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January 25, 2008

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

以前にミステリー映画祭の上映会で見たけれど、まさかこの映画がDVD化されるとは…て言うもののこれは海外でのお話。
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synapse filmsというレーベルから(正確にはpanic houseからの販売)今回、ついに「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」がDVD化されたので、発売と同時に発注してゲット。このDVD、リージョンフリーなんで明らかに日本のマニアも狙っている商品。このほかにもsynapseでは東映作品をソフト化してて(「恐怖女子高校 暴行リンチ教室」とか)これまた嬉しくなってしまうけど、その辺はまた今後の課題だなぁ。
「恐怖奇形人間」は、05年の10月にミステリー映画祭で上映されたときのレビューを書き込んでたけど、今回DVD買ったので改めて見てみた。それにしてもこのDVD、どうみても日本のユーザーをターゲットにしてるぞ。
改めて思ったのは、石井輝男の感性の不思議さ。何考えてたんだろうか、とライトに考え込んでしまったです。

主人公、人見広介(吉田輝雄)はなぜか精神病院に入院中。
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監守(高英男)にひどく扱われながらも収容されているのだが坊主頭の男に命を狙われ、逆に彼を殺してしまい病院を脱走。出会った曲馬団の娘、初代(由美てる子)の歌う子守唄に広介は聞き覚えがあった。そして頭から離れない島の風景、美少女と醜い男の顔。彼女の知る風景にも覚えのある公介は翌日、詳しく話を聞くべく初代と待ち合わせをしたところ、彼女は何者かに殺され公介は殺人犯として追われる。素直な疑問、一日でこんなにひげって伸びるかなぁ。
「裏日本(死語)の子守唄らしい」との初代の言葉を頼りに裏日本を旅する広介は(旅費はどこから?)彼と瓜二つの顔の地元の名家の当主、菰田源三郎の病没を知りその町で調査開始。按摩のおばはん(加藤欣子)から聞いた所では、源三郎の父丈五郎(土方巽!)は手の指の間に水かきがあり人目を嫌い、家を執事の蛭川(小池朝雄)に任せて妻のとき(葵三津子)とともに孤島に渡り、島を改造しているとの話。
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変な坊主のいる寺(由利徹大泉滉)に葬られた源三郎が生き返ったように見せかけ、広介は源三郎になりすます。ちなみに、診断する医師は上田吉二郎。ここのくだりは見事なまでにコントで、間に挟まってしまった吉田輝雄はさぞかし吹き出すのをこらえるのに苦労したと思う。

菰田の家に入り込んだ広介は、源三郎の妻・千代子(小畑通子)のみならずいとこの静子(賀川雪絵)とも情を通じていた。源三郎と入れ替わっていることがバレないかとあれこれ苦労する広介の姿は、これまたコントの領域。
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しばらくして、家の中にせむし男が現れたりマムシが放されていたりと奇妙なことが起るようになり、千代子が何者かに毒殺される。
島の秘密に関係があると見た公介は蛭川、静子、下男の新吉を伴い島に渡る。そこでは父・丈五郎が奇形人間の王国を作ろうとしており、健常な人間さえ外科手術を施し奇形人間にしていた。(現れる方々は土方巽暗黒舞踏団のみなさん。大活躍です)
「わしはこの島を奇形人間の楽園にするのだ!正常な人間が奇形人間に服従するのだ!かたわの気持ちはかたわにしかわからん!」
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丈五郎から、広介が夢に見たものが何だったのかが明かされる。源三郎と公介は双子の兄弟だった。丈五郎の夢をかなえるため、広介を東京の知人のもとに預けこの島で奇形人間を作るために外科医にする計画だったのだ。夢に見た美少女は秀子(由美てる子二役)。そして醜男は彼女と人工的にシャム双生児にされた猛(近藤正臣!)だった。広介はこの島で過ごしていた時期があったので、島の光景を覚えていたのだ。
拳銃を向け、丈五郎は広介に己の野望へ協力を求める。その条件として、広介は秀子を切り離す手術をし、秀子と結ばれる。しかし、丈五郎は驚くべき事実を告げる。彼はこの島に妻のときを監禁していた。林田(笈田敏夫…出番これだけかい!)との不実に怒った丈五郎は林田ともども島の洞穴に妻を閉じ込めて林田を死なせ、傴倭男にときを与え初代と秀子を生ませていたのだ。結ばれた相手は異母の妹だった!
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近親相姦しちゃった事実を知り愕然とする広介。丈五郎は広介も蛭川も静子も、洞穴に閉じ込めようとするが、そこに下男の新吉が現れる。
彼は実は私立探偵、明智小五郎(大木実)だったのだ。明智の推理では、今回の一連の事件はみな蛭川の所業。面と向かって変態よばわりされるのって、どういうもんだかとは思うけどそれをしっかりと受け止める小池朝雄は偉大だ。静子とねんごろになり、菰田家の財産を狙っていた蛭川の悪事を知り丈五郎は激怒。静子ともども蛭川を地底湖に落とし込み、洞窟から逃げようとする。その丈五郎を追う小五郎。秀子と広介もときを鎖から放ち、後を追う。
ときを外に出し、広介はいつの間にか書いた手紙を彼女に託す.。
丈五郎を追い詰め、「ときさんはもう十分に責めを負っている」と説得する小五郎。ときも丈五郎に謝罪し、恨みはないと丈五郎を許す。丈五郎は改悛し、自らを恥じ舌を噛み切り果てる。
広介から明智に託された手紙には、広介と秀子は許されない愛を貫くため花火と共に星になると記されていた。
伏線も必要性もよく解らないままいきなり上がる花火。広介と秀子は、星になった…
おかあさ―――ん

