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May 16, 2008

直撃地獄拳 大逆転

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直撃地獄拳 大逆転
1974年東映
石井輝男 監督
出演 千葉真一 佐藤允 郷英治 中島ゆたか 池部良 丹波哲郎ほか

注・郷英治の英は本当は金へんに英であります

昨年の秋開催された「いわて盛岡映画祭」ではプレイベントの「花くれないに」上映会に行ったのだが、上映プログラムに岩手大学映画研究会セレクトとして本作「直撃地獄拳 大逆転」が組み込まれていて、そのときには通好みの選択にへぇぇ、と感心しただけで終わったのだがちょうどこの時期にDVDが発売になっていたのを後で知り、つらつらとネットで本作の評価を見てみたらあまりにも「バカ映画」としての評価が高いことを知り「岩手大学映研おそるべし」と感心し、「これはひとつ見てみなくてはなるまい」と決意して今頃見てしまったのだが

確かにこれはバカだ

この「大逆転」は本作の前に「直撃!地獄拳」という正編があってその続編になるので、こっちを見てたほうが登場人物のキャラクターがよく判るようになってるのだが、まぁその辺は目をつぶろう。いずれ正編も見ることにする。
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ちょっとだけ前作から設定を引っ張ってくると、甲賀忍法の伝承者である甲賀竜一(千葉真一)は正編では探偵やってて、マフィアに同僚を殺された元刑事の殺し屋・隼猛(佐藤允)、大量殺人の死刑囚の桜一郎(郷鍈治)とともに警視総監だった嵐山(池部良)に集められてマフィア組織を倒すのが前作まで。その後甲賀は自衛隊に入り空挺団に所属。隼は相変わらずの殺し屋稼業。桜は女とくっついて平々凡々に暮らしていたのだが、嵐山いわく「緊急事態の事件」の解決のためこの三人を集めるよう前作にも登場した嵐山の姪、恵美(中島ゆたか)が奔走。
秘密の訓練なのに面会人が来ているってのはどういうことだ!と甲賀は上官に怒られ、もともと嵐山の部下だった隼は「水臭いじゃないですか」と嵐山のもとに速攻で現れる。「今回の事件は金になるぞ」てんで、どうしても金庫破りのウデに秀でた桜をこのチームに引き込みたいので甲賀は桜の家を訪ねるとものすごいブスの華子(松井康子)が出てきてびっくり。ウソついてむりやり華子の家から桜を追い出させて三人がまた揃った。っていっても、とにかくこの三人は大人げなくてなぁ、バカなんだよなぁ。
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意味があるようには思えないが、超ミニ姿の恵美からビデオを見せられた後に説明された今回の任務は慈善事業家ザビーネ・カウフマン夫人のダイヤ「ファラオの星」を盗み出した連中から取り戻すことと誘拐された夫人の娘を取り戻すこと。依頼人は保険会社の会長・衆木(丹波哲郎)。身代金として10億円を盗難の保険金で肩代わりするよう夫人の秘書・ブルーノ今村(名和宏)からも強く言われたことから一旦相手に金を払い、その後宝石と夫人の娘とを奪還する計画を立てるがこの計画は失敗。娘の身柄を取り戻したが金と宝石は取られてしまう。その結果、宝石が戻らなかったのだから保険金を自分に払うよう夫人は衆木に求めてきた。都合20億円の大損で、三人はただ働きになっちゃったのだ。一方、夫人は裏取引して宝石を取り戻していたってんでまた、ちゃっかりしてんのね。
もうおしまい、じゃぁねぇ~とその場を去った甲賀は夫人の泊まっているホテルに忍び込み、「ファラオの星」を盗み出すが翌日の新聞を見るとびっくり。「ファラオの星」の展示会はしっかりと開催されているじゃないの。夫人はガセの宝石の盗難届けも出してないのはなぜ?
「ファラオの星」の本物はロジャース銀行東京支店のビルに保管されているらしい。支店長のリコが赴任した先では同様の事件が起きているし、払われた保険金はすべてロジャース銀行に入金されていた。背後にはシカゴマフィア(またですか)がいると目されている、とは隼の情報。
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隼はこの宝石と20億の金をロジャース銀行から盗み出そうと計画。甲賀と桜もこれに加わる。なぜか恵美も参加してすばらしいロジャース銀行ビルの模型を使って恵美=中島ゆたかのスカートの中をのぞきながらシミュレーションに励む。実行のため役割分担し甲賀はは最新鋭の金庫を開ける手がかりを得るために支店長のリコの服に隠しマイクを仕込み、隼は電気工事屋の辰三(室田日出男)を引き入れビルを停電させる手順を整え、三人がかりで保管担当の自衛隊員(山城新伍)をだまして自衛隊の装備をちょろまかす。
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そんなこんなで、いよいよ計画実行。ビルには空からパラシュート降下するので飛行機で出発するが、そのパイロットは旧日本軍の航空服姿で現れた隼。これがまた、教則本読みながら高速道路のトンネルまでくぐるという恐怖の操縦を展開。あげくに「俺には着陸させるのはムリだな」ってパラシュート脱出しちまうんだもん。空中で乗り捨てたセスナはどうすんだよ。この作業のフローを管理する中島ゆたかのノートにはイラストまで書かれている。
甲賀と桜はどうにかこうにか金庫を開けて宝石と金をゲットするが、脱出の途中でレーザー警備システムに引っかかり桜の背中と尻に火がついてしまうんだが、それを消すのにションベンかけるのってどうなんでしょうかねぇ(苦笑)
結局見つかったので、コンクリートで出来ている割にはえらいドコボコ音がするビルの屋上で敵と大乱闘開始。実はマフィアの黒幕は今村だったんだけど、そんな謎解きはどうでもいいらしい。
ガラス張りの外装にしてはコンクリート地肌むき出しのビル外面をつたって下に下りると衆木の秘書・紅真湖(志穂美悦子)も参戦し華麗なカンフーを披露。千葉真一のお笑いカラテが炸裂して敵の「片目のサミー」(安岡力也)の目が飛び出し、名和宏は前歯を折られて首を90度ずつ回され一回転させられたあげく腹の臓物をつかみ出されて絶命。なんちゅうマヌケな死に様だ。
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そこに現れた衆木は実は警視庁の人間で、変装を解くとすっかり「キイハンター」の黒木警視正になってしまうし、真湖は実は香港警察の刑事。捕らえられた三バカは総監の命により2・3年のんびりするため網走刑務所に送られていくのだった。それを出迎えるのは「八人殺しの鬼寅」(嵐寛寿郎)でした。


