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December 07, 2009

ショート・カッツ

数ヶ月ほどどうしてもモチベーションが上がらず、えらく間があいてしまった。

まぁ、この書き込みを読んでいる方がそんなにおいでではないでしょうが、
どうも何をするにもいまひとつ踏み込めない感じで

たまたま地元の県立図書館に行ったらここで貸し出しされているDVDの中にこの「ショート・カッツ」があった。
なんてったって、無料で借りられるんだってのはポイント高い。
以前から見てみたいとは思ってたし。

でも、ランタイム見てみたらこれが長い!3時間超ってのは、昨今の映画事情で考えるとかなり長くて、回転率悪いからコヤから嫌われちゃうよな。
ものすごいゆったりと冗長な作品かと思って見てみた訳ですが、これは面白かった。ロバート・アルトマン監督の職人的なつくりは定評あるのは知ってたけど、うなってしまったです。
物語はかなり面倒くさい展開。レイモンド・カーヴァーの短編9つが原作となっていて、これにオリジナルの物語を組み合わせて展開される群像劇はものすごくテンポが良くて、ずーっと見ていたくなった。結局また買ってしまったのでした。
物語自体は、ホントにそれぞれの物語の積み重ね。個々のエピソードが同時進行して流れているもので、またそのエピソードの登場人物が別のエピソードの親類だったり関係者だったりという入り組んだ作りなので、レビューも散文調でやってみよっと。

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・夜。ロサンジェルス郊外の住宅地の上空を、最近発生したメドフライ駆除のための薬剤散布のヘリが編隊で飛んで作業している。
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そのニュースを伝えているのはキャスターのハワード・フィニガン(ブルース・デイヴィソン
そんな中行われていたのがトラウト・クインテットの演奏会。チェロ奏者はゾーイ・トレイナー(ロリ・シンガー)この演奏会を聞きに来ていた医師のラルフ・ワイマン(マシュー・モデイン)と妻のマリアン(ジュリアン・ムーア)は同じくここに来ていたスチュアート・ケイン(フレッド・ワード)と妻のクレア(アン・アーチャー)の夫婦を自宅に招く約束をした。でも、ワイマン夫妻もケイン夫妻も互いに「何でそんな約束したんだろう?」と不思議に感じる。

・夜のカフェテリア。ここでウェイトレスとして働くドリーン・ピゴット(リリー・トムリン)のもとに夫のアール(トム・ウェイツ)が運転手の仕事帰りに立ち寄る。でも、この二人の間柄はなんだかグダグダ。酒に逃げてしまうアールにドリーンはうんざり気味。

・クラブ「ロー・ノート」でのライブで歌っているのはテス・トレイナー=ゾーイの母(アニー・ロス)バックはロー・ノート・クインテット。
長期の旅行に出かける隣人の黒人夫妻から留守中に熱帯魚の世話を頼まれたハニー・ブッシュ=ドリーンの娘(リリ・テイラー)とビル・ブッシュ(ロバート・ダウニー・ジュニア)はテスの歌をバックにその手順をレクチャーされている。

・白バイ警官のジーン・シェパード(ティム・ロビンス)の家では妻のシェリィ=クレアの妹(マデリーン・ストウ)がヘリの薬剤散布で窓を閉めるように大きな声でジーンに頼むのだが、ジーンは不機嫌。飼い犬のスージーがジーンにはなじんでいないのでよく吼えるせいな様子で、イラついたジーンは出かけてしまう。
朝帰りして出勤途中に、ジーンは犬のスージーをバイクに乗せて捨ててしまうのだった。

・プールメンテナンス業のジェリー・カイザー=ビルの友人(クリス・ペン)の家では妻のロイス(ジェニファー・ジェイソン・リー)がテレホンセックスのアルバイトをしながら子供たちの世話をしている。それを見るジェリーは複雑な気持ち。

・薬剤散布のヘリパイロット、ストーミー・ウェザーズ(ピーター・ギャラハー)は別居中の妻ベティ(フランシス・マクドーマンド)に帰投後電話をかける。妻と暮らす息子のチャドが誕生日。彼はそのお祝いに行こうとしていたのだけど、ベティは冷たくあしらう。実はジーンの浮気の相手がこのベティ。夜に家を出て行ったジーンはベティの家に泊まってたのだった。

・クレアの仕事は出張クラウン(つまり、道化師)で、その出かける準備をする傍らでスチュアートは友人達と約束の泊りがけでの鱒釣りに出発。鱒釣りチームのメンツには友人役でヒューイ・ルイスもいるのがちょっとびっくり。
彼ら3人が立ち寄るのがドリーンの働くレストラン。

