って通りかかった白タクの宮本ミキ(星輝美)の運転する車に乗り込んで逃亡する吉田輝雄、アツくなりすぎてスピード違反してしまいます。そのスピードに悶える星輝美はすっかり吉田輝雄にシビれてしまいます。
あっさり白バイに止められ、スピード違反で即刻裁判。担当判事は由利徹で、書記が南利明。二人でアホなかけあいやってるうちにあれよあれよと罰金が確定。でも吉田輝雄の持ってた財布は浅見比呂志がねじ込んでたシロモノで他人の財布だってのにそこから罰金をむjりやり取るくだりは由利徹と南利明のコント。
解放された吉田輝雄を出迎えた浅見比呂志がスッた、その財布の持ち主はユニオン興業の社長・荒川寅吉(沢井三郎)。そりゃ簡単に勘弁してもらえない。
沢井三郎は子分のザギンの政(新宮寺寛)に命じて誤りに行った吉田・浅見コンビをぶちのめさせようとしたら、やってきたのが社長の女・春千代(橘恵子)。彼女に気に入られたおかげで二人は後日お金を返すからということで無事に脱出。
 浅見比呂志の口利きでスナックのバーテンに就職する吉田輝雄。ここでもママ(宮田文子)にモテモテ。しかし、平穏には過ごせない。店のある場所に東京オリンピックを見越してホテルを建てようとしている五井産業の地上げを依頼されていたユニオン興業の政らがやってきますが、これをまた素手ゴロでたたき出してしまいます。おかげでまた警察の世話になることに。とにかく短気ですぐ手がでるんだもんなぁ、吉田輝雄。ちなみに五井産業の社長・亀谷は中村虎彦が演じています。
 性格破綻してるかもしれない吉田輝雄は同棲してた恋人の三条魔子に追い出されてしまう。これがまた小さいリヤカー一台に荷物をまとめて路頭に迷ってるところを、浅見比呂志に待ち伏せされ彼の住む部屋に転がり込むことが決定。でも部屋まで着く途中に通りかかった満腹ホールなる食堂でもめごとに遭遇、吉田輝雄は主人の三遊亭小金馬にからむチンピラ二人をぶちのめし退散させてしまいます。そのお礼をちゃっかりいただく浅見比呂志。
このくだりで登場するのが当時の人気者「お笑い三人組」。小金馬に先代の江戸家猫八に保険外交員の一柳斎貞鳳と三人そろってこのドタバタで活躍。おまけにいるのが音羽美子ときっちりそろってる。そこにやってくる交通課のお巡りさんが木田三千雄で、これまた持ちネタをハジケさせるというあんばい。
このドタバタで吉田輝雄は家財道具を江戸家猫八に持ってかれてしまい、ほんとに裸一貫状態。満腹ホールでの拳にものをいわせてのもめごと処理で浅見比呂志が思いついたのが「喧嘩商会」。つまりはもめごとを吉田輝雄の腕っぷしにものをいわせて処理してそのお礼に金をせしめるという商売を始めます。浅見比呂志の部屋は質屋の二階で、この質屋のあるじ赤倉が山村邦子でここでもまた吉田輝雄は気に入られる。モテモテ。
銀座にある「週刊天国」にやってきた愚連隊をぶちのめして退散させてオネエ編集長の中川(川部修路)と記者の町田エリ(高城美佐)によって記事にされ、これで一気に喧嘩商会は有名に。暴れる吉田輝雄に高城美佐も惚れてまう。おまけネタで、「週刊天国」の表紙は三ツ矢歌子。監督が小野田嘉幹なんだもの。
記事になったことからテレビにも出演し(番組のコメンテーターがコロムビアトップ、司会者がコロムビアライト)吉田輝雄のイケメンぶりも手伝って喧嘩商会は大ブレイク。これまで吉田輝雄に関わった女性たちはずーっとまとわりついてプライベートなどありゃしません。そんな中でも三条魔子は吉田輝雄を忘れられず、こそっと短い逢瀬などかましてしまいます。
 一方で、居座る店子のところに行って暴れるたびに喧嘩商会に叩き出されるユニオン興業は五井産業から見切りをつけられ、店子を追い出す仕事は大日本殉国党にスイッチ。沢井三郎と新宮寺寛も殉国党に加わり、喧嘩商会は日本殉国党の幹部・小松川三次(並木一路)に懐柔されそうになる、が、これも失敗。
作戦変更して殉国党一味は喧嘩商会が恐喝していることをでっちあげ警察に捕まえさせます。
喧嘩商会がいない間に殉国党地上げ部隊は大暴れ。みんなの用心棒で、女にモテモテの吉田輝雄を保釈させよう!ということで女性陣が貯金をおろすやら何やらして保釈金をあっという間にがっつり揃え、保釈された吉田輝雄は他の女を出し抜いた山村邦子が閉じ込めてしまいます。
 当然のごとくほかの女たちからは突き上げられてしまうわけで、そこに春千代=橘恵子が駆け込んでくる。殉国党の酒宴に混ざっていた春千代、明日とうとう殉国党が総攻撃をかけてくるという情報をもってきます。この対抗兵器としてさっさと吉田輝雄を外に出すべく彼女らが揉めてるスキに吉田輝雄は浅見比呂志の手引きで脱走。しかしその条件に三条魔子に会うことになりここでもまたプチデート。そこに殉国党一味が現れてまた乱闘。
やはり無敵の吉田輝雄はエモノ持ってる殉国党にも負けません。浅見比呂志が機転をきかせて火災報知器を鳴らし、消防車のサイレンを警察と勘違いした殉国党は退散。
 たまたまそこにデモ隊が通りかかったことで浅見比呂志は一計を案じます。
 そして翌日、殉国党が総攻撃にやってくるんだけどここで浅見比呂志が誘導するデモ隊登場。
殉国党はデモ隊と大乱闘。そして吉田輝雄は殉国党首脳陣の乗ったトラックを乗っ取り、彼らをよその場所でボコボコにしてしまい殉国党をやっつけてしまうのでした。
 そんな地上げをやっていたとは知らなかった(ホントか?)五井会長は社長と人事部長をクビにして吉田輝雄に入社してほしいと頼みますが吉田輝雄は却下。喧嘩商会もやめてどこかへ行こうとその場から逃走しますがそれを追う人事部長・彼にメロメロの女たち・など。それでも追い付いた三条魔子と吉田輝雄は二人、手を取り合っていずこかへと銀座の街を走り抜けていくのであった。

