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September 22, 2008

手紙 -殺しへの招待-(その1)

今回は、テレビドラマで初エントリ。

っていっても、月9とかトレンディードラマ(死語)ではない。
ジャニタレの出てるドラマに何があるというのだ?
大昔の帯ドラマである。それもただの帯ドラではない、

と個人的には思っているけど。

個人的に関心のあった女優に中島葵という人がいるのだが、主な出演歴はロマンポルノがほとんど。「愛のコリーダ」にも出演していた(吉田屋のおかみ トクの役で藤竜也とのカラミもある、結構ポイントの高い役どころ)
1991年に45歳という若さで亡くなっているが、「愛のコリーダ」見たときに何か印象に残ったのでそれ以来いろいろと見ることができる作品を探していたときにヒットしたのがこの「手紙 -殺しへの招待-
これがまた驚くのは昼間の帯ドラマだってのに監督が全エピソード前田陽一、主演に竹下景子で他には中島葵に伊佐山ひろ子、ひし美ゆり子というロマンポルノ組+元アンヌ隊員・当時東映のポルノ時代劇メインの女優陣(スポットで荒砂ゆきも出演)に村野武範=元熱血高校教師(飛び出せ!青春)という、すごい布陣。
この「手紙」、ヒマをもてあましていたときにテレビ岩手で「スッキリ!」の後に放映されていた「朝の連続ドラマ」(よみうりテレビ製作のもの)の再放送で「花真珠」なんてのを熱心に見てたわけだが、それが終わった後に発作的に再放送された。この頃たまたまネットで中島葵にまつわるネタ探しをしていたので、そのテレビ岩手での放映予定を聞いてあわてて録画までしたしなぁ。

何がどうすごいかというと、まず監督が前田陽一ということ。時期的には不遇だったけど松竹の喜劇映画で活躍した監督で「神様のくれた赤ん坊」「進め!ジャガーズ敵前上陸」なんてのが有名。テレビドラマでは演出や脚本を全部のエピソードで単独で行うのはあまりないのだけど、全話この人が演出しているという珍しいケースだし、そして中島葵に伊佐山ひろ子、夏海千佳子というロマンポルノ系・ピンク系の女優が出演していること。こちらの系統の女優がテレビにレギュラー出演するというのは、この時期には意外に思える。おかげで、性的な描写はポルノ映画に馴染んだ人々には嬉しい限りなのです。あと、ひし美ゆり子の実質的には引退作になったことで興味深いのであります。

25分ドラマで全20話。本編自体は正味20分くらいなので、これを全部通して見るとざっと7時間かかる勘定なんだけど、キャストがどうとかいうことだけでなく最近のドラマ見るよりはずっとずっと、はるかに面白いぞ。作り方の丁寧さが段違いだし。


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手紙-殺しへの招待-
1975年 11/3~11/28 13:30~13:55日本テレビ系
製作 ユニオン映画
原作 天藤真「殺しへの招待」(現在、創元推理文庫にて刊行)
脚本 よしだたけし・篠崎好
撮影 片岡二郎
音楽 大野雄二
監督 前田陽一


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ある日、4人の男のもとにカナタイプ打ちで「夫を殺す」という殺人を予告する手紙が送られてきた。差出人の名はYZ。夫は30歳で結婚5年目、子どもは男の子が一人でその名前は漢字で3文字。憎悪が殺意にまで大きくなったのが殺人をする理由だというが、手紙を受け取った4人のうち誰かの妻がそのYZであるという。なぜ手紙を出したか?それはその相手を焦らせ苦しめるためだという。
手紙を受け取ったのは建築技師の小沼洋介(片岡五郎)、高校教師の関山晋一(鹿内孝)、ルポライターの羽鳥正吾(大木正司)、そして日東証券文書課の係長、沖田明彦(村野武範)の4人。皆がみな、YZの示す条件に一致していた。そしてこの4人は互いに知人だという。
この手紙がウソではないという証拠に、YZはこの4人を赤坂の中華料理店での夕食に招待していた。これに対して沖田は部下の江馬章子(竹下景子)に頼み、自分の代わりに誰が来たのかを見てきてほしい、と頼む。自分では行く勇気がない、という。
章子は沖田に恋心を抱いており、沖田も少なからず想うところもあるのだが沖田は勤務する証券会社の大口顧客の資産家の家に婿入りした身の上で、その遺産をすべて相続した妻の三重子(中島葵)には全く頭が上がらない。
そんなこともありYZからの手紙を読んでうかない顔をしていた沖田の様子を見て、章子は「何かお手伝いできれば」と申し出たのだった。なもんだからこんなこと頼まれてんだけど、えれぇ積極的じゃん~。