・フィニガン家では一人息子のケイシーが誕生日を迎えるってんで、妻のアン(アンディ・マクダウェル)がお祝いのケーキをケーキ屋のビットカワー(ライル・ラヴェット)に頼みに来ていた。そこには同じくストーミー、クレアが居合わせる。ストーミーは出来合いのケーキを息子のために買い、クレアは頼んでいたケーキを受け取りに来ていたのです。

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・ちょっと時間軸がずれちゃうけど、鱒釣りに出かけたスチュアート、途中で寄ったのはドリーンの働くカフェレストラン。スチュアートの仲間達はドリーンの制服の超ミニをからかって遊んだりしてる。そのドリーンは夜番の仕事明けに車で自宅に帰る途中で、学校に行こうと出かけたケイシーをはねてしまった。
ケイシーはたいしたケガもない様で、そのまま歩いて帰って行ったのでドリーンは気にかけながらも自宅に帰る。家に帰るとアールがいて、車で子どもをはねたことを告白。でもまぁ、あの子は歩いて帰って行ったし多分大丈夫だろう、とたかをくくる。


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・ジェリーの仕事先は、今日はテス・トレイナーの家のプール。仕事中に、ビルからの電話で彼のやっている特殊メイクの講師業の実況中継を聞かされる。
一方のトレイナー親子、ゾーイは近所の友達と3オン3に興じていると隣の家のケイシーが帰ってきた。声をかけてもケイシーは無言。母親のテスとの関係はいまいちしっくりしてなくて、ゾーイは自殺願望的な行動をとりがち。
この日もいきなり着ている物を全部脱いでプールにどぼん。死んだフリ。その様子をみていたジェリーはどきどきもの。
その死んだフリはあっさりとテスに看破されちゃう。

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・ベティの家にストーミーがやって来る。当然、息子のチャドと会うのがメインなんで誕生祝のケーキも持ってきて、今日は何して過ごそうか?って息子と親父はひさびさの再会が盛り上がる。でも母親のベティはとことんストーミーをじゃけんに扱う。それでも約束どおりにチャドとストーミーとが会って過ごすのは認めてたんだが、チャドいわく「急に呼び出された」ストーミーはそこから去っていった。というか、チャドから他に男がいることを教えられてアタマにきたストーミーは出て行ってしまった。ストーミーが帰ったことを知ったベティはひどく憤る。

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・家に歩いて帰ってきたケイシーは体調が悪くなり、車にはねられたことを告げて自分のベッドで意識を失う。その様子を見たアンは急いで病院へケイシーを連れて行くのだが、その担当医になったのがラルフだった。「大丈夫、すぐに目を覚ましますよ」とアンとハワードに心配しないよう告げる。一度家に帰ったハワードがたまたまかかってきた電話をとるとさっぱり内容がわからない。ケーキ屋のビットカワーからの注文の確認だったのだけど、ハワードからすればさっぱり訳がわからないので乱暴に応対して電話を切ってしまう。


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・スチュアートたちの鱒釣りチーム。目指すポイントにやっとのことで到着したのはいいけれど、さてこれからスタート!というときに若い女性の死体が川に沈んでいるのを発見。しかし、近くに警察があるわけでもなし、電話もない。4人は(彼ら的には仕方なく)流されないように死体をひもで結わえておいて、そのまま鱒釣りをすることにした。

・ドリーンの働くレストランにベティとチャド、そしてジーンが食事をしにやってきた。ベティにお祝いを渡し週末の予定を尋ねるジーンに、ベティは叔母のところに行く予定があると告げる。ジーンはそれを当然疑問に感じて、本当にベティが出かけているかどうか確かめに彼女の家に行ってみると、彼女は不在。その様子を見ていたストーミー、彼女の家に入り込みチェンソーなど取り出して家中の家具を切り刻み家の中をメチャクチャにし始める。

・ケイシーの入院している病院にハワードの父、ポール(ジャック・レモン)が孫のケイシーを見舞いに現れる。受付で一緒になったのが出張クラウン姿のクレア。彼女はラルフにも出くわして挨拶したけど、ラルフは「誰だっけ?」
ハワードにしてみれば、母と離婚してからすっかり疎遠になっていた父の出現は非常に気まずい感じ。その目的がわからない。

