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July 28, 2007

ブラジルから来た少年

買っておいていつまでも見てなかったDVDを何とかしよう!ということで
このソフトいつ買ったっけな?というのでは代表格の作品であった、
「ブラジルから来た少年」をやっとこさ見た。発売と同時に買った覚えが
あるから、発売日を調べてみたら2004年の1月。…三年前でしたか。
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なんでこれ買ったのかというと、その昔「スターログ」というSF映画の専門誌(一度休刊して一時季刊誌で復活したけど、その後はどうなったかな?)で注目の新作映画として紹介されていたのに、結局この作品は日本では公開されずそれっきりだったのにDVDが出るってんで喜んで買ったのでありました。思い出した思い出した。
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原作はアイラ・レヴィンの同名小説。読んでないけど、たぶん面白いはず。
アイラ・レヴィンといえばヒットの打率がえらい高い人で、「死の接吻」とか「ローズマリーの赤ちゃん」に「デストラップ 死の罠」など聞いたことある作品のオンパレード。けっこう寡作なのに。
「死の接吻」は読んだことあるけど、えらい面白かったのにいつまで経っても映画化されずにいるなぁ(出版は1953年で、アイラ・レヴィンが23歳のときの作品というのに驚いた)と思ってたら1990年にやっと映画化。
マット・ディロンはともかくショーン・ヤングかぁ…?と思ってたらやはりラジー賞
ウィナーになっていた。生きてる方と死んでる方って、1回で2度受賞(^^ゞ
原作が難物で、映像化はちときついのはよくわかるけど。
もともとはそんな人が1976年に発表した作品が原作で、クローンのネタを
しっかり取り入れたなかなかスリリングなプロットであります。
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監督はフランクリン・J・シャフナー。この人もすごいぞ。オリジナル版「猿の惑星」を撮ってるし、アカデミー賞7部門ゲットの「パットン大戦車軍団」の次の次に撮ったのがこの作品。基本的には正攻法の構成をするひとで、いきなりこの人の作品を見てもたぶん誰でもすんなりこの世界に入っていけるはず。
音楽はジェリー・ゴールドスミス。70年代の定番作曲家だけどちょうどこの時期は
ジョン・ウィリアムスがスター・ウォーズで大ブレイクした後なので影がすこし薄い。
キャストも良いぞ。主役のリーバーマンがローレンス・オリヴィエ、悪役のメンゲレ
にグレゴリー・ペック、その補佐役サイバートがジェームス・メイスンと渋いところが
集まっている。これで何で日本では公開してもらえなかったんだろ?
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発端はパラグアイ。ユダヤ系のアメリカ人学生バリー・コーラー(スティーブ・グッテンバーグ)が旧ナチスの残党が動き出していることをキャッチした。写真も撮り、ウィーンにいる高名なナチハンターのエズラ・リーバーマン(ローレンス・オリヴィエ)に連絡するのだけど、なかなかとりあってもらえない。ナチの監視を続けるコーラーはヨゼフ・メンゲレ博士がパラグアイ入りしたことを知る。
ナチス会の会合場所に盗聴器を仕掛けたコーラーは、メンゲレが「これから2ヶ月半のうちに94人の、65歳の男性を殺害する」という計画の実行を発表したのを録音するのに成功。しかし盗聴がバレたコーラーはちょうどリーバーマンに電話でそのことを伝えている最中に殺されてしまう。

