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September 19, 2007

サヨナラ

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」はめでたく我が家に到着しました。
以前、ミステリー映画祭の上映で見たけれど何度でも見られると思うとねぇ。
楽しいですわ。

先日、新聞を読んでいたらナンシー梅木の訃報が載っていた。
ナンシー梅木というよりも梅木ミヨシのほうが有名かも知れんけど、この人は
日本人俳優でただ1人のアカデミー賞ウィナーだったのだ。その受賞作がこの「サヨナラ」なんで、いったいどんな演技してんのかすごい興味があったのでDVDを手に入れて…熟成させること1年。 

やっとこさ見ました。

サヨナラ SAYONARA 1957年
監督 ジョシュア・ローガン
脚本 ポール・オズボーン
主題歌 アーヴィング・バーリン
Sayonara_nihongo3

1951年、朝鮮戦争のさなか空軍少佐ロイド・グルーバー(マーロン・ブランド)は最前線から神戸の司令部付に転属となる。そりゃ婚約者のアイリーン・ウェブスター(パトリシア・オーエンス)はロイドの父の親友のウェブスター将軍(ケント・スミス)の娘で、もうすぐ結婚させようってのにケガなどされたらまずいからって訳で、彼の部下ジョー・ケリー(レッド・バトンズ)も彼と共に神戸に移動。ケリーには日本人の婚約者カツミ(梅木ミヨシ)がおり、神戸で結婚する決意をロイドに告げる。
おりしも当時の米軍では、外国人との結婚は認められない状況。本国に連れて帰るにも審査が厳しくて、まずムリ。そういう状況なのでロイドもケリーの結婚を素直に祝福はできない。
神戸に着いたロイドはケリーから結婚式の立会人になるよう頼まれる。初めは断るロイドだけど、ケリーの熱意に負けて引き受けることにした。ロイドを出迎えたのはロイドの父の親友であるウェブスター将軍とその夫人(マーサ・スコット
まずは米国人専用クラブに向かった彼らは、その入り口でもめている海兵隊大尉マイク・ベイリー(ジェームス・ガーナー)に出くわす。彼は日本人の恋人フミコさん(クバ・レイコ)を連れてクラブに入ろうとしていたのを諌められていたのだ。マイクはウェブスター将軍とロイドにもたしなめられ、その場を去る。
ロイドはアイリーンに連れられナカムラ(リカルド・モンタルバン)の出演する歌舞伎を見に行き、アイリーンに彼を紹介される。
その帰路、アイリーンに「わたしを本当に愛しているの?愛しているならプロポーズして」と問われロイドは
「軍人の家に育った君のような女性と結婚したいと思っている」などと答えてアイリーン怒る。
「私は1人しかいないのよ?何もかも捨てて私と結婚したいとは思わないの?わたしと婚約したのは親から薦められたからなの?」
とほんとうの愛情を求めるアイリーンをロイドは理解できない。結局ケンカ別れ。
ケリーとカツミの結婚式に立ち会ったロイドはすぐ後にウェブスター夫妻に呼ばれ「立会いも問題だけど、娘とはどうなっとんだ」と問われる。「彼女も僕もまだ迷いがある」と答えるのだけれど、たまたまやってきたアイリーンとはやはりギクシャク。
クラブに酒をひっかけに来たロイドはマイクとたまたま一緒になる。先日の非礼をわびて遊べるところ教えてくれ、とロイドが頼んだことからマイクと親しくなり、自分の身上を語るロイド。Sayonara_nihongo2

公園の橋を渡ってマツバヤシ歌劇団の女の子たちが劇場に入るとマイクに教えられ見物に行くロイド。そこでトップスターのハナオギ(高美以子)に見惚れてしまうロイドは早速マイクと連れ立ってマツバヤシ歌劇団の公演に出かけるのだけど、ロイドのハナオギへの熱はさらに高くなる。終演後に宿舎にもどるハナオギを待ち伏せするロイドはケリーとカツミにハナオギの紹介を頼むけれど、ナシのつぶて。とにかくハナオギと話したいロイドは一生懸命ハナオギの追っかけに励む。
そしてついに、ケリーの計らいのおかげでロイドはハナオギと会うことができた!
ハナオギは米軍の爆弾で父を亡くしていたのでアメリカ兵は大嫌いだったのだが、ロイドがカツミの結婚に立会いカツミに優しく接していたことを知り、二人は急速に接近。ラブラブになり人目を忍んで逢引を重ねる。
おかげですっかりロイドは日本の暮らしに慣れちゃって、ケリーの家でハナオギに逢うときは和服姿だし。
Sayonara_nihongo7