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・夕刻のワイマン家ではマリアンが妹のシェリィをモデルに絵の制作中。帰ってきたラルフはクレアたちの訪問がこの日だと勘違いして早く帰宅したのに、そこにいるシェリィが全裸でポーズをとっているのを見てどぎまぎ。マリアンは「今日はシェリィの家で夕食をとるけど、あなたは行かないわよね」と、つんけん。ラルフは仕方なく「遠慮するよ」と自室に戻ると、その様子を見てマリアンとシェリィは大笑い。
実際のシェリィの家での夕食はかなりくだけた雰囲気で、実はマリアンはラルフとのハイソな暮らしに少々辟易しているととれるんだけど、そこでシェリィは「ジーンは浮気してるのよ」と暴露。でも、どうせすぐ相手にフラレて戻ってくるのだからたいして気にもしていないよう。
互いの夫婦生活をあけすけに語る姉妹。浮気はしたことないの?との問いに、マリアンは少し考えてから「ないわ。あなたは?」
「子どもができてからは、ないわ」ウソっぽい告白に大笑いする二人。

・家に居るドリーンのもとを娘であるハニーが金魚を手土産に訪問。ハニーにしてみれば全く尊敬などできない父親のアール。でも、ドリーンそれをたしなめる。彼がいなければ自分は一人ぼっちになる。やはり父とは離れられないというドリーンの気持ちは、いまひとつハニーには理解しがたい。

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・病院ではポールとハワードが思い出話。
ここで、ハワードは父の浮気話を始めて耳にする。父が叔母の家に冷蔵庫の据え付けを手伝いに行ったときに、そこで関係を持ってしまったという事実。ハワードが事故を起こして入院したときのこと、その場に母が現れ、まさに最悪のタイミング。父と母は病院に行き、二人で医師から説明を聞いたのだがこの浮気がきっかけになり二人は離婚した経緯が父から語られる。
実際にはこのときだけだった叔母との関係は、叔母の「何度もやったのに」という嘘でどうにもならなくなったのだという。このくだりはまさにジャック・レモンの独演会。芸達者とはこういうのを言うんだなぁ。

・とにかくベティの家の中をメチャクチャにするストーミー。
このストーミーの作業は夜も続いてて、暗くなってからまたベティの家を覗きにきたジーンは窓に映ったストーミーの影を見て、ベティが男を連れ込んでいる!と怒ったあげく石を投げて窓ガラスを割って逃亡。
結局、ベティにフラれたと思い込んだジーンはシェリィのもとに戻ってしまうのでした。

・鱒釣りからスチュアートが帰ってきた。クレアが寝ているところに帰ってきた彼は、鱒釣りの報告をするんだけど当然ながら川で見つけた若い女の死体の話もクレアに語る。
クレアはスチュアートに尋ねる。
「ずっとそのままにしていたの?」
「仕方ないだろ、彼女は死んでた。どうにもならない」
「警察に通報するまでずっと魚釣りをしていたわけ?」
クレアは死んでいた彼女に涙する。

ハニーとビルの夫妻が留守番をしている隣人の家では、この二人にジェリーとロイスの夫婦が加わりバーベキューなどしながら語り合っている。
ハニーとロイスはロイスがやっているテレホンセックスのバイトの話、ジェリーとビルは自身の経験談などでそれぞれがセックスに関する話をしている。
スチュアートとクレアはメイクラブしているわけで、このくだりは登場人物たちがセックスというメディアでつながっているのが面白いところ。

ジーンとシェリィは二人のベッドでいろいろ語り合う。マリアンの絵のヌードモデルをしていた話にジーンは反応。ラルフに見られた、というシェリィに「あんなバカはいない」とくさすジーン(これは実は当たりの見解)

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・クラブ「ロー・ノート」に流れたハニーとビル、ロイスとジェリー。ハニーはそこで呑んでいるアールに出くわすけど、彼女にしてみれば呑んだくれのろくでもない父。一緒に飲もうという誘いをしっかりと断る。ハニーが席につくと、となりのテーブルにいた、よくこの店にいる黒人のチンピラのジョー・ロビンス(ダーネル・ウィリアムス)が「おれのをくわえてみないか?」と金を出してロイスを誘っていた。
すげもなく断るロイスだが、たまたまその場を離れていたジェリーが戻るとテーブルの上にあるお金に目が留まる。チンピラのジョーが「おれのだ」とつかみとったが、ジョーに口答えもしない様子を見ていたロイスはジェリーのへタレさにひどくがっかり。ジェリーにしても、ニョウボがこのチンピラにコナかけられてたのが判ったけど、だからってどうにもできないのが悲しい状態。ムカついたロイスは店を出て行ってしまう。このもどかしい様子の絶妙な描写がいい。