メンゲレの計画は開始され、何人かの65歳の主に公務員の男性が殺害された。
一方、コーラーの死に責任を感じたリーバーマンはロイターのウィーン支局長に
談判し65歳の公務員の男性の死亡情報を集めるよう依頼。その中で西ドイツの
グラドベックの郵便局員エミール・ドーリングの未亡人を訪ねたリーバーマンを
出迎えたのは、14歳の黒髪の青い瞳のわがままな男の子。
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歳のはなれた未亡人に故人のことを尋ねても、ナチスとの関連は見つからない。
ウィーンに戻ったリーバーマンをコーラーの友人と名乗るデビッド・ベネット(ジョン・ルビンスタイン)が出迎える。コーラーの後を引き継ぎこの件を追いかけるのに、リーバーマンに協力を求めてきたのだ。でもリーバーマンは断ろうとするのに食い下がり、なんとか協力を取り付けるデビッド。
アメリカのマサチューセッツ州での事件の遺族に聞き取りをするリーバーマンは
その家にいる息子がグラドベックの家にいた少年と瓜二つなのに驚愕する。
ロンドンの事件を調べたデビッドからも同じ容姿の少年がいたと告げられる。
母親からの説明で、男の子を連れてきたのはかつてリーバーマンがナチ戦犯として
告発した元女看守のマローニだと判明。
デュッセルドルフに収監されているマローニを尋問したところ、マローニはナチス会
からの紹介で養子斡旋の会社に勤め、父母の年齢を精査して養子の斡旋先を
絞り込んでいたことが判明。養子の子どもはみな黒い髪に青い目、そして皆ブラジルから送り込まれていた。養子を引き渡した日を基に推理したところ次はペンシルバニアに住むウィーロック氏が狙われるとリーバーマンは推察する。
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一方のナチス会。リーバーマンの動きを察知した「将軍」から計画の中止命令が出たことから、殺害の実行部隊が引き上げられたことにメンゲレは激怒。「それならオレが自分でやったるわい」とメンゲレは一人で計画の続行を決意。



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リーバーマンは生物学研究所のブルックナー博士(ブルーノ・ガンツ)のもとを訪れる。
「双子か三つ子かもしれないが、環境も違う家庭で育てられて同じ性格の人間ができるものか?」と疑問をぶつけるリーバーマン。
ブルックナー博士は「ひょっとすると、クローン技術によるものでは?」と推論を伝える。応用すればピカソやモーツァルトがたくさん作れるがそれは夢です、環境も同じにしなくてはなりませんから、との博士の意見から、今回の少年のケースを検証する二人。
「黒髪に、青い瞳。父親は65歳公務員、母は42歳で子を溺愛、性格はわがまま…」
母細胞の提供者が生存している必要はない、保存してあればモーツァルトも量産可能…リーバーマンはメンゲレの計画の目的を知る。
同じ環境で育った人間に心当たりがあった。これはアドルフ・ヒトラーと同じだ。
メンゲレはクローン技術でヒトラーの復活を計画していたのだ!
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次の標的はウィーロック。リーバーマンを装いウィーロックの家を尋ねたメンゲレはウィーロックを射殺。そこへ現れたリーバーマンと格闘を繰り広げることに…しかし飼われている犬たちに動きを封じられる。
帰ってきたクローンの一人、ウィーロックの息子のボビーはリビングで対峙する二人に驚く。そしてメンゲレから出生の秘密を告げられるのだが…
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この作品でローレンス・オリヴィエはアカデミー賞主演男優賞のノミナーだったそうで、確かに上手い。とにかくドイツ訛の英語がものすごく上手い。リーバーマンというキャラクターの偏屈さを演技でちゃんと表現してるのに感心しました。このとき御年71歳。その年齢で当時65歳のグレゴリー・ペックと格闘シーンを演じてるんだから、ホントに頭が下がります。しかし「マラソンマン」でナチスの残党やってんだよな、と思うと演技の幅が広すぎです。
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グレゴリー・ペックも「アラバマ物語」のフィンチ弁護士役でアメリカの正義みたいなイメージがあるってのに、悪役のナチの狂信的科学者役を思い切りやってます。これもいい芝居で狂信的なメンゲレを演じてるけど、まだ力技のレベルかな。
フランクリン・J・シャフナーの演出はこれといって芸があるわけじゃないんだけど、うまくツボが押さえてある印象。編集もいいもんで、もともとテキトーに何回かに分けて見るつもりだったのに通して見ちゃったもんなぁ。2時間くらいの映画って最近そんなん見てられないのに。意外なのは、この作品イギリス映画なこと。クレジット見たら配給にITCのロゴがあった。サンダーバードとかと同じかい。
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あと意外な見所はスティーブ・グッテンバーグの出演。後に「ポリスアカデミー」で喜劇俳優になっちまうとは。現在の目で見ると、あまりに生育環境に重点を置くのも問題視されているのでうまくない部分もあるのも事実だけど、出来としてはかなりいい作品。最後にリーバーマンが下す決断は、単なるニヒルなかっこよさの産物とみるか、あるいは未来への期待の表れと見るかは見ている側の受け取りかた次第と思います。実際、考えてみれば現代にヒトラーと同じ人間を作ってみても、あのヒトラーになるとはちょっと思えない。時代にはその時代なりのムーブメントがある。
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日本で公開されなかったのが残念だなぁ。当時なら絶対映画館に見に行ったはずなのに。
不満なのは、…まじめにこさえてある力作なもんで、ツッコミどころがないくらいかなぁ。

