« ようやく | Main | おくやみ連発 »

December 01, 2006

ブラック・サンデー

 その昔、オイラが少年だった頃。70年代後半は日曜日はテレビの日。
小学生のころはというと朝7時ごろからまず「花のピュンピュン丸」
「ジャイアントロボ」ときてそれ以降は「人造人間キカイダー」「変身忍者嵐」
を見て、9時半になると「ミユキ野球教室」なんだけどこれはあまり面白く
なくて、ここでインターバル。
このあと10時からまた何か見てたけど、いろいろな
番組があったからちょっと思い出せない。11時ごろからは外で遊んだ。
んで、昼飯時家に帰るわけだけど午後1時になるとまたテレビの
時間。「TVジョッキー 日曜大行進」を見ていた。「奇人変人」とか「珍人集合」
(呼び出しは山田康雄)のコーナーに挟まって福田一郎が(この人本業は
音楽評論家なんだけど)楽しそうに新作映画を紹介していたのだが、
個人的にはこのコーナー結構好きでしっかり見ていた。別にジャンルを
限っていた訳じゃなく「白い家の少女」とか「シビルの部屋」なんかもこの
コーナーで紹介していたのを思うとえらい大らかな時代だったけど、ここで
紹介された映画は何かとても面白そうだった。いまだによく覚えているのは
「パニックインスタジアム」とか「ブラック・サンデー」。「フラッシュ・ゴードン」
もあったかな?たまに福田一郎が休みで浜村純がやるとつまんなかった。
「ブラック・サンデー」はとにかく面白そうで、ちょうど洋画を映画館まで見に
行くのが楽しかった頃(中学生になったあたり)だから絶対見に行ってやる、
と思っていたのに、公開直前におクラ入り。CMもけっこうやっていたのに。
テロの予告があったからだそうだが、その後しばらくこの映画は「幻の逸品」
になった。原作はトマス・ハリスだし、監督はジョン・フランケンハイマーだし。
今にしてみりゃすごい豪華な布陣。
その後、ビデオは出たしレーザーディスクにもなった。ここでこの作品の
評価は固まっていたけれど、いまだ未見だった私は当時の思い出を
いろいろと噛みしめつつ今回DVD化されたソフトを予約して購入。
…パッケージのイラスト、へたくそ…。
しかし、見てみて思った。「こいつぁ面白い!
物語はドキュメンタリータッチで始まる。

ベイルート 11月12日
空港に一人の女が降り立つ。「黒い九月」のテロリスト、ダーリア・イヤッド
(マルト・ケラー)街を抜け向かった一軒の家。そこで何人かの男と一緒に
フィルムを見る。
Black_sunday0





「私は、自分のした行為を遺憾に思う…」と画面に語る男。ベトナムで
捕虜になった米軍パイロット、マイケル・ランダー(ブルース・ダーン…
ローラ・ダーンのおやじだったのか)がベトナム軍の前で自己批判する
姿だった。ダーリアは彼と組んでアメリカ本土でのテロ計画を実行しようとして
いたのだ。決行は年明け早々の1月9日。
Black_sunday1





必要な物資はプラスティック爆弾600キロ、ライフルダーツ22万本。
(これを日本から来たナガワが調達することになっている)このフィルムは
すぐに廃棄することになっていた。そして、ダーリアは犯行声明を録音する。
その夜半。イスラエル軍特殊部隊が「黒い九月」アジトの家を急襲。チーム
リーダーはデビッド・カバコフ少佐(ロバート・ショウ)。
Black_sunday4

こうしてみるとデ・ニーロに似てる。



Black_sunday3





シャワーを浴びていたダーリアはなぜかカバコフには撃たれなかった。
が、家にいた同志はほぼ全滅し、アジトは爆破される。フィルムは焼却して
いたものの、録音した犯行声明のテープがカバコフ達に奪われてしまった。
Black_sunday5





Black_sunday7

11月14日 ロサンジェルス。
グッドイヤーの広告をつけたブリンプ
(飛行船)を操縦するランダー。
フットボールの中継用に飛んでいた。


Black_sunday8


これが「ブリンプ」プラモも出たぞ
おわん二つ合わせるだけだったけど

11月17日 ワシントンDC
イスラエル大使館に入るFBIエージェントのサム・コーリー(フリッツ・ウィーバー)。
Black_sunday9





そこでカバコフが持ってきた犯行声明テープを検証することに。
いったい「黒い九月」は何を計画しているのか?ダーリアが生きている
以上、計画は進行しているはず。ダーリアの行方を追うために顔写真など
情報が必要だが顔を見ているのはカバコフだけ。
同じ頃、そのダーリアはロスでランダーと合流していた。

11月23日 ロングビーチ港
香港経由で入港した貨物船で調達した資材が到着。これを夜に陸揚げしようと
するダーリアとランダーだったが、沿岸警備隊に見つかる。何とかこれを
まいて、荷揚げに成功。(この貨物船、よく見たら「スマ丸」って書いてある。
Black_sunday11


これが「スマ丸」


リビア国籍の船だろ?船長も日本人だぞ)日があけて、船長は船内の捜索
を拒否。しかしカバコフは夕刻、上陸して船に戻った船長を部下のモシェフ
スキー(スティーブン・キーツ)とともに厳しく尋問。ところが船長は電話に仕掛け
られた爆弾で爆殺され、また入院したカバコフを狙うダーリアによってモシェフ
スキーも毒殺される。
Black_sunday13





怒りに燃えるカバコフは荷主の貿易商ムツァイを締上げ
荷物がプラスティック爆弾であることをつきとめる。
一方ランダーは試作品の実験に成功。プラスティック爆弾でライフルダーツを
撒き散らす、クレイモア地雷のような爆弾である。

