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January 28, 2013

地球爆破作戦

いつまで経ってもアップしないのも何なので、ひさびさに書いてみる

日本の国民はテクノロジーへのヲタ的な信頼感が強いのが特徴なような気がする。
今回の原発事故だって、「事故なんか起こるわけないんだから」なんて根拠のない自信が「へのつっぱりはいらんですよ」的に満ち満ちていたので、何か起こったときのバックアップがないままだったのが問題をでかくしてしまったような。
その裏打ちはやはりテクノロジー。「こんだけフェイルセーフを備えてるんだから事故なんか起こる訳ない」なんてシステムへの変な過信がこの結果だったんだよな。
逆に欧米の人々はあまりテクノロジーに対してはハナからは信頼を持っていないようで、それゆえ最新テクノロジーがトラブルを起こす出来事が映画の題材にもよく使われる。
だからって「自然に還ろう」なんて新興宗教的にヌーディストとか文明を拒否した生活を単純に受け入れる精神的なバックグラウンドもどうかとは思うが。

オリエンタルなわが国の地域では物質文明の拡大よりも独特の精神世界を作り上げた。逆に欧米では、物質文明の拡大でさらなる生活の豊かさを作り出した。
でも、哲学っていう学問は欧米では成立してるのが面白いな。「思想」という学問が独自で成立してる。
今回見た「地球爆破作戦」はそういう欧米的な価値観の一つの具現化ではないかッ!などとえらそうに言ってみる。

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地球爆破作戦 Clossus:The Forbin Project
監督 ジョセフ・サージェント
原作 デニス・フェルサム・ジョーンズ
脚本 ジェームズ・ブリッジス

アメリカ政府は巨額の予算を投じてまったく新しい国防システムを開発した。
その名は「コロッサス」。つまりは、人力による情報収集と分析、判断そして決断とをすべて超大型コンピュータのコロッサスシステムゆだねるという画期的なシステム。核戦争になって人間が決定をすることができない状況下でもコロッサスは自分で判断し報復攻撃を行うことができる。
その開発者はチャールズ・フォービン博士(エリック・ブレーデン)。システムの稼働を大統領(ゴードン・ピンセント)に報告し、そのまま記者会見してコロッサスシステムを喧伝する。
システムの稼働を大喜びするスタッフたちと大統領なんだけど、そのさなかコロッサスがメッセージを発する。
「同じようなシステムがある」
コロッサスが察知したのはソ連で開発されていた、自身と同じようなシステム「ガーディアン」
この存在を知ったコロッサスは、ガーディアンとの通信を要求してきた。大統領は当然、機密情報の流出などを恐れて最初は許可しなかったけど、フォービン博士に説得されてしぶしぶこれを認めた。
初めは共通の言語を探しながらおそるおそる始まった両者の通信は短い時間にどんどん内容が高度になり、やっぱり情報の流出を懸念した大統領はソ連の書記長と映像つきのホットラインで会談して、通信を遮断することを決定。フォービン博士とガーディアンの開発者であるクプリン博士(アレックス・ロディン)は仕方なくこれに従い、通信を遮断したのだが、コロッサスは通信の再開を要求。
「再開しなければ処置を行う」というコロッサス。何をするんだ?と大統領とフォービン博士がいぶかるなか、コロッサスはいきなり核ミサイルをソ連のサイオンシビリスクという街を目標として発射。ほぼ同時に、ガーディアンも核ミサイルをアメリカに向けて発射した。
大慌てで警報を発し、大統領はやむなくコロッサスの要求に従い通信を再開させる。これを受けてコロッサスはソ連からのミサイルを迎撃して事なきを得たけれど、ソ連側のミサイル迎撃は間に合わずサイオンシビリスクの街は失われてしまった。

フォービン博士はローマでクプリン博士と会い、今後のコロッサス&ガーディアンへの対抗策を相談するが、これを知ったコロッサスはガーディアンとともに対策を立てた。
二人が相談している場所に現れたソ連秘密警察はクプリン博士を射殺。フォービンはヘリで連れ戻されてしまう。
ガーディアンは二人の会談をやめさせなければモスクワに核ミサイルを撃ち込むとソ連政府を脅迫していたのでした。そして、クプリンの排除も決めていた。機械によって人間が支配される状況になっていたのだった。
コロッサスはどんどんわがままになっていく。フォービン博士を監視するために監視カメラを設置させ、博士を24時間監視下におくことを通告。それはかなわんっていうんで、博士は休養の必要性と一定のプライバシーの確保を求めた。メイクラブする相手もいるんだぞ!とコロッサスに伝えるのだが、その相手は同僚のクレオ・マーカム博士(スーザン・クラーク)ということに。
フォービン博士以下、開発チームは打倒コロッサスのためこのプライベートな時間にのみ作戦をたてることになる。で、決めたのがオーバーロードする多量のデータをコロッサスに送り込むことと、ミサイルの目標をコロッサスの命令で変更することになり、このために起爆装置を交換する必要がでてきたのをいいことにダミーの起爆装置に交換してミサイルを無力化することをこそっと進めること。
でも、肝心のオーバーロード計画はあっさり見抜かれ担当者は銃殺される。
そして次の日、コロッサスはテレビを通じてアメリカ国民に呼びかける。ミサイルの無力化作戦もバレていて、いうこと聞かないと処置をするということを示すためにカリフォルニアにある2基の核ミサイルを爆発させてしまう。
コロッサスへの無力感に憤るフォービン博士。そして、コロッサスは彼に服従を求める。
フォービン博士は従わないと答えるが、それも徒労に終わるのであろうか。
多数のカメラアイでとらえられたフォービン博士の表情で作品は終わる。