・酔ってぐでぐでのアールが家に戻ると、ドリーンがいない。探し回るアール。
病院では、眠るケイシーを見守るアンと眠るハワード。
朝になり、家に戻ったテス。ゾーイがチェロの練習をしているそばで問わず語りするのは亡き夫の昔話。
クレアが新聞を見ると、スチュアートが見つけた若い女の記事が出ていた。名前はキャロライン・エイヴリー。23歳。レイプされ絞め殺されたらしい。家はベイカーズフィールド。
ワイマンの家に行くのは、この日の夕方の予定。
ドリーンの店に現れるアールは、やっと彼女を見つけてべそをかく。
「車はあるのにお前がいない、お前のいないベッドでなんか寝られないから外で寝てたんだ」
子どものようなアールにドリーンも少し和む。アールは隣の客に「どうだ、イイ女だろ?」

・なんとはなしに元のサヤに戻ったジーンとシェリィがいちゃついてるところに、子どもたち全員集合してすっかりおじゃま虫。ジーンは子どもたちに
「これは秘密だけど、スージーの捜索願を警察に出したんだ。そしたら、今朝見つかったらしい。これから確かめに行くから、服を着なさい」

・ストーミーの作業は徹夜で続行中。朝になってやってきたのはカーペットのクリーニング屋、オーブリー・ベル(ダニー・ダースト)。なんでも、ベティが以前に応募していた懸賞でカーペットクリーニングが当選したのだそうな。
ベル氏、部屋を一瞥して「散らかってますな」
「しかし、この程度のことでは驚きません」などと殊勝なコメントとともに自身の任務を遂行するベル氏。

スージーを捨てた辺りまでやってきたジーンは、子どもに抱かれているスージーっぽい犬を見つけて無理やり連れ帰る。それに文句をつけたのはヒューイ・ルイスでした。正確には、ヴァーンという役名であります。

・クレアはベイカーズフィールドに。キャロラインの葬式に参列したが、促されてもどうしても名前を記帳することができない。強い罪悪感。
病院ではラルフ・ワイマンからアンとハワードに状況説明。アンの呼びかけに、一瞬だけケイシーが目を開いた。
喜ぶアンとハワードだったが、バイタルサインが急降下。急遽、心マッサージなど応急処置が行われたがケイシーは亡くなってしまう。自宅に戻ったフィニガン夫妻を隣家のゾーイが出迎える。
ゾーイはケイシーの死を我が事のように深く悲しむ。

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・この日はラルフの家にクレアとスチュアートがやってくることになっていた。
待っている間に、ラルフは妻のマリアンに3年前のパーティからの帰り道に何かあったかどうかを蒸し返して尋ねる。何かがあったはずなのに妻は真実を話していないと彼は信じているのですな。
かれの詰問にマリアンは怒ってしまい「キスしたわ。それから?そう、やったわ!車の中でね!」と叫ぶ。
その答えにラルフは呆然としてしまう。実は期待していた答えだったはずなのにねぇ。
いたたまれなくなった彼は外でスチュアート夫妻を迎えるための準備をする。夕刻、スチュアート夫妻がやってきてそのままグダグダのパーティに突入。まずはジョバディ・ゲームから。

・クラブ「ロー・ノート」でリハ中のテスをゾーイが訪ねてくる。隣のフィニガン家のケイシーが亡くなったことを知らせに来たのだが、母の態度はあまりにそっけない。深く失望して帰るゾーイ

・留守番を頼まれたハニーはビルに殴られたのか?顔が腫れているのは、実は特殊メイクの練習台になったから。写真を撮ろうとするビルは「アールに殴られたことにしよう。彼に殴られたことある?」とふざけるがハニーは答えない。ふざけあう二人

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・ジェリーの家では今夜もロイスがテレホンセックスのバイト中。営業用の彼女の言葉に、ジェリーは反応してしまう。「息子」とか「ディック」?そんな言葉は大嫌い、というロイス。その仕事に文句を言うジェリーだが、「保育園に預けなくていいしお金にもなるんだから」と言われ反論できない。おれにもああいう風にしてくれよ、というが断られてしまいがっかり。それでもロイスが「やりたい?ならやらせてあげる」といい感じになったところで彼女がテレビを消しにいってしまいなおさらがっかりのジェリー。
家に帰りついたゾーイはガレージにエンジンをかけたまま車を駐めてその脇でチェロを弾き始める。
朝、帰宅したテスはガレージで倒れているゾーイを発見。ゾーイは排ガス自殺を遂げてしまった。


