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October 24, 2007

花くれないに

大昔、ワタシが子供だったころは夏も冬も映画館で楽しんでいた。
東宝チャンピオンまつり」と「東映まんがまつり」の双璧が覇を競って
いたのだが、自分的には東宝のほうが好きだったなー。
ゴジラシリーズの再編集版とか、「地球防衛軍」とかの特撮映画をメイン
にしてほかにサブの作品が上映されていたけれど、とにかく映画館が
にぎやかで良い時代ではあった。

盛岡の映画祭も、そういう時代を何とかまたカムバックさせたいと願っての
イベントなのだろうけれど、昨年まで開催されていたみちのく国際ミステリー
映画祭はとりあえず終了となってしまい(いろいろと事情はあるようだが
新たに今年から始まったのが「いわて盛岡映画祭
こちらはミステリーの枠にとらわれない、コンペ抜きの映画祭イベントに
衣替えとなった。コンペがないのはちょっと淋しいけどなぁ。
そのミステリー映画祭の番外企画で昨年上映され、大変な動員率となったのが
この「花くれないに」。1957年の作品だけど、本編の撮影がほとんど盛岡で
ロケーションされたので、昔の盛岡が見られる!と評判になったのだ。
なにしろ当時エキストラで参加した人たちも見に来てるんだもの。
ワタシも見てみたかったが、いろいろあって見に行けなかったのだ。
しかし今回、この「いわて盛岡映画祭」のプレイベントで上映されるので、
また、会場が岩手県公会堂というので見に行くことにした。

10月20日は今にも泣きそうな空模様で、少々寒かった。行ってみると、
会場の5割ほどの客の入り。当然のごとく、平均年齢高い。
岩手県公会堂は築80年の年季の入った建物で、こんな日だと結構寒いのだが
会場にはストーブが焚いてあった。何とかこれでやり過ごせる。
客席後端にどんと、でかい映写機が二台据えてあった。こういうの見ると
楽しさ倍増。
上映前に南部興行の小暮社長による抽選会が行われ、簡単な前説を聞いて
本編の始まり始まり。

花くれないに  1957年松竹
監督 高畠恒男
脚本 猪股勝人
主題歌 コロムビアローズ

西北大学を卒業してしばらく浪人の後、岩手県の今石東高校で教職に就く
ことになった朝田恵太郎(高橋貞二)は上野から列車に乗って今石まで
やってきた。道中一緒になったお琴の先生、水沢まき(夏川静江)に席を譲ってあげたことから親しくなる。駅に着くと出迎えの小使いさんの千厩(渡辺篤)が待っており、「教頭とPTA会長がお待ちかねです」とPTA会長の五本松重吉(柳永二郎)の家まで連れて行かれる。その場で押川教頭(中村是好)に自分の一味に協力を求められるが、よく訳がわからない。
その足で大学の先輩である東高の教師、佐久間(菅佐原英一)の元を
訪ねた恵太郎は佐久間から大歓迎され、居酒屋に誘われる。
居酒屋「山小舎」で飲んでいると、そこには街医者の若杉慎吾(笠智衆
実は二人は、東高をめぐる教頭と五本松の奸計に反対し共闘していた。
山小舎の看板娘、阿津子(中川弘子)は佐久間にやもめの佐久間に
気がある様子。
酔っ払った若杉先生を、阿津子と一緒にリアカーで家まで送った恵太郎
は若杉の一人娘、朝子(小山明子)と出会う。

汽車の縁で水沢家に下宿することとした恵太郎、まきの娘の節子(夏川かほる)から朝子が南高の音楽教師であることを教えられる。今石では高校生は男女共学でなかったのだ。共学を主張する佐久間や若杉派と、それに反対する五本松と押川たちの一派が互いの主張を譲らない状態で、男女合同の運動場の建設計画をめぐり五本松らはその予定地に競輪場を誘致しようとしていた。
その五本松の息子、武富(清川新吾)は節子にラブラブ。
宿直の夜、学校で泥棒を捕まえた恵太郎の株は急上昇。一度は
五本松にたきつけられ朝子たちにきつく当たった恵太郎だが、押川たちの
策略に気づき、保守的な押川たちに朝子たちとともに反対行動をとる。

武富は愚連隊に因縁つけられた節子を助けるため、自ら罪をかぶり
激怒した重助に東京へ転校させられる。重助は競輪場の誘致活動を
さらに進めるが、これには東高・南高の生徒たちもデモ行進で反対活動。
それを知った武富はいそぎ今石に戻り重助を説得するが、重助は聞く耳
をもたない。苦悩する武富は薬を飲んで自殺を図るが、恵太郎に発見され若杉が治療にあたることに。
息子の命を助けてほしいと、涙ながらに若杉に頼み込む重助。その気持ちに応える若杉。あぁ、涙なみだ。

武富は一命をとりとめ、息子の体を張った訴えにうたれた重助は競輪場の誘致活動を中止する。学校で押川を殴った佐久間は北海道に旅立つが、それについていく阿津子。
押川は特定の人物と癒着があると教育委員会からもにらまれ、ほかの学校へと去っていった。
南高と東高、ふたつの高校の生徒たちの合同ハイキングには明るい歌声がひびくのであった。


とにかく、昔の青春映画です。

なんだけど、よく見るとキャストがいいのだ。押川教頭の中村是好なんて、すごいいいぞ。細かいとこまで押川のキャラクター作りがうまいのですな。座敷で幇間芸やってるのもうまい。エノケンのカジノフォーリーのレギュラー役者だった人で、エノケンの映画にも多数出演。最後の作品は「ゴジラ対ガイガン」だったとは。
千厩の渡辺篤も、実にいい味。この人、黒澤作品では不思議な役どころばかりだけど、元々は古川ロッパの「笑いの王国」の役者の一人で小林信彦が賞賛していた位の人だから、こんな風に喜劇の演技は手馴れてるのですな。
校長役の須賀不二夫もとにかく事務的で印象的。
小山明子はきれい。後に大島渚と結婚するとはねぇ。
変な因縁めいてるのは高橋貞二。松竹の二枚目スターとしてますます活躍していたが、本作の二年後に交通事故で亡くなる。後の二枚目スター、佐田啓二も交通事故死してるし松竹の看板は早死にしやすいのかも。

ロケの場所は上の橋=恵太郎が駅から降りて歩く橋、中の橋=高校生のデモ、盛岡駅=今石駅、盛岡一高の旧旧校舎(白亜の由来がわかる)=今石東高、盛岡二高旧校舎=今石南高、馬検場、あさ開酒造=五本松邸、高松の池、岩手公園など。
旧岩手中央バスの車体も新鮮だし、中の橋の場面では岩手銀行旧本店の建物が真っ白なのがわかる。とにかく、昔の盛岡がいっぱいなのでうれしくなるのは確か。
昔の松竹の映画だと結構「ご当地映画」あると思うから、ぜひ積極的に
DVD化してご当地で売ってくれればありがたいなぁ。

古い公会堂で見るというのも、シンクロして楽しい体験になりました。

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