石井輝男は、何を考えてたんだろうか?とまじめに考えてしまうけど

もう、こういうふうに徹底的に娯楽を提供してもらってるんだからそんなことはどうでもいいかもしれない。「恐怖奇形人間」のエンディングを見たら、あぁこれはあの感じがいっぱいばらまいてあるんだな、と思い出すだけでいいのだ。
これはまじめに考えてはいかん。もう、あるがままを受け入れなさい、という天の声が聞こえた気がした。

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だいたい、バカというものを知ってないとこんな主人公を考えないぞ。前に無理なお願いをされて金をフイにしてんのに、そのお願いした同じ人間にまた頼まれてるってのは普通断るだろ?学習能力がない、そんな主人公たちを作り出すんだもんなぁ。またこの主人公三人、互いの酒にフケ入れるやら鼻クソいれるやら卵とトマトジュースをかけ合ったりととことん大人気ないケンカしてる。お互いをバカとかとんちき呼ばわりしてるのからして大人気ないしさぁ。
郷鍈治演じる桜一郎がマンガ的で、おだてられるとすぐのせられるのも最高のマヌケさ。
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本作はコメディなんだなぁ、とつくづく感心したのが、劇中で郷鍈治の左手が接着剤でテーブルにくっつけられてしまった後そのままずっと手の形に切られたテーブルの板がはりついていること。しかもそれがどんどん薄くなっている芸の細かさに感心。鬼寅親分の登場もセルフパロディだもんな。一人二役の山城新伍とかレストランでの食事のくだりはあきらかに「コント」
石井監督は途中からどうでもよくなったのか、特に敵方の登場人物の扱いもぞんざい。「片目のサミー」以下「ジャックナイフ・ジョー」「ブラック・ウルフ」「ジャッカル」「ワンパンチ・ジム」ってマフィアの皆さんがいるんですが

みなさんどこにいるんですか?
ひょっとして現金の受け渡しのくだりでラグビーごっこやってたのが?

予告編もすごい。前作のフィルム使いまわしあり結局使わなかったフィルムあり。Drtd0273415
この露骨なスポンサーへの気遣いもすごい。協力がオリエント時計なんだけど、当然のごとく登場人物はみなオリエントの腕時計をはめてるし、壁面にオリエントのポスターが貼ってあるのをしっかりとカット割りまでして撮っている。頭が下がります。
これは文句なしに愛すべきバカ映画。
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