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July 17, 2007

選挙ですよ

 少しまじめに考えてみた。

こないだ、久間防衛大臣が「しかたがない」発言で結局辞任したけれど
(もともと辞めるつもりなかったけど、選挙の話を公明党から持ち出されて
自民党にケチつけたから、大臣を辞めざるを得なくなったみたい)
この歴史観自体は、立場を変えてみるとそれもありかなといえる程度の
こと。「戦争の終結を早めるために原子爆弾を使用するのは仕方なかった」
という意見は、とってもアメリカさん的な歴史観でそれに基づいてみれば
そういう発言も理解できるんだけど、問題なのはこれを日本政府の大臣が
言っちゃったこと。
日本政府は核兵器の存在や使用を認めていない立場をとっているので、
「核兵器を使っちゃったもんは仕方ないよなぁ」なんて聞こえる発言を
政府の人間が言ったとなると、政府の原則論が崩れてしまう。
使用を容認してんじゃんよぉ、と核保有国からどつかれてしまう口実になる。
あとまずいのはもうひとつ、こんなこと口走られた日にゃ公明党的にも
原則論が通用しなくなってしまうこと。
公明党は自民党と違って集団的自衛権の行使に反対しているので、自国
以外の同盟国が第三国と戦闘状態になった場合に直接戦闘に加わらない
現行憲法の原則を維持するべし、としているが核兵器なんて飛び道具を
使っても仕方ないよなぁ、ってことになるとまた日本でアメリカの核爆弾を
使われるのを許すことになるし、そんな原則論を唱えておいてアベちゃんの
改憲志向に手を貸している現状にツッコまれてしまうわけで、選挙の前に
こんなこと言わしとく訳にはいかなくなった。

いろいろ大人の事情があるのねぇ。

で、今回の選挙は実は不要論も多い参議院議員選挙なんだけど、
「俺たちの選択肢はこんなもんなのかいッ!」と言いたくなるような方々が
立候補しているような気もするので、立候補前にウルトラクイズみたいな
予選とかやってもらえないもんかなぁ、と思っている今日この頃。

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July 08, 2007

憂国

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三島由紀夫が市ケ谷の自衛隊駐屯地、東部方面総監部に総監を人質に立てこもり、バルコニーから檄文をまいて自衛隊員に決起を促す演説をしたのちに割腹自殺を遂げたのが1970年の11月25日。

当時コドモだったオイラは何の騒動が起こっていたのか全く知らずに、田舎の街でのんびり幼稚園児しておりました。すごい事件だったという感覚は、何となく判ったけど。
だいたいこの現代で切腹して介錯されて自死を遂げるなんて、唖然としてしまう。
時代劇でもあるまいし
でもコドモはそんな程度の感覚はあっても、すぐに忘れてしまうのです。

時は流れて高校時代。自主映画を作るクラブに所属していたオイラはどうしてもキャストを借りる必要から演劇部に出入りするようになり、結局頼まれて演劇部の公演にも参加することとなった。
そのときの役が右翼の青年で、「『憂国』、読みましたか?」というセリフがあったのだけど、当の本人は読んでません。どんな小説なのかは知らないのだけど、文庫本の厚さから見て短いものだなと踏んでいた。でも、そういう小品だとさらに読む気合が入らない。
だいたい三島なんて読んでないし(ーー;)当時はチャンドラーばかり読んでた。

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で、さらに20年あまりの年月が経ち、新潮社から三島の決定版全集が発刊されるにあたり資料など調査していた過程で「憂国」のフィルムが発見された。
三島自身が製作・監督・脚本・主演した(そのくせクレジットには「演出」って担当している方が別におられました)三島由紀夫の渾身の映画である。
この人、結構出たがりさんだったしなぁ。役者としては自身が原作やってた「純白の夜」「不道徳教育講座」なんてのから、「からっ風野郎」「人斬り」への出演がかなりマニアック。
ボディビルやったりしてメディアの露出の多い人だったのは知ってたけど自身で映画の製作までやってたのは知らなかった。