DVDで見ても、やはりこのエンディングを見て、どうすれば笑わないで済むのだ?
この石井輝男クオリティおそるべし。
主役はやっぱり、吉田輝雄。石井映画の良心にして、なぜか定点。
石井作品ではだいたいこの人以外はみんな変な奴なんだが、他の東映時代劇では吉田輝雄も変な役しっかり演じている。こういうのがプロってもんですよ。とはいっても、この人のモノローグのあまりにも自信のなさそうな口調は、何だか一種の芸になってるよなぁ、と思う。
土方巽は、正直言ってかっこいい。この舞踏団の映像はアングラぽくてなんだか浮いてるんだけど、この映像は大変珍しいので見る価値がある。
女の裸いっぱいだし(^_^;)
最後の土方カットは途中で露出が思い切り変わっているから、自主映画みたいで地味にウケてしまった。こういうのって、実際に自分で映画を撮るとわかるですよ。フィルムは富士フィルムだし、発色がいまいちなのでなおさらです。

由利徹と大泉滉と上田吉二郎のコント風のくだりはすばらしい掛け合いなのだが、こういうブレイクを入れてしまう石井輝男の感覚には感服。おどろおどろしい物語の中でこれはウケる。一服の清涼剤の欽ちゃん走りよ。
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小池朝雄は、なーんでかこんな普通っぽい、変な人の役が結構ある。ものすごい異常性格だよ、蛭川って。それを淡々とこなす小池朝雄は不思議な人だ。後に刑事コロンボの声でメジャーになっても、彼のスタンスはあまり変わらなかったらしく、TV版の「三つ首塔」なんかでも変な役だった。どんな人なんだろ?と「三つ首塔」見たときの驚きは何と言っていいのやら。アミアミのシャツ着てSMショーでムチ振るってるんだもん。
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東映は元満映のスタッフが移ってきた会社なのだそうで、この満映はとにかく「なんでもあり」の間口の広さが売り物だった。こういう「見世物映画」を楽しむ素養が十分にあった会社だから、その空気を持ってきたスタッフにより東映は「エログロナンセンス」映画を作る下地が十分あった制作会社だったそうな。
作り手に勢いがあるもんだから、微妙につながらないところもたいして気にならない。初代に会うときに1晩で公介がひげ面になったり、金もないはずなのに裏日本を旅したり、いきなり出てくる島の花火って何しにあるのかとかなんて不思議がいろいろあるけど気にしちゃいけない。
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映画を楽しむのに、理屈はいらないぞ。実はこの作品、なにげに乱歩の世界をかなりいい感じで映像化してると思う。曲馬団、レビュー、畸形、狂気、エロといった要素をうまく詰め込んでいる感じ。この爆笑の結末をさっぴいても、乱歩の世界の再現はかなり成功している、と思うんだけど…。
他にも石井輝男の映画は見てみないといかん。

