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May 06, 2007

クレージーメキシコ大作戦、はねぇ…

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東宝のクレージー映画(正確には植木等メインの喜劇映画)は1962年の「ニッポン無責任時代」をふりだしに1971年の「日本一のショック男」までかれこれ30本ほど。このうち、評価されるのとなるとやっぱり最初の「ニッポン無責任時代」と2作目の「ニッポン無責任野郎」だけかもしれない。何本か続けて見たわけだけど、小林信彦じゃないがなんとなくそう思った。
一連の作品のうち、1967年の「クレージー黄金作戦」と翌年制作のこの「クレージーメキシコ大作戦」は実際の制作が渡辺プロで、ものすごい尺が長い。なので通常2本立てで上映されるところを単作での上映となったそうだけど、「黄金作戦」は大ヒットしたもんだからその勢いをかって翌年制作されたのが「メキシコ大作戦」。そして結果はというと、興行面では失敗作になってしまったので今はあまり顧みられることがない。
でもDVDって形態のソフトはこういう作品ほどネタにしやすいので、今は普通に借りて見る事ができるというのもありがたいところではあります。

で、見てみたわけだが…これはダメだよなぁ。
とにかく、序盤の冗長さったらないんだもの。

酒盛進(植木)は無類の酒好き。今日もトラ箱に迎えに来るのは絵美(浜美枝)
出所した清水忠治(ハナ肇)を兄貴分の松村(中丸忠雄)が迎えに来る。
出所祝いは料亭やまとでやろうとするんだけど、そこに出入りするエリート
銀行員、鈴木三郎(谷啓)目当ては雪子(園まり)なんだけど、大林常務
(十朱久雄)の娘とはすでに婚約している優柔不断男。
忠治の親分、花岡(田武謙三)が忠治に命じたのはメキシコ展から石像を
盗むこと。盗んだはいいが、石像は酒盛の手に入る。酒盛はニセの石像
を絵美に作らせ、花岡に売りつける。強奪に失敗した忠治はバーのママ
ゆかり(春川ますみ)から彼が惚れている光子(大空真弓)が社長の女に
なったと吹き込まれ、逆恨み。事務所に乗り込み社長を撃ったと思ったら
ママが死んでいる。忠治は片づけを命じられて、死体を誰かの車に押し込む
んだけど、その車は鈴木の車。鈴木も処理に困り、橋の上から投げ捨てたら
死体が飛び込んだ先は酒盛の家。酒盛も処理に困り、大学病院に持ち込んだら
怪しい日本人、ケン(桜井センリ)にガンの権威中村博士(藤田まこと)と間違われ
誘拐される。忠治は親分を追って密航し、鈴木は殺人容疑者として追われ新婚
旅行のため準備していた航空券でサンフランシスコに飛ぶ。メキシコまでの
珍道中の始まり始まり。
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とにかく、ムダに長い。序盤のかったるさは何にたとえて良いのやら。
また、ここで植木等演じる酒盛のキャラクターがぜんぜん良くない。シリーズ
で植木等の演じる主人公はとにかく調子が良くて、いろいろとしでかすけれど
憎めない人物だったはずなんだけど、この映画の酒盛はただの悪党でぜんぜん
好みじゃない。利用したあげく女は勝手に売り飛ばすし、カネにはえらい汚いし
こんなんじゃ嫌だな。この作品で気に入ったのは、尺が長いおかげで
安田伸、石橋エータロー、桜井センリのまともな芝居が見られること。特に
桜井センリが良いぞ。ギャングの親分の通訳で怪しげなチャンポンの英語を操る
ケンを演じているけれど、すごい器用に演じているのに感心してしまった。
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実はこの人生まれ育ちがロンドンだったそうで、英語のアレンジがうまいのに納得。石橋エータローも真面目な銀行員を如才なく演じているけれど、この人普段あまり熱心に演技しない人だからこれも感心した。クレージーのメンバーって面白い生い立ちの人が多くて、石橋エータローの父は福田蘭堂で、その父は青木繁だし、犬塚弘は父親が三井物産社員だったそうで本人も日本IBMに勤めた時期があったそうだし、ちょっと違うけど安田伸の奥さんは竹腰美代子(香淳皇后の体操の先生)なんて面白いつながりもある。
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アニキ役の中丸忠雄も変に浮いててそれだけで面白いし、田武謙三の親分も悪役にあまりなじんでないもんだからこれもまた良いです。


脇役といえば、この作品で捜すのにえらく苦労したのが天本英世。クレジットだけ
なのか?と思ってたら、いました。メキシコの山賊の一人で。あまりに達者に
スペイン語を話すもんだから判らなかった。一緒に広瀬正一も出てるけど、悪い
イメージを持たれるセリフとかは日本人キャストで引き取った形らしい。
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やっと見つけたよ、天本さん


劇中のショーの中でクレージーの面々がアーミールックのグループサウンズを
やるけれど、植木等が堺正章そっくりなのも大笑い。Crazy_mexico_daisakusen1
GSというと最後に本作のヒロイン、アンナ・マルティンと一緒にチョイ役で沢田研二が出てくるのが、おやおやという感じ。芝居できません。



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このソフトのコメンタリーは犬塚弘と本作プロデューサーの大森幹彦がやっているけれど、これもまた面白い話がいろいろと聞けるのでありがたい。2時間40分の間ずーっと語り続けてくれるので、こちらを聞いて楽しみましょう。自分的には、クレージーキャッツがロケでロスだったかサンフランシスコだったかに滞在したときに、夜に現地のジャズクラブで暇つぶし的にライブやったらえらいお客が集まって有難かったなんて話がほのぼの。客がさばききれなくて店主が現金渡してもう1ステージ頼む!なんてやってたそうな。犬塚弘は「男はつらいよ」シリーズにも出演していたので渥美清の話題も聞ける、有難いコメンタリー。

この作品が興行的には失敗したことから、これ以後のクレージー映画は一気に
規模縮小。なにしろこれ、デキが良くなかったんだもん。もともとはお姐ちゃん
シリーズの手直しでおまけ作品だった「ニッポン無責任時代」が一番の高評価
というのも結果的には皮肉。
あ、そういえば「日本一の無責任男」なんて映画は存在しません。天野祐吉も
間違えてたぞ。怪物ランドのネタで「日本一の無責任若大将」てのはあったけど。

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