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行ってみると小沼、関山、そして羽鳥の三人が来ていたわけで、わざと入り口で様子を見ていた羽鳥は現れた章子の姿に気付いて声をかけるが章子は逃げ出し、羽鳥は後を追って章子の姿を写真に撮る。
三人はYZは誰なのか?また、もう一人の男は誰なのか?と疑問をぶつけあう。互いに面識がないのになぜこのような手紙が来るのだろう?そして、YZとは誰の妻なのか?
皆確かに思い当たるふしがある。4人とも妻に対し疑心暗鬼になり、沖田以外の三人はその感情を妻にぶつけ強引に身体を抱いていたのであった。この辺は見てると盛り上がるぞ。いきなり自分の女房を押し倒してむにゃむにゃなことやってる大サービス連発だもん。
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小沼の妻、優子(伊佐山ひろ子)は旧姓が財前だったので、旧姓でのイニシャルはYZ。
関山の妻、典枝(夏海千佳子)の夜の勤務先は目黒のクラブで、YZの手紙の消印は目黒。
羽鳥の妻、須和子(町田祥子)はあまりに従順で、聞き返すこともないのがかえって不安。
沖田の妻、三重子にとっては沖田の存在はただジャマなだけ。夫婦の生活は全くなく、彼女のいとこである吉岡みどり(ひし美ゆり子)との同性愛にひたって好きなように暮らしている三重子にとっては真面目なことしかとりえのないつまらない男。ただ体面上の夫婦である関係(「盛岡の農家の五男だか六男」だそうで、ただ子供の父親になる人間が必要だった)なので「いっそいなくなってしまえばいいのに」などと沖田のことをこきおろす。以前はかなり乱れた生活をしていた(男関係いっぱいあったし、クスリやりまくり。堕胎もできず)ため、実は一人息子の父親が誰なのかははっきりわからない。そのことを明彦も知っている。

またYZからの手紙が届いた。彼らの不安が高まる中、沖田以外の3人は銀座のクラブで対策を練ることにしたのだが沖田のもとにはYZから電話がかかってくる。「銀座のクラブ「マスミ」に来い」との指示だったが、そこはまさに羽鳥たちが落ち合う場所だった。実は羽鳥がいきつけの喫茶店で小沼と関山に電話をかけていたのを盗み聞きしていたサングラスの女がいたのだが…
そのマスミにはカップルでないと入れない部屋があって、そこは隣室を覗き見できるわけなので沖田と章子はカップルで入店し、その部屋ののぞき窓を探す。竹下景子のスカートがまくれ上がって太ももがしっかり露出しちゃうサービスカットもあり。
やっとこさのぞき窓を見つけて羽鳥たちの様子を探る沖田の表情は何か悲しげ。赤坂の中華料理屋での写真が現像できたので、それを小沼や関山にも見せていると店の女の子が「この子、さっき店に来てたわよ。アベックで隣の部屋に入ってるわ」と一言。その写真を見て章子も驚く。
すわ、と羽鳥は隣の部屋へ行ってみたがすでに2人は帰った後。
章子をアパートまで送る道中、沖田は身の上をいろいろと語るのだがこの辺がとにかくしみじみしてんだよな。
自分の妻、三重子はかなり遊んでた不良娘でも家は大金持ち。勤めてる会社の筆頭株主で委託株も多いところに婿入りしたおかげで周囲からはダメ男と見られているし財産は全部妻の名義。義父の死後は追い出されそうになってるけどメンツもあるし子供のこともあるしでそう簡単に家を出ることもできないと語るんで、そんな悩める沖田の姿に触れる章子はますます思いをつのらせる。
また4人の男たちにYZからの手紙が届く。「あなたたちが銀座のクラブに行ったこともわかっています。あなたたちの行動はすべて監視しています」と書かれていたので、彼らはますます疑心暗鬼に陥る。そんな中、小沼が現場で転落し重傷を負う。羽鳥は病院にすぐ駆けつけたが、小沼は妻がなかなか来ないことにとてつもなく不安になったもんだからやっと現れた彼女と口げんかになってしまう。Tegami10
「学生結婚してからずっと働かなきゃなかったせいで7回も中絶させられたら腰も痛くなるわよ!」などと優子に返され、あげく「あんたなんか死んじゃえばよかったのよ!」なんて叫ばれるんだけど、そこにやってきた担当医に「先生、夫は大丈夫ですよね?かたわになったりしませんよね?」と必死に尋ね、大丈夫だと応えられ安心し涙する姿を見た小沼は妻への疑いを捨てるのだった。

