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January 01, 2007

そんな訳で千夜一夜物語

  先日相次いで亡くなった青島幸男と岸田今日子が、声の出演をしていた
作品がこれ。アニメラマ第1作「千夜一夜物語」なんだけど、これその昔
テレビで確か見ているはずなのだけれど、まったく覚えていない。これより
第2作の「クレオパトラ」のほうはなんとなく覚えているところもあるのだけど。

哀しみのベラドンナ」見たさに買ったDVDのボックスはアニメラマ全3作品
のボックスだったわけで「まぁ、前にも見てるし」なんて思っていたので、当初
「千夜一夜物語」はそんなに見ようという意欲がわかなかったのだけど、
いつのまにやら青島幸男と岸田今日子が亡くなってしまい、やはり見る気に
なったので見てみた。しかし、これはすごいアニメの超大作だった。
スタッフとキャストの陣容がものすごいのだ。めぼしいところを以下に記すと

千夜一夜物語…1969年 虫プロ・日本ヘラルド映画
 総指揮  手塚治虫
 構成協力 北杜夫、小松左京、大宅壮一
 音楽   富田勲
 劇中歌 ヘルプフル・ソウル
 美術監督 やなせたかし
 原画    月岡貞夫、出崎統、杉井ギサブロー、村野守美ほか 

 モチーフは千夜一夜物語からいろいろと使われているけれど、物語は
あくまでオリジナル(脚本には手塚治虫も参加している)

昔々のバグダッド。水売りのアルディン(声:青島幸男)はここで商売を
始めようとして砂漠を越えやってきたのだが、市場で売られていた美しい
女奴隷ミリアム(声:岸田今日子)に一目ぼれ。彼女が金貨1万枚で
競り落とされたところで砂嵐が起こり、そのどさくさにまぎれてアルディンは
ミリアムを連れて逃亡。逃げ込んだ豪商シャリーマンの屋敷で2人は結ばれる。
「あたしはあんたに買われたんじゃないもの」なんて、いいなぁ。
Cobm_52482
ところがシャリーマンは彼らを監禁。彼らを
かごの鳥のように飼おうとする。
ミリアムを買おうとしたのは警察長官
(声:高木均)のバカ息子。警察長官は
部下のバドリー(声:芥川比呂志)に
ミリアムを取り戻すこととシャリーマンの排除を命じる。
Cobm_52485
バドリーは盗賊カマーキム(声:小池朝雄)
を使い命令を実行。アルディンとミリアムが
監禁されていた部屋を開けたのはカマーキ
ムの娘、マーディア(声:伊藤幸子)しかし
結局、2人はカマーキムに捕らえられ
アルディンはシャリーマン殺害のかどでひどい拷問をうけるがミリアムとの
再会を信じる彼は耐え抜く。そんな彼の姿に同情し、看守長は彼が死んだこと
にして墓地に送る。おかげでアルディンは脱獄に成功。一方で、ミリアムは
アホな警察長官の息子が勝手に死んだことから、バドリーの屋敷に移され
そこでアルディンの娘を出産。ジャリスと名づけるも産後ミリアムは死んでしまう。
Cobm_524836
やっとミリアムの行方を知りバドリー邸に着いた
アルディン。しかし彼女の死を知らされる。復讐
に燃えるアルディン(別にバドリーのせいじゃ
ないんだけど)バドリーを待ち伏せ襲うが、急に
むなしさを感じてしまい、とどめを差さずに去る。
さまよったアルディンはカマーキムの洞窟を見つけ、そこから宝を盗み逃げよう
としてマーディアに見つかるが、結局再会した彼女を口八丁で丸め込み、お宝の
空飛ぶ木馬でマーディアとふたり旅に出る。調子のいい奴だ。
たどり着いたのは女護ヶ島。ここの女達との快楽におぼれちゃうアルディン
をマーディアは見捨てて帰ってしまった。(このくだりがまた長いんだ)
その後アルディンは女達の正体を知り島から逃げるのだけれど、彼を拾った
船は巨鳥ロプロプ鳥に襲われ難破。流れ着いた島は食人鬼の島で、ここを
命からがら逃げたアルディンは魔神に捨てられた魔法の船を見つける。
主の願いを何でもかなえるこの船で、彼は豪商となっていく。
Cobm_524815