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この作品はとても面白いです。なかなかソフト化されなかったので一部では伝説のSF映画になっていたけどちょっと前にDVD化され、いつのまにやら廉価版になってしまった(◎´∀`)ノ初版はケースが紙箱に入ってたけど、今はどうなってんだろう。
国家がその優位性を保つのにまったく新しいデバイスを導入したのはいいけど、結果的に軒先だけじゃなく母屋も取られてしまう、こんな話は「2001年宇宙の旅」なんかでコンピュータという新しい機械が出てきたのでなおさら現実味が強くなってしまった感がある。この当時はまだアメリカはベトナム戦争の最中で、国家間のパワーゲームも今よりいろいろな形で行われていた時代だったと思う。共産主義とか社会主義を排除するのに中南米でアメリカがこそこそ政治に介入していた頃。どうしても「強いアメリカ」でなくてはいけない考え方の人々も多かった。
アメリカ的秩序で世界は良好に保たれると考える思考は根強いみたいで、時代は変わって状況も変わったけど、やっぱりいまだにこんな発想の人たちはいるみたい。人間ではなく機械がそんな発想をして、世界を統治しようとしているのが怖いわけで、逆説的にはそんな感覚は機械でも持つことができるという皮肉ともとれるかも。

ただ、後から単純に考えてみればこのシステムのメンテナンスとか考えてなかったフォービン博士は何なんだ?ということになるのだが。
こんな大がかりなシステムだってのに管理の発想がないってのはどういうことなんだ?いざとなりゃパソコンだって電源ぶった切って再起動だってのに。このコロッサスは山をひとつぶち抜いて巨大なコンピュータを収納してるわけだが、そんなでかいシステムだったらなおさらメンテは重要だろうが。

そう考えると、フォービン博士のうっかりミスで世界は大変な方向に向かっていくわけで、困ったもんだ。

大変かっちりした演出で、あまり動きのない物語(主な舞台はコロッサスの制御室で、外で物語が進むのはローマでのフォービンとクプリンの会合くらい)でも退屈しない。ちょっとだけコロッサスがおちゃめなのは、フォービン博士がマティーニを作るときに「ベルモットが多すぎる」とか注文を出してくるところ。お前酒飲めねぇだろが!と軽くツッコミ入れたくなる。
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それと、数少ないサービスなのかなぁ、と思ったのがフォービン博士を夜に監視するくだり。
パートナーとしてやってくるクレオが服を脱ぐくだりがちょっとだけサービス
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違うカットだとスーザン・クラークの半ケツも見えるから、ひょっとしたら撮影では彼女は全部脱いでたかもしれないがエリック・ブレーデンは肌色のパンツはいてるのがちらっと見えたような気がする。その点ではちょっと気合が足りないかも。
ちなみにこの作品の原作はD・F・ジョーンズの「コロサス」で、大昔にハヤカワSFで邦訳が出ていた。映画は原作に大変忠実。統合システムの建造場所をクレタ島にしているくらい(原作ではイギリスのワイト島)当然のごとく絶版になってるけど、まぁ再版することはないだろうなぁ。調べてみたら、実はこのコロサスの物語は三部作なんだそうでこの後に「コロサスの没落」「コロサスとカニ星雲」と続くそうで、物語はどんどん無茶になっていくらしい。のちの二作品は映画化どころか、邦訳もないみたい。
DVDにはテレビで放映されたときの吹き替えも収録してあって、このキャストはなかなか豪華。フォービン=山田康雄、大統領=納谷悟郎、クレオ=北島晴子、コロッサス=内海賢二という顔合わせで、…こないだ続けて観てた「ばくはつ五郎」とけっこうかぶってるような気もするが充実している。
脚本を書いたのはジェームズ・ブリッジスというひとで、のちに「チャイナ・シンドローム」「ペーパーチェイス」そして「ホワイトハンター・ブラックハート」なんてけっこういい仕事をしているけど、1993年に亡くなっていたのはもったいないなぁ。
とにかくこのコロッサスは偉大な存在。ターミネーターシリーズに登場する「スカイネット」のひな形にもなっている。そしてこの世界でも、人間はシステムと戦っている。便利になっても機械の使い方には気を付けよう、ということらしいです。

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