 とにかくテンポが速い、というか詰め込みすぎな感じ。沢井三郎と新宮寺寛がちょこちょこかます小ネタはまだしも、お笑い三人組のコントにコロムビアトップ・ライトの漫才に木田三千雄のネタ、そして谷村昌彦と桜京美のハイテーン(どういう意味だ)夫婦のコント、そしてそこらじゅうで拳をふるう吉田輝雄。せめて丹波哲郎でも使って吉田輝雄のライバル的キャラでも置いておけば物語の本筋も見えやすかろうになぁ。
それにしても吉田輝雄がモテモテなのだがこんな短気でケンカ早いやつってそんなに需要があるのだろうか。ある意味ものすごい吉田輝雄演ずる朝比奈は頭の中身が心配になる。他にも変なキャラばっかで、スピードに悶える星輝美に高城美佐の昔の青春ドラマによくいた文学少女みたいな変な女子とか、ちょっと力の入りすぎた喜劇になっちゃった。とにかく吉田輝雄が単なる暴れん坊なんで、見ててあまりスカッと爽快な感じがしないんだよなぁ。山男ってそんなに短気な奴じゃないと思うし。まぁ、あれよあれよという間に進む物語がそれをカバーしてる気はする。
 タイトルバックはカッコいいと正直思います。宅孝二の音楽はけっこうカッコいいので、都会的なセンスは十分。出演者も多いし仕出しも多いし、新東宝だからってビンボ臭い作品というわけではないことに感心してしまった。