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January 20, 2008

鳥海尽三

 鳥海尽三っても、この名前を覚えている人はたぶんタツノコプロの
アニメをよく見てた人だろうと思うけど…17日に亡くなったとの報せ。

もともとは日活の映画の脚本を書いていたそうで、「お月さん今晩わ」とか
だから言ったじゃないの」「若い港」の脚本を酒井尽三名義で担当。
1964年に虫プロの文芸部に入り、「鉄腕アトム」の脚本を担当。
翌年、竜の子プロに移り竜の子プロの第一作「宇宙エース」の脚本を担当。
これから後のタツノコプロの黄金時代のエースライターとして大活躍してて、
ガッチャマン」が好きで毎週見てた自分にはこの名前が刷り込まれました。
この時期のタツノコプロ作品なら間違いなく脚本を書いている。

この時期、夭逝したSF作家の広瀬正と一緒に活動してたとは知らんかった。
「マイナス・ゼロ」はまさに広瀬正の代表作。
だけど、タツノコプロの黄金期も社長の吉田竜夫が77年に亡くなったことで
終息して一気に停滞期に突入。ちなみに、ワタシこの頃買ってた「小学5年生」
だったと思うが、なんと吉田竜夫本人が描いたガッチャマンの漫画が掲載
されてたのを読んだ覚えがある。絶対に単行本にはならんだろうなぁ。

吉田竜夫の遺作になってしまったのが、先日リメイク版が放映開始になった
「ヤッターマン」だったとは。
その脚本も当然のごとく鳥海尽三は書いてたけど、77年にタツノコプロから離れる。
吉田竜夫あってのタツノコプロだったということなんだろうけどなぁ。

「ヤッターマン」がリメイクになって、放映開始されて亡くなるとは何か因縁めいてる
ような気もする。

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January 06, 2008

愛についてのキンゼイ・レポート

もともと、新年の第1作として予定してたのは「マイラ」だったのだ。
このレビュー史上初の日本語字幕なしのソフトに挑もうと気合を入れていざ
PCで見ようとしたら…どうしてもディスクが認識できず、断念。

くやしいのでまたアメリカに発注かけた。

で、こうなると何か見ないと気がすまない。最近あまり洋画見てないし、
なるべく洋画でおクラ入りしてたソフトは何かあるか探したら、たまたま
当たったのがこの「愛についてのキンゼイ・レポート
そういやぁ、女性のアソコとか男性のアレとかが画面にモロに写っている!
(劇中映されるスライドの画面だけど)という週刊新潮だったかの記事を見て
「それはぜひ見なくては」と思ってソフトだけ確保してたんだっけ。

新年早々に見るようなものでもなかった気もするが、見てみました。
ある意味、学問とは難しいものだとしみじみ思ったです。

愛についてのキンゼイ・レポート KINSEY 2004年アメリカ・ドイツ
監督・脚本 ビル・コンドン
製作 フランシス・フォード・コッポラ他
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厳格な父親(ジョン・リスゴー)の教えのもとで育ったアルフレッド・キンゼイはその教えに反発。「エンジニアになれ」と強いる父の指示にそむいて大学を退学して違う大学に入りなおして、もともと好きだった生物学の研究に転進する。激怒した父親とはこのおかげで没交渉に。
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ボードン大学からハーバード大学に進み、インディアナ大学でタマバチの研究の第一人者となったアルフレッド・キンゼイ(リーアム・ニーソン)はその教え子の一人クララ・マクミレン(ローラ・リニー)と親密になり、結婚することに。
で、初の夫婦生活を行おうとしたけれどなかなかうまくいかない。困った二人は産婦人科医に相談。「奥さんの処女膜はたいへん丈夫なのです」などとレクチャーされて勉強した二人はついに思いをとげた。よかったよかった。
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そんな折、学生結婚したカップルから夫婦の性生活について相談をうけた彼は一般に読まれていた本のためモラルと真実とがすりかえられたままになり実際の状況とあまりにかけ離れた性知識が広がっていることを知る。
そんなキンゼイ博士は学内で結婚講座を開講。助手としてクライド・マーティン(ピーター・サーズガード)に協力を求め、講義を行った(問題のスライドはここで出てくる)が、キンゼイは一般に蔓延している誤った性への概念を改めるには実際の性生活について広く調査し、その実情を報告するべきだと考えるように。
家庭でも娘たちとえっちな話ばかりしてるもんだから息子のブルースには愛想を
つかされて家を出て一人暮らしをはじめたりとプライベートではいろいろ。
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助手としてさらにワーデル・ポメロイ(クリス・オドネル)、ポール・ゲブハルト(ティモシー・ハットン)を採用し、全米をまたにかけての調査が始まる。