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・あの変な電話はケーキ屋のビットカワーからではないかと気づいたアンは、朝になりビットカワーの店に出向き彼をとっちめる。
「息子は死んだの。誕生日はもうないの、彼は死んだのよ。ひどい男!」
彼らが病院につききりでケーキを取りに来られなかったことを知ったビットカワーは、自分のやったことを悔いる。

・同じ日の朝、ジェリーとビルの家族でピクニックに出かける途中で写真屋のスタンドに寄り道したところ、渡された写真は同時にやってきたスチュアートの釣り仲間ゴードンのもので例の河にあった若い女の死体を写したもの。逆にゴードンが受け取ったのはビルがハニーに殴られたメイクをしたときに写したもので互いに「あれは変質者だ」と思い互いに車のナンバーやら電話番号やらを暗記。
同じ朝、アールとドリーンはいちゃいちゃしながら酒を飲んでいた。
同じ朝、パイロットの彼氏に送られるベティ。次の予定を立てながら帰宅すると、家の中はストーミーによって破壊しつくされていてがく然。なぜか、カーペットだけがキレイにそのまま。

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・ピクニックに行った先でビルとジェリーは二人連れの女の子ををナンパに成功。二手に分かれたところ、目つきのおかしくなっていたジェリーは一緒にいた女の子を石で殴り倒してしまう。そのとき、大きな地震が起こった。
ビットカワーの店にも、グダグダパーティが続くラルフの家にも、娘の死を嘆くテスの家にも、ジーンの家にも、破壊されたベティの家にも等しく地震が起こる。
テレビの速報で空から見た地震のレポートをしたのは他ならぬストーミー。
地震による死者は、ハイキング中の若い女性が1名…

またいつもの生活がやってきた。

なにしろ主な登場人物だけで26名というアルトマン得意の群像劇で、しかもそれぞれのエピソードを全く同じ時間軸にのせているので物語の進行を追うのが結構大変。でも、この作りのおかげでカットバックが多く3時間以上のランタイムでも飽きるということはない。
ここで描かれているのは本当に日常の風景で、その中には生と死とがあたりまえのようにあるということ。つまりは普通の生活が普通に描かれているんだけど、その下敷きになっているのはカーヴァーの原作。アメリカ文学って何だかこういう乾いた感じのが多いような気がするな。(ジャック・レモンの語るくだりは映画のオリジナルだそうな)
まぁ、アメリカの普通の生活がそのまんま映画になっているようなドラマなんでつまんないと言う人もいるだろうけど、文芸作品を見るという観点で見ればこれほど敷居が低くてわかりやすい作品もないのではないかな。普通の生活にある愛情とか性とか死とか悲しみとか笑いとか、それぞれがどこかでつながりながら(プールのゾーイと鱒釣りの水死体もつながる)みんなごった煮状態で進んでいく。生きている者同士の別れというアイテムは、ここでは悲しく語られることもない。ただ、人生って何かがどこかで変わることがあるんだよ、ということを何となく示唆するアイテムとして別離というイベントもありなのかもしれない、というスタンスに感じられた。だから、みんな登場人物は皆からっとした生活を送っているけどそれでも、愛している対象が失われるとその悲しみはやはり大きいのだな。通常の生活の描写に対してのそういうベーシックな人間的な感情が描かれているのが印象に残る。
子どものいる身の上にしてみると、ケイシーとかチャドの存在は鑑賞後にはとても大きいなぁ。

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例によっての大サービスは、ロリ・シンガーとジュリアン・ムーアの裸。
特にジュリアン・ムーアは下半身ハダカでのマシュー・モデインとの夫婦ゲンカの演技がかなり長いので、感心してしまうくらい。
役者って大変な仕事です。

役柄としては、ティム・ロビンスのジーンがいい感じ。「ショーシャンク」のベビーフェイスがココでは一転、性格のよくない警官の役が変にハマっていて、これだけで笑える。


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ショート・カッツ Short Cuts 1993年アメリカ
監督 ロバート・アルトマン

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Comments

「ショートカッツ」は実に入り組んで長い映画でしたがこちらの解説を参考にさせて頂き、スクリーンショットも合わせてようやく観終わることが出来ました。ありがとうございました。

Posted by: koukinobaaba | December 10, 2012 02:27 PM

>koukinobaabaさん
コメントいただいてたのにさっぱり気づかず放置状態でした。
大変失礼しました。
お役にたてたようで、何よりです。
「ショート・カッツ」、よくできた物語です。
こういう手間のかかった作品を作ることのできるひとは貴重です

Posted by: 最上屋 | January 16, 2013 10:01 AM

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