 今回、この記事をアップするのに困ったのがキャストの名前がよくわからないこと。
映画.comとかのキャスト表はあてにならんし(沢井三郎の名前がないのが驚き)自身の勉強不足もあって殉国党幹部の並木一路にいつもくっついてる若手党員の九州なまりの男(これがたぶん結城孫六=宇田勝哉だと思う)と殉国党総裁の配役が誰なのか、結局わからないままだった。
このへんは後日改めて調べ直してアップし直すことにします。

俺は都会の山男 1961年新東宝
 監督 小野田嘉幹
 音楽 宅孝二

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November 13, 2013

女の防波堤

チャンネルNECOで今月は新東宝リクエスト特集なんだそうで

ラインアップは「俺は都会の山男」「女の防波堤」「波止場の王者」の3本。

なかなか良いラインアップであります。
なんつっても大倉貢カラーはじけてそうなのが「女の防波堤」

物語は、太平洋戦争の終戦後に実在したRAA(特殊慰安施設協会)にまつわるんだかまつわってないんだかのお話。
空襲で住む家を失った主人公、田口ふみ子(小畠絹子)は友人の藤井由子(荒川さつき)の家に身を寄せてたら佳子のおじさん(広瀬康治)に寝込みを襲われ手込めにされそうになって、外に逃げ出したらその辺のチンピラに襲われる、で、ピンチのところをパン屋の男に助けられる。一方でふみ子を追って外に捜しに出た由子もまたチンピラさんたちに襲われてこっちは手込めにされちゃう。
ふみ子はパン屋のとこに身を寄せるんだけど彼の妻が戻ってきて、追い出されてしまい仕方なしに慰安所のスペシャル女性募集に応募、ここで由子と再会する。

ふみ子は隣室の清子(筑紫あけみ)と親しくなるけど清子は開業初日の晩に飛び込み自殺。いきなりナンバーワンのふみ子はこんなとこイヤだって特殊慰安協会事務局に直訴。応対してくれた林(細川俊夫)といきなりデキて銀座のクラブ歌手に転職してここでもいきなりナンバーワン。
ところが細川俊夫にはこのクラブのホステスの朱美(万里昌代)という女がいて、料亭でいちゃついてるとこを万里昌代が急襲。愛想つかした小畠絹子は由子のところに身を寄せようとしたけど見つからない。
訪ねていったクラブでそこのスペシャルガールズさんたちとケンカしてボコられてたとこをアメリカ空軍のブラウン少尉(ジェームス・ヒューズ)に助けられて、連れてってもらったクラブで春江(城美穂)が面倒みてあげることに。クラブで働くふみ子はブラウンとそのままラブラブになって結婚してめでたく子供をさずかります。このお祝いになぜかやってくる細川俊夫。課長はクビになったんで新しく自分で仕事するんだと。
だけど幸せは続かない。ブラウン少尉は朝鮮戦争で戦死。残されたふみ子=小畠絹子は生んだばかりの子供と嘆き悲しみます。