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一方の章子、会社で沖田のもとに届いたYZの手紙を勝手に盗み読みしてその内容を問いただすべく喫茶店で沖田に迫るのだったが沖田は何も語らない。沖田に自宅まで送ってもらう道中、大雨の中で車が故障してしまったもんで仕方なくモーテルに入る2人はもう、そりゃ盛り上がります。男物のワイシャツ一枚で「私は、いいのよ…」なんて迫るんだものなぁ~。
んで、そのまま勢いでベッドの上で思いっきりキスしたり胸触ったりして抱き合ったりしてるわけだが、そんな姿が何者かに盗撮されていた。
そしたら沖田は「いけないいけない、もう少しで取り返しのつかないことを…」なんて、途中でやめちゃうのね~
据え膳食わぬは男の恥だろがっ!と突っ込みたいところだがまぁ、そんなことはいいとして

沖田、羽鳥と関山にまたしてもYZから第4の手紙が届く。小沼の病室には優子が泊まりこんでいて、彼女には手紙を出すことができないことから完全に小沼はシロになった。
関山は家で新婚旅行の際に初夜がなかったことを妻にからかわれ、さらに疑念をつのらせる。沖田はというと、章子との約束をキャンセル。妻の三重子からの電話で、コンサートに行くのに運転手を命ぜられたため。音楽評論家の野中とこれ見よがしに腕を組んで現れた三重子はとことん沖田に意地悪なのだ。その様子をしっかり見てしまった章子はさらに沖田への思慕を募らせるわけなんだな。
関山はというとくよくよと「都井岬」(YZの手紙に出てくるミステリー小説で、善意の第三者により成立する完全犯罪というプロットが今回の計画には参考になったと書かれていた)なんか読んでいるわけで、そこに同じ教員住宅に住むハイミスの女教師が届け物に現れる。それをビールなんか出して、妻にこさえてもらった食事をサカナにもてなしてるとイイ雰囲気になっちゃうのに結局手が出せない。女教師には嘲笑されてしまうけど、彼女はいきなり腹痛をおこし救急車で運ばれたりしたので「ひょっとしたら毒が入っていたのでは?」と関山はさらに妻に疑いを強く持つ。
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沖田は章子と休日にデートなどするのをたくらむと、みどりと三重子にムスコの英之輔を連れて行くように命じられてしまう。でもまぁ、章子はそれも楽しんでしまい英之輔と仲良く遊んで過ごしてしまうのでした。一方でみどりと三重子はすごいレズプレイやってて、およそ昼の帯ドラとは思えんな~

そして、YZからの第5便が届く。「9月13日の真夜中に計画を実行することにしました」との文面。ついに誰かが殺されるのか?それは誰なのか?
小沼は泰然としている。もう心配していないから。
関山は学校に泊り込む。
羽鳥は飲み屋の女のもとに逃げ、沖田は章子との逢引に走るとまぁ、それぞれの現実逃避。自分が殺されるかもしれないのだから。