15年のち、魔神の夫婦ジン(声:三谷昇)とジニー
(声:加藤治子)が空飛ぶ絨毯で痴話げんかして
いたところ、ジニーが男前の羊飼いアスラーン
(声:橋爪功)を見初め、何とか自分のものに
しようとたくらむが、ジンがバグダッドから美少女ジャリス(声:岸田今日子の二役)
を連れてきてしまい、アスラーンもジャリスもお互いに一目ぼれ。バグダッドに
戻されたジャリスだけどアスラーンを忘れられない。
男装して街を出てアスラーンのもとへ行くジャリスなんだが、追手に捕まってしまう。
Cobm_524813
一方でバドリーが警察長官に、シンドバッドという
豪商がバグダッドに来るという情報を伝える。
バグダッド王に何事か申し出があるらしい。彼ら
はシンドバッドを王に担ぐため一計をめぐらす。
バドリーはカマーキムにシンドバッドを襲うよう
命令。シンドバッドのもとをマーディアが訪ねると、
「マーディア、いつのまに商売替えしたんだ?おれだよ」シンドバッドはアルディン
だったのだ。アルディンが去った後の切なさをマーディアは涙ながらに訴える。
そりゃ、バドリーにいいようにされて何年も過ごしてたんだもんなぁ。
カマーキムが襲撃体勢を整えたとき、バドリー率いる警察部隊がカマーキム一味
を強襲。バドリーが裏切ったのだ。マーディアは逃げたがカマーキム一味は全滅。
つまりは、シンドバッドに無理矢理恩を売って取り入ったのだ。ひどいなぁ。
Cobm_524819
バグダッドを買う、というシンドバッドは王に宝物
比べの勝負を挑む。その場でジャリスを見つける
シンドバッド「ミリアムだ!」 結局宝物比べは
敗れたが、王様以下重臣たちを自分の魔法の船
に乗せて世界の果てまで送ったシンドバッドは
バグダッドの王となり、バドリーを大臣にする。高い高い塔を作れだの戦争しろ
だの奇矯な政策を打ち出すシンドバッド王。なんとかジャリスを第一夫人にしたいが
それも「私にはアスラーンがいます」と拒絶される。実の娘なんだけど。
だけど捕らえられて前線に送られたアスラーンは軍を脱走し、捕まってしまう。
脱走兵は死刑。それをバドリーに知らされたジャリスは自暴自棄。
ハレム入りを結局承知したジャリスは王の寝室へ。
ライオンに食われて死ぬはずだったところをジニーに助けられたアスラーンは
ご丁寧にバグダッドの王の寝室まで送り届けられる。中に入るとそこにはジャリス。
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再会をラブラブに喜ぶ二人だけど、
あと一歩でジャリスをモノにできたはずの
シンドバッド王は当然ほったらかし。



Cobm_524829
翌日、バドリーに煽動された市民が王宮
に押し寄せる。シンドバッドを裁判にかける
というのだ。バドリーによって入念に調べられ
シンドバッドが水売りのアルディンであること、
またジャリスがその実の娘であることが暴露
され、「実の娘とえっちするような鬼畜を王には
できんだろ」とバドリーは自らを王にするよう仕向ける。しかし、そこに
アスラーン乱入。「ジャリスは自分のものだ。王はなんにもヤッてない」と証言。
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怒ったバドリーはアスラーンを斬り殺そうと
するがマーディアの放った矢によって倒される。
マーディアはシンドバッドを誘い国を出ようと
するがバドリーが持っていた毒蛇にかまれ絶命。
とことん気の毒な女だ。


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翌日、死罪となったシンドバッド=アルディンが
首をはねられそうになったとき造成中の塔が
崩壊。どさくさにまぎれてアルディンは脱走。
「さぁてと、…人生、王様の次は何だろね」
アルディンは何処かへと去っていく。
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見てるぶんには結構楽しく見られる、大人のアニメーションなのだけど
はっきり言って、あまり出来は良くないなぁ、というのが正直な感想。
これだけのスタッフを揃えての気合入りまくりの超大作!画面は当時としては
最高水準のアニメーションなんだけど、その気合ばかりで結果的にまとまりが
悪くなってしまった。2時間8分は長いだろ。実験的な部分で手塚治虫がやって
みたかったことはあらかた詰め込んであるんだろうけど、(実写フィルムとの
合成とか一部背景を立体物で撮ったりとかの実験的部分)
編集作業がおろそかになっているなぁ。おそらくは撮った場面がどうしても
切るのに忍びなくなってしまい、ほとんどそのままつないであるんだろうけど
そのせいでシークエンスがみんな長くなってしまい、物語の流れが良くない。
ディズニーアニメだと物語上不必要と判断されると最終的に編集でまるまる
シーンごとカットしてしまうことも多いのに。あと、これだけの脚本スタッフだって
いうのに脚本がいまいち。不満なのは例えば、アルディン=シンドバッド王が
バドリーを大臣に取り立てるのは、見てるほうは前のいきさつを考えると何か
企みがあるように思っちゃうのだけれど何もなかったみたいだし、ラストで塔が
崩れたときにアスラーンとジャリスは助かったのか助かってなかったのか
はっきりしないしで、消化不良ぎみ。
それでもやはり見ていて楽しいのは、やなせたかしの手によるキャラクター。
けっこうそのまま動かしてるのでとっても親しみがもてる。もともとは手塚治虫が
「大人向けの作品にするのなら、自分でなく誰か別の方にキャラクターデザインを
お願いしたい」という方針のもと杉井ギサブローの「やなせさんにお願いしましょう」
という案が通ったからだそうで、やなせたかしによればアルディンはジャン=ポール
・ベルモンドを下敷きにしてるとのこと。寺沢武一の「コブラ」も同じベルモンドを
もとにいじってるんだった。考えたら。だから似てんだな。
ミリアムはやっぱドキンちゃんに通ずるし。
1belmondo
青島幸男の声の演技はなかなかのもの。敵役の相手がなにしろ
芥川比呂志というのにぜんぜん負けてない。実は音を先に
録ってから絵の制作をしていたそうで、アフレコはしていない。
だからラジオドラマと同じで実際に掛け合いの芝居をしての録音
だった。そのせいか、青島幸男はとてもイキがいい。
他の一言出演は小松左京、筒井康隆に大宅壮一、北杜夫、
野末陳平、吉行淳之介、大橋巨泉、前田武彦、立川談志ほかの豪華メンバー。
主題歌はヘルプフル・ソウルというバンドが担当してるけど、このボーカルを
担当してるのがチャーリー・コーセイ。後に「ルパン三世」の主題歌を歌ってる。
とにかく、文句はいろいろあっても懐かしさでうれしくなった作品でした。
虫プロはここでの経験をもとにして、次作アニメラマ「クレオパトラ」へと進む。
自分も先に進むこと考えたいなぁ。ホントに、このあとの人生は何だろね?
まずは新年を祝います。

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Tracked on January 02, 2007 at 12:18 AM

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