子どもを里子に出してそのままクラブでホステスやってた小畠絹子はコントに出てくるキャラみたいな顔の麻薬の売人の杉田(鮎川浩)の女になります。
舞台はいきなり二年後の横浜。小畠絹子はイカサマくさいルーレットの片棒かついでるのですが売人鮎川のおかげで軽度のヤク中(ヒロポン中毒)になりますが、この組織の実態を警察にバラそうとしたユリ(三原葉子)がリンチされている姿を見て「このままじゃいけない」と一念発起。ほとんど瀕死の三原葉子を連れて逃亡をはかります。
だけどそううまくいかないのが(この映画の)世の常。ジープで追われた結果、三原葉子はひき殺されてしまい小畠絹子も大ピンチ。だけどジープを降りて追ってきた鮎川浩、通りかかったトラックに轢かれてあえなく絶命。
同じくたまたまお客さんの車に乗っていた由子=荒川さつきが通りかかり、彼女のおかげで小畠絹子は入院させてもらいます。
ここで主治医の坂田(三村俊夫)に速攻で一目ぼれされた小畠絹子、あっという間に結婚。
熱海で新婚初夜を迎えたはいいが「君は出産の経験があるし男性経験も多いじゃないかッ!だましたな!僕も好きにさせてもらう!」なんて宣言されてしまい、三村俊夫はしっかりと浮気に走る。
その現場を見た小畠絹子はショックで家を飛び出し、たまたま乗ったイケメンのタクシーの運ちゃん深井(長田健二)と行きずりの恋もしてしまいます。あくる日の彼の書置きには「御用のときはいつでも呼んでください」などと書いてあって、本業を忘れないタクシー運転手(^_^;)

堕ちていく小畠絹子、とうとう有楽町当たりのガード下で立ちんぼの街娼になってしまう。
でもこれも長くは続かない(いや、雪のシーンもあるから長いのか?)ここまで苦楽を共にしてきた荒川さつきが脳梅毒で(劇中ではノーバイって、略して病名を語ってるのがリアルな感じである)狂い死にしてしまう。あまりに恐ろしいその様子のせいか、あるいは友人を失ったあまりに深い悲しみゆえか小畠絹子は街娼を廃業することを決意。大磯のサンダースホームにいると知った、自分の娘を守る防波堤になるんだとやっと前向きに人生をとらえることになりました。早く気づけよ。
有楽町当たりにも細川俊夫がやってきて小畠絹子を捜すけど、それはもう辞めた後だったのだった。

ふみ子がサンダースホームに娘を迎えに行ったら、「娘さんは林さんと浜に遊びに行きましたよ」と女性職員。
現代では考えられないほどゆるいセキュリティに驚くが、まぁそれはともかく行ってみるとそこにはうらぶれた林=細川俊夫と遊ぶ娘の姿がありました。
「ひとめ、君に会っておわびすれば気が済んだんだ」
(抱き上げた娘をふみ子に返して)「君にはこんな希望が残ってるんだ。じゃ、さよなら」
去ろうとする細川俊夫を呼び止める小畠絹子はともに強く生きていこうと告げるのでした。


とにかくジェットコースターな物語の展開の速さにびっくり。おかげでぜんぜん飽きないで見られる。
個人的には最初に細川俊夫が小畠絹子に会って事務所で話を聞いてる時の、いかにも下心ありますよ!という味わいの目線の演技に笑った。
あとは荒川さつきの狂い死にしていくとんでもない様子のカルトな演技が印象に残る。
時代を考えると実際に脳梅毒で死んじゃった人の姿も伝わってるだろうし、変にこの演技がリアルなのである。
これのせいでこの映画は一部でカルトな扱いされてんだろうなと実感。

あとは、物語の最期で「私たちみんな戦争の犠牲になったんだわ。二度と戦争をしてはいけない」なんて小畠絹子が語るけど、それはちょっと(^_^;)この場合は個人の意識の問題ではないかと。

慰安所とかバーとかクラブとかが舞台なので、とにかく女性のキャストが多いので誰が誰だかわかんないとこが多いです。ましてこちとら新東宝歴が浅いし(;O;)これがちょっとくやしい。由子の死ぬあたりで同僚の街娼のお姉さんに好みのタイプの女優さんいたけど、これが誰なのかわからん。
いずれにしろ新東宝の女優って自分的には好みのタイプが多いんで、見てると楽しめるのが嬉しい。

自分の好みはどうもちょっとポンコツな美人らしいと自覚を深めた一本でありました。

 女の防波堤 1958年新東宝
 監督 小森白
 原作 田中貴美子
 音楽 古賀政男
 脚色 小山一夫、村山俊郎

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