全集の別刊扱いでこの「憂国」のDVDが収められることになり、東宝からも同時に発売になった。どちらも基本的に仕様は同じらしく、三島本人の筆による題字が記されたパッケージに特典DVDが本編と別に1枚、三島自身がこの映画の製作の始終を記した「製作意図および経過」という一文が収められた解説書、そして海外公開にあたり三島本人が製作したプレス向けの封筒入りメッセージの復刻版から成る。

で、これを買って見るにあたってワタシ初めて三島の「憂国」を読んだ。作者がとにかく思い入れのあった作品なんだそうで、製作意図の文によれば「もし私の作品を一つだけ読むのならこれを読んで欲しい」旨記されている。
物語は、二・二六事件を起こした友人たちを逆賊として討たねばならなくなった武山中尉が義と信の間に懊悩し切腹を決意、そしてそれに従う妻麗子の二人が死にゆく姿が描かれている。50枚くらいの短編。
実際読んでみて、三島ってとてもなめらかな描写をする人なんだなぁと感心したけど小説ってこれくらいの筆力がないと書けないのかとも痛感。おれにはできん。
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で、映像のほうはというとこの作品の描写をさらにシンプルにしており、かなりインパクトがある。
能の舞台を用いてこの小説の世界を表現しようという試みなんで、かなりアーティスティック。モノクロだし。
この辺の詳細は付録の製作意図に詳しいけど、もともとの彼の狙いは「日本人のエロースが政治的状況下でいかに最高の形をとるか、死に結びつくか」
を表現することで、映像化するにあたり経費の節減もあって能の形式をとり小道具もろくにないシンプルな世界を作ろうとしたそうな(制作費は三島個人の持ち出しだった)
キャストは武山中尉(三島由紀夫)と、その妻の麗子(鶴岡淑子)の二人のみ。
セリフは一切なく三島自筆の巻紙の字幕で状況説明するだけの、28分の短編。
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結論として、三島の狙いはかなり成功していると思う。白と黒の世界で、黒いのは血と内臓のみ、他はすべて白い世界で「至誠」という言葉に支配された空間での切腹という儀式をもって原始的な感覚に訴える、というのが演出プランだったそうな。製作日数はわずかに2日!
プロデューサーの藤井浩明はじめ大映のスタッフが参加していたけれど、それを明らかにする訳にいかずクレジットには一部のみ表示されている。(DVD化されるにあたりこれは全員表記された)いろいろと面白い話は特典DVDに収録されたスタッフの座談会で聞かれます。

これを見てて、やっぱ自主制作の映画またやりたくなったなぁ。

65年に製作され、66年にATG系で公開。70年に三島は自決する。
切腹に対して憧れを持ち、老いることを恐れまだ我が身が美しいうちにヒロイックに、自ら死を選ぶというこだわりの究極の到達点。この「憂国」はこの人の死に対しての憧憬をかなり正確に表現した映画になっていると思われる。自分の死に対しても美学を貫こうとしていたのは判るけど、実際には三島の介錯を森田必勝は2回失敗した。割腹していたとはいえ、さらに苦しい死に方をせざるを得なかったのね。このとき共に立てこもった古賀は居合の
経験者で、最終的に三島の介錯を行い森田のも一回で終わらせたらしい。
気持ちはともかく、頼むべき相手を三島は間違えていたことになっちゃった。
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はたして、美学というものを最後まで貫くのは正しいのか?
今のこの、自称美しい国をみてやはり憂国の念をみんな持っているんじゃないかとは思うけど美学まではもてないなぁ。

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July 01, 2007

中江真司さん

 中江真司さんがお亡くなりになったとの報せ。

われわれの世代にしてみれば、なんと言っても「仮面ライダー」の
ナレーション。

「仮面ライダー本郷猛は改造人間である…」から始まるあの
ナレーションは忘れられません。
最近では「トリビアの泉」のナレーションで定着していたけれど、もう
新しい喋りが聞かれないと思うとやっぱり寂しいなぁ。ナレの仕事は
ほかにもたくさんあるけれど、「マイティジャック」のナレーションも
中江さんだったとは知らんかったな。最近のにくらべて声質が高めで
早いしゃべりなせいか、気づきませんでした。
メトロン星人の声は知ってたけどなぁ。
東宝特撮がらみだと「東京湾炎上」「ノストラダムスの大予言」に
「惑星大戦争」なんて渋いあたりに参加している。

「仮面ノリダー」では画面に何度か出演までしていたそうで、
この、仕事を選ばない姿勢は尊敬してしまいます。ただただ、合掌

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