でもそこに現れるアイリーン。ケリーの家が監視され、結果ロイドの行動もチェックされていると忠告する。
それでもロイドはハナオギとの逢瀬を重ねるのだけれど、そんな中ケリーに本国への転属命令が出る。反対するロイドは上司のクロウフォード大佐に掛け合うがダメ。
ウェブスター将軍にも直訴するが「君だけを特別扱いはできない」と退けられる。
なぜ彼をかばうの?と夫人に問われたロイドは「僕も日本人との結婚を考えています」と答える。キャリアを捨ててもいいと考える、そんなロイドを認めるアイリーン。かっこいいじゃん。そんなアイリーンはナカムラと接近中なのさ。
ロイドは結婚を真剣に考えているとハナオギに告げるのだけど、彼女は結婚は
できない、と告げる。家の借金をチャラにしてくれたマツバヤシには義理があるから
なのだ、と。そして彼女も東京へ異動の指示が出ていた。
その日の晩、ケリー、カツミ、ロイド、ハナオギの4人で心中ものの文楽を見に出かける。このくだりは4人のそれぞれの思惑が見えて面白い。
帰るとケリーの家は憲兵の手で封鎖されていた。ロイドも司令部に連れて行かれ、
ケリーはある決意を固める。ロイドも急遽本国に異動となり、それまで外出禁止と
なった。が、憲兵が行方のわからなくなったケリーの情報を得るためロイドに助言を求めてきた。Sayonara_nihongo9
ケリーの家に何度も出入りして「グルーバーさん」と呼ばれるくらいに顔なじみなもんだから、周辺の日本人にはロイドのほうが聞き込みしやすいのだ。ケリーの家に向かったロイドは家の中で心中しているケリー夫妻を発見する。出てきたロイドとマイクを暴漢が襲う。が、顔なじみのロイドを守ろうとする近所の人たちとの間で大乱闘。
脱出したロイドはマツバヤシ歌劇団にいるハナオギに会おうとするがハナオギは東京へ向かった後。
ウェブスター将軍に帰国を勧められたロイドは東京へ向かい、ハナオギの後を追う。
もうすっかり有名人のロイドは歌舞伎座でのレビューの最中にハナオギに
「自分の気持ちを裏切って生きることはつらいことだ。君の本当の気持ちを聞かせてほしい」と求婚したのだが…Sayonara_nihongo14


マーロン・ブランド(発音的にはブランドォ)って、子供心には「ゴッドファーザー」のドン・コルレオーネのイメージが強いけど考えてみたら若い頃の映画って見たことなかった。で、この作品での演技を見た限りでは、天才肌というのがぴったりかも、と素直に感心。軍人の家に育ったぼんぼんの空軍少佐というキャラがうまく表現できてる演技だと思う。もっとも、ホントに天真爛漫な人だったんだろなぁと思うのが演技のアラ。カットが変わると手の位置が変に変わってるのが多いこと。実際、この作品のロケでしばらく日本に滞在したのだが関係者いわく「ホントに楽しそうに過ごしてた」だって。後に「ロックフォードの事件メモ」で大ブレイクのジェームズ・ガーナーとの掛け合いはなかなかいい感じ。ガーナーってこういう風に「なにげにウィット満載」のキャラクターなのだな。リカルド・モンタルバンも「スタートレック」(宇宙大作戦)のカーン役で有名になったし、テレビでブレイクしたひとが多いな。
マツバヤシ歌劇団(ちゃんと歌舞伎座での公演のときは「松林歌劇団」ののぼりが
あった)てのは松竹歌劇団のもじりで、実際にSKDが撮影に協力してたのね。
歌劇団の畳の上での練習風景はちとうまくないけれど、他はおおむね日本文化に
対して好意的に描いてある。昔のアメリカ映画は日本に敬意を払ってくれてたのだ。
「グラン・プリ」なんかは見てるとうれしくなっちゃうのに、70年代以降だんだんに
そういう感覚がなくなってしまった。まぁ、ロイドがケリーの家に通うようになりいきなり家では着流しですごす描写とかはちと笑うけど。あと、この作品のヒロイン、ハナオギを演じた高美以子って誰だ?と思って調べてみたら、このひとアメリカ人じゃん。シアトル出身のおかげで日本語ヘタなのね。
リカルド・モンタルバンの歌舞伎役者はムリあるけど、見た感じではかなり練習した
と思われる。所作はまずまずの出来。でものっけから黒子と一緒にヘタな日本語
ってのも…Sayonara_nihongo18

この映画、実は58年のアカデミー賞では10部門にノミネートされて4部門で受賞。
監督のジョシュア・ローガンはこの頃ノリにノってただけのことはある。
ケリーを演じたレッド・バトンズとカツミを演じた梅木ミヨシがそろって助演賞を受賞してるけどその演技はというと…レッド・バトンズはまずまずかなぁ。梅木ミヨシはこれでよかったのかなぁと思うけど。それでも、日本人俳優で唯一のオスカーウィナーという名誉は色あせることはない。
週刊文春の連載で小林信彦が「日本人俳優でただ1人のアカデミー賞受賞者なの
にマスコミの扱いが冷たすぎる」と憤慨していたので、ナンシー梅木のことをIMDB
で調べてみた。北海道小樽市出身で終戦後アメリカ軍のジャズバンドにナンシー梅木名で参加。アメリカに移り「アーサー・ゴッドフライと仲間たち」というテレビショーで1955-1956年にレギュラー出演したことから人気が出て、アルバムもリリース。そしてこの「サヨナラ」でアジア人俳優としても初のアカデミー賞を受賞という快挙。
この後ブロードウェイでも「フラワー・ドラム・ソング」で中国人の娘役で成功しトニー賞にノミネートされて映画版にも出演。だけど、映画の出演作は少なくてこのほかには「嬉し泣き」「戦略泥棒作戦」と「A Girl Named Tamiko(忘れ得ぬ慕情)」「というアメリカでの出演と渡米以前に「青春ジャズ娘」(松林宗恵監督)と「ジャズ・オン・パレード1954年 東京シンデレラ娘」(こっちは井上梅次)という新東宝映画への出演暦だけで、あとは主にアメリカでのテレビシリーズでのキャリアになる。1972年に女優としては引退しダンスを教えたりしていたらしい。結婚と離婚・死別などありつつ、最後には家族が近くに住むミズーリ州の老人施設でがんのため死去したのがこの8月27日。享年78歳。


こういう日本を舞台にしたハリウッド映画はもっと見てみたいのばかりある。
マーロン・ブランドがこれまた出演の「八月十五夜の茶屋」とかサミュエル・フラー
監督のトンデモ作「東京暗黒街・竹の家」なんかはちゃんとDVDにしましょう。
だいたい笑える楽しい作品なんだから。
この映画では、個人的に笑ったのは「炭坑節」がよく出てくること。なぜ?
Sayonara_nihongo16


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