ロックフェラー財団からの援助も得て、その調査結果は「人間における男性の性行為」として1948年に出版され、ベストセラーに。一気に時の人となったキンゼイだったが、この報告に反発し批判する人々の仕組んだ訴訟沙汰に悩まされたり、マッカーシーの赤狩りにもひっかかり「キンゼイ報告は共産主義を助長するのではないのか?」
などと因縁をつけられたロックフェラー財団は資金援助を取りやめたりとどんどん八方塞がりにおちいる。大学からのサポートも失ったがそれでもキンゼイは調査を継続。
その博士を支えるクララへの感謝を伝えるキンゼイの言葉で、この映画はエンディング。
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実際のキンゼイはけっこうな変態趣味の人だったらしく、家族や助手、学生らに自由な性交渉を勧奨してたり自身が両性愛でマゾだったとかの話が伝わってるけど、映画の中ではその点はあまり触れていない。でも学問を広げるからって、助手のクライドと男同士のえっちをするのか?それに助手の妻ともフリーセックスしてるのをわざわざフィルムに撮ったりするのかぁ?というくだりでは何となーくそんなことも伝わってくるけど。
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そんないい加減な奴がこさえた報告なんか信用できるか!と反発する人たちもいるだろうし、それにこの調査手法に実はちょっと問題があった。対象があまりランダムとはいえない(刑務所に服役していた人間の比重が高い)ことと面接調査というメソッド的な問題なのだが作品ではこの点はスルー。(←この方がキンゼイ博士本人)
キンゼイ本人は1953年に「人間における女性の性行為」を出版したのち、1957年に亡くなっているのだけど、この人ファンキーだよなぁ。ミイラ取りがミイラになった典型だと思うもの。映画はえらいきれいにまとめちゃったけど、もっとえぐい雰囲気の人を創り出してもよかったんではないかなぁ。

監督・脚本がビル・コンドンということで、作品自体はクオリティ良好。
このあとに撮った「ドリームガールズ」でオスカーゲットだもんなぁ。
リーアム・ニーソンもいい仕事をしていると思う。劇中キンゼイが心臓の不調で
倒れるくだりがあるけれど、この以前と以後とで見事に演じ分けしてる。
変態ぶりもまじめなんで素晴らしいです。
ローラ・リニーもいいサポートしているし、ピーター・サーズガードはちん○丸出しで
熱演。脇もいい感じでジョン・リスゴーとか劇中最後のインタビューを受ける女性
はリン・レッドグレーブってのはジブン世代にはありがたい。
主なキャストはなかなか手堅いメンツであった。

むかし、山上たつひこのマンガでえっちの仕方を鳥に教えてもらう話があったのを
思い出したけど、そりゃはじめてのときは…

恥ずかしくて、人に言えないことばっかり(〃ω〃)
エロ本見て女の人のはどうなっているのか勉強したくっても
肝心の部分は修正してあって判らなかったしなぁ

ワタシも大人になりました。

ひとそれぞれのいろんな思い出があるかとは思います。
またこれが結構面白いんだけどな。

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January 03, 2008

謹賀新年

このページをご覧になられている親愛なる皆様

あけましておめでとうございます。
このブログもほそぼそと、なんとか続けてまいりました。
しかし、我ながらホントに「ほそぼそ」だよなぁ。

というのは、本当ならもっとたくさん映画を見てたくさん
レビューをアップするのが筋ってもんだと思うけど、そんなに
アクティブにやってないんだもの。こんなにズボラで使命感も
何もないままでいいのだろうか?

って、そんなに深刻に考えているわけでもないのですが…

まずは今年も、ゆっくりしっかりと歩んでいきたいものと思います。
ほそぼそ続くかもしれんですが(その可能性大だが)
引き続き、よろしくお願いいたします。

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