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男たちがそんなことをやっていた夜、三重子が夜の窓に立ち、外を眺めながら
急に、夜が怖く見えてきたの…」とつぶやく科白はとにかく印象的。

そして13日の夜。
章子との不倫がすっかりバレバレの沖田は三重子とみどりに「いつか思い知らせてやる」なんていわれている訳で、帰宅した沖田に対しては三重子は無視モード。みどりにもイヤミを言われてすっかり暗い顔つきの沖田は「カギは僕の部屋にかけておくからね」とドア越しに三重子に告げて床に就くんだけど、そりゃ簡単には眠れない。
この日みどりは沖田邸に泊まる予定にしていて、通いの家政婦さんを送っていくのに一度沖田家から外へ出て行く。

関山はまた学校に居残りしてたが、不審な物音がしたのを確かめに行ってみると不良が3人くらいで女子生徒を手込めにしようとしているではないか!いままでの関山なら見てみぬふりをするところだったが、今夜は一味違う。死ぬかもしれないんだから怖いものなんてないのだぁ。左腕を切りつけられてもひるむことなく、不良たちを一喝し追っ払ってしまうのである。かっこいいなぁ。家に帰った関山はもう、そのまま怖いもの知らず。妻に向かって裸になるよう命じて「これから好きなときに好きなように抱くぞ!」なんて言って押し倒しちゃうんだな。そりゃ最初は抵抗するけど、結局むにゃむにゃと夫婦生活に突入するのね~。かっこいいぞ、関山先生。

羽鳥は飲み屋のねーちゃんの部屋に上がりこみ、何にもせず眠れないまままんじりとしない一夜を過ごすことになった。誘っといてそれはないでしょ。

そして、夜が明けた。
ねーちゃん(これってやっぱ荒砂ゆきだよな。太っちゃったけど)に「何よ誘っておいて!」などと何もしなかったのを怒られてどつかれ、目を覚ました羽鳥。自分の無事なのを素直に喜んだ。
沖田家ではいつもの朝を迎えていた。家政婦さんが来て、三重子を除いたみんなで朝食をとり(三重子はいつも朝が遅いので)沖田はそのまま会社へ。みどりは自宅に戻り、英之輔は幼稚園に。
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それを見送った家政婦さんは家がガスくさいことに気付く。三重子の部屋にはカギがかかっていて中の様子が判らないので警察が呼ばれた。窓を割って三重子の部屋に入った井原警部補(草薙幸二郎)ら刑事たちが眼にしたものは、ガス管をくわえて絶命している三重子の姿だった…


というのが、前半部のあらすじ
全20話でまるまる前半部を使ってやっと事件が起こるんだけど、そのぶん人物の描写にとても手間がかけてあってじれったい感じもするのだがそれでも作りこみがきちんとしてるので見ていて飽きることはない。
広角レンズを多用して撮られた画面で緊迫感があるのも一因だろうなぁ。面白いのは、けっこう広角でロングの画が多いけどその場合は手前に何かがはさまっていること。
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前田陽一の演出はけっこうドライな感じで、4人の男たちはかなり突き放された不安定さがしっかりと見てる側にも伝わってくる。逆に女性の描写は、だからといってウェットでもなく章子以外は男性に対して自己主張が強い雰囲気をうまく演出してると思います。
俳優陣はいいところを集めたなぁ。1972年「白い指の戯れ」でデビューしてキネ旬主演女優賞を獲った伊佐山ひろ子に、当時「裸が私のユニフォーム」などと開き直ってロマンポルノで活躍していた中島葵、それにからむひし美ゆり子に若松孝二監督のピンク映画で活躍した夏海千佳子とひとクセある女優陣がいいキャスティング。

さて、「YZ」とは何者なのか?三重子は自殺なのか?
殺人だとしたら、その犯人は?
この事件の謎解きは後半に続く。

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