Black_sunday15
(ブルース・ダーンのこの辺の
狂信的演技はすばらしいぞ)



12月6日 ワシントンDC
カバコフは脅迫同然で某国(たぶんソ連)のリアット大佐(ワルター・ゴテル)
に協力を要請。
Black_sunday17





「あの女の写真と経歴がほしい」
カバコフに屈したリアット大佐は、彼にダーリアの写真を渡し、経歴を伝える。
「君達が彼女をそうさせたのだ」と皮肉りながら。

12月31日 マイアミ
ダーリアは、ランダーとの「作品」を車で引いてマイアミに移動。
Black_sunday18





ホテルで同志ファシルと落ち合うが、「君の正体がバレた。計画は中止だ」
と告げられる。しかしダーリアはあきらめない。翌日FBIでもダーリアの
所在をつかみ、さっそく逮捕に向かうコーリーとカバコフだが、ファシルに
気づかれてしまう。それでも身柄の確保を試みるも銃撃戦の末ファシルを射殺。
Black_sunday19





ダーリアの確保には失敗。部屋を捜索したところスーパーボウルの
ブックレットが出てきた。「まさか…!」
コーリーは言葉を失う。彼らはスーパーボウルでテロを計画していたのだ。
そして、今回は大統領も観戦する。8万人の観客を巻き込んでのテロが
計画されている。しかし、どのようにテロを実行する?
ブリンプの操縦はランダーに代わり同僚のファーリーが担当することに
なる。しかし、ダーリアは当日ファーリーを射殺し、ランダーが乗り込む
ことになる。はたして、計画は成功するのか?

本編が2時間23分と結構長いのだけれど、ぜんぜん飽きない。全編とても
演出が決まっているのでとても面白い。日にちが表示されて、また手持ちの
カメラの画面がリアルな感じでとてもよい。それにマイアミでのファシルとの
銃撃戦のスピード感はすごい。フランケンハイマーの緩急使う才能に感服。
見てればだいたいは途中でどんな手段を使うのか見当がつくものなのに、
これはずーっと解らなかった。というか、ここではライフルダーツ22万本を
500キロのプラスティック爆弾で飛散させて8万人の観客に被害を与える、
というのは解る。そのためにブリンプを使うのも解る。けど、肝心のスーパー
ボウルの開始時にはその爆発物はブリンプには装着されてないのよ。
どうやってブリンプでこの爆発物を有効にするのかがわからなかった。
だけれどもここからが面白く盛り上がるのだ。なるほどなぁ、と感心しました。
脚本のみなさんはえらい。
Black_sunday20





ランダーの操る爆弾つきのブリンプにダーリアが同乗し、スーパーボウル
の会場に向かうわけだけどこれをヘリで追いかけるカバコフとコーリー。
このクライマックスの追撃戦もすごい。特撮部分は今ならCGなんだろうけど
できの悪さは許す。これなら許す。むしろヘリのアクションはCGなしだから
ものすごいスリリング。フランケンハイマーは日本好きだったのか、この
作品で同志ナガワが登場するけど、原作には出てこないみたい。「スマ丸」
船長のオガワも同様。「グラン・プリ」での日本の扱いも好意的だったもん。
それに原作の書かれた当時はまだ日本赤軍が活発だった頃で、ハイジャック
と占拠事件を連続して実行していた(クアラルンプール事件、ダッカ事件など)
テルアビブ空港乱射事件の実行犯、岡本公三はアラブの英雄だったし、
状況的に不自然ではないな、と納得。
Black_sunday21





パレスチナ問題はえらいデリケートな問題なので(元はといえばイギリス
のいい加減な外交が発端)今ならあまりさわれない題材だけど、この
作品では堂々とイスラエル側にも非があるという言葉が出て来る。
カバコフのキャラクターも実はとても人間くさいし、彼の職業にからんで
の哀しい家族環境がちょっと見える。ベトナム帰還兵の悲しい現実を
体現しているランダーの造形にも理解がある。自分を見捨てた国家に
対しての復讐を何としても果たさなくてはならないのだ。
Black_sunday22_1





この映画は善と悪の戦いでなくて、人間同士の争いを描いて
いるのだった。だから、ちゃんとしたドラマ。当時はまだイスラエルとアメリカは
べったりでなかったせいもあるだろうけど創り手がもっとしっかりと意思
表示していて、それを吸収する良識が一般の人々にもあったのだろうな、
と思うといい時代だったなぁ。今のアメリカは単なるヒステリーの群れにしか
思えない。ようやく冷静になってきたような気もするけど、どうなるだろう?
おバカブッシュの後の大統領は大変だ。
Black_sunday23





ソフトとして不満なのは、特典が少ないこと。ブックレットもついてない。
予告編も何にも無い。お蔵入りしたポスターの縮刷版カードがついてきたけど
もう少しおまけしてよね。原作自体はトマス・ハリスのデビュー作だけど
この後は「レッド・ドラゴン」でこういう冒険小説的なものからは離れて
しまったのが少し残念。ジャック・ヒギンズばりになってほしかった。
できるなら「ハンニバル」の続編も書いて、早いとこレクターを何とかしてくれ。

と思ってたら、Hannibal Rising なんての書いてた。ハンニバル・レクターの
できるまでの物語。できればはやいとこ後日談をやってよ。島耕作じゃない
んだからさぁ

あと、実はこれジョン・ウィリアムスの音楽なのだけど…そうだったっけ?

|

« ようやく | Main | おくやみ連発 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55867/12850997

Listed below are links to weblogs that reference ブラック・サンデー:

« ようやく | Main | おくやみ連発 »