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October 04, 2008

手紙 -殺しへの招待-(その3)

ここまで書き込んでおいて、肝心の中島葵の話がすっかりお留守なのに気付いたので、改めてエントリ。
なんで、ついでだからこの「手紙」の出演者のことなども番外編的に。

中島葵っていってももう亡くなって結構経ってしまったが、この人のどこに関心を持ってしまったかというとその出自。以下の文のほとんどは中島葵の著作集からのうけうり。
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父親はなんと、森雅之。日本映画史に残る名優である。母親は宝塚歌劇団卒業生の梅香ふみ子で、この人の生家は熊本の東雲樓という遊郭。中島葵が生まれたのは1945年の9月のこと。
父親が森雅之ということは、祖父は有島武郎だし大おじに画家の有島生馬、作家の里見弴(さとみ・とん本名は有島英夫 生後すぐ姓が山内に変わる 文化勲章受賞)
森雅之の本名は有島行光といって、父親の有島武郎はじめとして芸術分野では名を成した名前がちらほら。
山本直純は有島武郎の妹、愛子の孫にあたるし同様に妹の志満子は慈恵医大学長の高木喜寛の妻。里見弴の子どもたちは松竹と東宝に入り専務など務めていた。
一方、熊本で中島茂七によって興された東雲樓はものすごい繁盛した遊郭だったそうで、最盛期には娼妓80余名、芸妓30名あまりを抱えておりその敷地は4千坪あったって…中には劇場まであったとは。
東映で活躍した(つっても、自分見てんのは「猪鹿お蝶」に「直撃地獄拳 大逆転」なんすけど)名和宏はこのすぐ近所の出生というのも面白いなぁ。
この劇場の存在のためなのか、茂七の孫にあたる茂香がここに関わる人たちから影響を受けて宝塚に進み梅香ふみ子となるわけで、中島葵はそんな血を受け継いでるということになるだろう。
父親の森雅之と梅香ふみ子はどういうきっかけで知り合ったのかは不明だけど、この段階で森雅之には妻子がいたのでいわゆる不倫関係だった。で、その2人の間に生まれた中島葵は森雅之からは認知されず熊本の中島家で育てられる。1961年、彼女が16歳のときに最終的には認知されたけど、森雅之からは「面会文通一切不可」と告げられるのがかわいそう。その森雅之は1973年に癌で亡くなる。
この当時は中島葵は西宮で暮らしていて、朝日放送の放送劇団に所属していたので「部長刑事」にも出演してたそうな。その後、1964年優秀な成績で日本大学芸術学部演劇科に進み、同時に文学座附属研究所に入るが両立が困難というわけで翌年に大学は退学。ここから舞台・テレビに出演する機会が増え、映画デビューは1969年ごろ、「若者はゆく」「新宿アウトロー・ぶっ飛ばせ」など。里見弴とは1970年に万博でのインタビューで対面し森雅之の娘ということで歓待されたらしい。
この後すぐ文学座の座員に昇格。舞台でのキャリアを積んでいくけど1973年に文学座を退団、このころからロマンポルノに出演が始まり翌74には10本以上ロマンポルノに出演、77年ごろまでコンスタントに出演している。
OL日記 濡れた札束」とか「赤線最後の日」などが初期の出演作で、「手紙」の出演は1975年でこの直後に「愛のコリーダ」に出演し、翌年公開。

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この作品で松田英子と一緒に「本番女優」なんて呼ばれたけど、実際にそのシーンを見てみると…ちょっと違うような。
自身の著作集に納められた文によると「それらしいことをやっただけ」ということなので、たぶんこっちが正解(ただし前貼りはしてません。松田英子は本当に藤竜也としています)でも、周囲でいろいろと語られていてもこのロマンポルノ時代については本人はほとんど語っていないのも不思議。

1977年に劇作家・演出家の芥正彦と出会いこれ以後最期まで行動を共にするがロマンポルノへの出演は1978年以後減少し、一般映画への出演が増える。「十九歳の地図」「五番町夕霧楼」なんかがこの時期の出演作。
著作集に収められた小説やエッセイ、詩などの文章はこのころから書き溜められたものらしい。
癌が発見されたのは1987年、子宮摘出されてしばし療養ののち活動再開するが1990年再発。「四万十川」の撮影中のこと。
この後、入退院を繰り返したが1991年5月に亡くなった。訃報は小さいながらも主要な新聞に報じられていて、やはり「森雅之の娘」という一文がどこかに添えられていたと記憶している。

