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August 23, 2007

哀惜

かれこれ20年以上、たまに出る芝居にいろいろと関わってくださっていた
方が先日急逝した。48歳とは、まだそんな年齢ではないというのに。

どうしても実感はわかなかったが、お通夜に参列して実際に棺に収まった
彼を見て、納得せざるをえなかった。
前日まで普通に過ごしていて、翌日の朝、倒れているのが見つかったとのこと。

喪主は奥さんなのだけれど、まだ若い方なので突然のこの事態にすっかり
憔悴していた。まして、喪主をつとめるということはそういう精神状態にかかわらず
やらなくてはならないことが多いのだ。見ていて、本当にぼろぼろな感じだったのが
なおさらやるせない。

彼は私の次兄と同窓生になる。
4年前に亡くなった次兄のことを思い出してしまった。

長い休みになると必ず実家に次兄は車で帰ってきていたのだが、その年は
早めに戻ることにして盆の明けるその当日、朝に盛岡を発ち自宅に帰っていった。
自分はというと、彼の車がなくなっているのに気づいてやっと、帰ったんだなと
思った程度だった。
その日の晩に次兄から「無事着いた」と電話が母にあった。

3日ほどして次兄の勤める会社の上司から電話があった。
「出社していないのですが、まだ実家においででは?」
送り出したこちらとしては、それはおかしな話。もう無事に戻ったはずなのに。
次兄に電話をかけても出ない。携帯も出ない。何か様子がおかしい。
その日の夕刻、長兄と自分とで様子を見に行くことにした。新幹線に乗り
次兄の住むアパートに着いたのはもうすぐ日付の変わる頃。彼の乗っている
車があった。部屋の前に立つと、明かりが点いている。悪い予感。
鍵を開けてドアを開くと、次兄の灰色の足の裏が見えた。うつぶせに倒れていた。

警察を呼び、実況見分をしているあいだ外で待っていたが夜空は晴れて、星が
見えた。聴取も終わり、解放されたのは午前3時を過ぎた頃。
駅前のカプセルホテルに泊まることにしたけれども、とても眠れない。母に連絡
入れていたので朝に出迎えしなくてはならないし。

まんじりともしない朝が来て、それからはぱたぱたと忙しかった。葬祭場を借りて
次兄が検死から戻るのを待ち、戻ったら祭壇をこさえた。弔問には会社の方々が
たくさん来てくれた。何とか実家まで連れて帰りたかったけどそれは無理な状況で
仕方なくお骨にして実家に連れて帰ることにした。火葬はすぐ翌日。
地元ではお骨は木の箱に収めるが、次兄の住んでいた厚木では骨壷に収める
そうで、このとき使ったがこれがまた結構重い。お骨を収めて盛岡に帰ることに
して、ずっと電車で移動したのだけど長兄はこの骨壷をずっと自分で持っていた。
重いのは判っていたから、代わるよ、と声をかけても彼はずっと抱えたまま。
盛岡の実家までたどり着いたとき、叔父や叔母たちがずっと待っていてくれた。
そして、骨壷に収まった次兄に「お帰りなさい」と語りかけてくれた。このときに
初めて長兄が泣いているのを見た。声も出さずに、我々に背を向けていた。


残される側には、どうしてもつらいことだらけ。あれから4年経ったのだがやはり
思い出すと切なくなるなぁ。
自分はどういう最期を迎えるのだろう、といつもなんとなく考えている。

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