なにゆえいちいちこんなことを記してるかというと、ウィキペディアの記載は少々いいかげんだしjmdbやallcinemaデータベース、goo映画のフィルモグラフィーが一致していないのは何だかかわいそうな気がしたから。
本当ならきちんとしたものを作るべきだろうが、それは宿題に。
世の中にはいろいろな人間がいるけれど、今ならまさに「親の七光り」で持ち上げられたろうにそれが許されなかった環境で同じグラウンドにしがみついてた人と思うと、尊敬してしまいます。


で、「手紙」のキャストについても実はほとんど触れられることがないから判る範囲で何とかしたいなと思ったのだ。
だって、主要なキャスト以外はさっぱり不明なんだもん。というか、作品のタイトルで表示されるキャストが何だか不明瞭すぎ。
大体、出演者の名前には風間杜夫も入ってるけどどこに出てんだ?と思ったら、日東証券の社食で後姿で、しかもピントが合っていない(^_^;)声だけじゃん!
全編通して感じたのは、その「ウルトラ」な雰囲気。
主なキャスト以外にも円谷作品の出演歴がある方ばかりが出演しています。

吉岡みどり役のひし美ゆり子はもう、永遠のアンヌ隊員なのでこれはいいとして…
夏海千佳子は「怪奇大作戦」やら「ウルトラマンレオ」に出演した経験があるし、町田祥子も「怪奇大作戦」「ウルトラマンレオ」、羽鳥役の大木正司も「ウルトラマンA」、小沼役の片岡五郎は「戦え!マイティジャック」「帰ってきたウルトラマン」「ウルトラマンA」などで、音楽評論家の野上役だった花上晃も「怪奇大作戦」に出てた。あ、草薙幸二郎も「ウルトラマンタロウ」に出てる。
ヲタ的にちょっとびっくりだったのは、鹿内孝演ずる関山を誘惑しようとしたハイミスの先生が池田和歌子だったこと。
Tegami54
円谷史上もっともゴージャスに製作された「マイティジャック」の一条マリ隊員ではないですか。
まぁ、こんなところで。

間接的には村野武範もテレビ版の「日本沈没」で主演してたから、円谷つながりがある。村野武範はひし美ゆり子とは以前から付き合いがあって(村野武範が所属した文学座での研修にひし美ゆり子が参加していたことから)原田大二郎も交えて飲み友達だったとのこと。なのでここで2人で濡れ場をやるってのは、本人たちにしてみれば笑えるだろうと思う。

いずれにしろ、今のテレビドラマのしょうもない状況を考えると、こういうきちんと作りこんだドラマは本当に面白く見られるのでありがたいものです。ただ、全部通して見るとなるとやっぱり長い。毎週毎週、次はどうなるのかな~とわくわくして盛り上がりながら待つことがなくなっちゃったのも時代の流れということになるのかなぁ。

昔と違って、気概というもののない今のテレビは見るだけムダだと思います。

というわけで、ブログ始めて4周年記念エントリでした。

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Comments

4周年記念エントリおつかれさまでした。
非常に勉強になりました。中島葵さんの
経歴の記述も頭が下がる思いです。
早くに亡くなっておられるということで、
非常に残念です。
またの更新を楽しみにしております。flair

Posted by: ガットラー総統 | October 05, 2008 at 05:01 AM

ガットラー総統さま

そんなに持ち上げていただいて、恐縮です(^^ゞ
今回は長々とやりましたが、元のドラマが全部合わせて
6時間以上の尺になりますんで…大変でしたが、うんざりする
ことはなかったです。
中島葵については、実際そんな美人という訳ではないと思うのですが
なぜか印象に残っていたから関心を持ったのが始まりでした。
松島利行の書いた「日活ロマンポルノ全史」で彼女の書き遺した
文章に触れており、「味がある」と評していたのも関心をさらに強くした
と思います。存命であれば63歳…

これからも細ーく、長ーくエントリを続けたいと思っておりますm(__)m

Posted by: 最上屋 | October 06, 2008 at 10:43 AM

はじめまして、こんにちは。

鮮明な写真画像と、詳細なドラマの説明を、じっくりと堪能しました。

たしかこの中島葵という女優の息子が、俳優・・・だったような気がします。

情報が入り次第お伝えします。

Posted by: 隠居 | October 18, 2008 at 04:41 PM

失礼しました。彼女の内縁の夫の誤りでした。

さて、その俳優の名ですが、「おとこ東大どこへ行く 幻泉館」とググってください。同ブログへ、漫画家、救援会会長などとともに記載されています。

Posted by: 隠居 | October 18, 2008 at 04:50 PM

隠居さん、はじめまして!
小生の駄文を読んでいただき、ありがとうございます。
ブログのご紹介をいただき、ありがとうございます。
芥正彦さんのことですね。
「世にも奇妙な物語」なんかで演出などされていると聞いております。

Posted by: 最上屋 | October 19, 2008 at 11:38 PM

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