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December 24, 2006

突撃

スタンリー・クーブリック(キューブリックのほうが一般的な呼称だけど、つづり
からするとクーブリックのほうが自然だと思うのでこっちで)が一気に有名に
なったのは、「スター・ウォーズ」が大ヒットして、SFブームが巻き起こった
ときのこと、と記憶している。こういう伝説のSF映画があったのだ!みたいに
2001年宇宙の旅」が取り上げられ、そしてリバイバル上映された
とき。特撮大好き少年だったオイラ、当然見に行きました。(このときの同時上映が
「デモン・シード」だったのは今にしてみればえらく贅沢なはなし)見て、とにかく
驚いた。このあまりに前衛的な物語と完璧な宇宙空間の再現、とにかく精美な
特撮の映像は衝撃だった。こんな映像を創ることが可能だとは!と驚いたけど、
その舞台裏を後で知ってさらにびっくり。1コマ撮るのに2時間かけるなんて信じ
られない世界。24時間フル稼働でも12コマ。0.5秒だけしか撮れない。ひえー。
特撮担当のダグラス・トランブルは後に「サイレント・ランニング」という秀作も
手がけ「スター・トレック」の特撮部分が一旦全ボツになった後、特撮スタッフ
オールスター編成での再製作に参加して、時間制約が多かったにもかかわらず
いい仕事をしていたなぁ。
で、オイラはその時にクーブリックはすごい!と単純に感動したので、後に
時計じかけのオレンジ」のリバイバル公開もしっかり見に行った。
で、また驚いた。こっちはとにかく、セックスと暴力の近未来。
これでハマった。「博士の異常な愛情」「ロリータ」「バリー・リンドン
シャイニング」とどんどん見た。さらに過去の作品もビデオで見るようになり
現金に体を張れ」学生時代の最新作「フルメタルジャケット
こうなりゃ全部見てやれ、と思い「スパルタカス」もビデオで見た。で、遺作の
アイズ ワイド シャット」で打ち止め。でも、「突撃」「非情の罠」がこぼれたまま
だったのが困りもの。しかし、ビデオおよびDVDが出たのはちょっと前の話で、
見たくても見られなかったという実情はありましたが。
実際、ずーっと見ようと思っていたのだ。この「突撃」。さらにはこちらでも
リンクさせていただいてるカゴメさんから以前勧められていた。
それなのになぜいつまで経っても見なかったのだ、自分。
我らがクーブリック作品だったがやっとこさ見た。最近とにかくダメな自分は腰が
重すぎです。反省しきり。
見てみて思ったのは、「おお、やはりクーブリックだ!」と嬉しくなっちゃった
ことであった。カットがやはり、その後自分の見ている作品で見たことあるような
雰囲気がぷんぷん。ここに原点があったか、と一人で合点。
クーブリックはもともと写真の人だったから、やっぱ「画」のこだわりがとても
強くて、これだと白黒だから構図もはっきりしてるんでさらにそれがよく伝わる
のだった。1957年、彼が29歳のときの作品だから、若いぶん狙い目がストレートに
解りやすく伝わってくる作品です。
Pathsofglory0

舞台は第一次大戦のさなか、1916年。
2年前から始まったフランス軍の対ドイツ
戦争はこう着状態。後方の師団司令部
ポール・ミロー将軍(ジョージ・マクレディ)
のもとを軍団長のブルーラール大将
(アドルフ・マンジュー)が司令部の命令を
伝えるために訪れる。
「48時間以内に「アリ塚」を攻略・占領してほしい」
「アリ塚」は敵の重要拠点で、ドイツ軍が兵力を結集しており守りは堅い。占領
しても維持する兵力も足りない。急いで攻撃するのは自殺行為。
Pathsofglory1

当初はミロー将軍は作戦に反対するが、昇進
をちらつかせる大将の前に命令を受諾する。
直接戦闘をするのは701連隊。司令官は
ダックス大佐(カーク・ダグラス)
もともと優秀な弁護士だが司令官としても
優秀で、部下からの信頼も厚い。
現在前線から外れている大佐にミロー将軍は
命令を伝える。が、やはり現状をしっかり把握している大佐は当然気乗りしない。
抗弁するも「もし拒否するなら解任してやる!」と将軍に言われ、部下を見殺しに
することもしたくない大佐は仕方なく命令を受諾。翌日早朝5時に攻撃を開始する
と指示を出し、塹壕を出て攻撃開始。大佐は陣頭指揮を執るが、敵の激しい
砲撃のため第2陣が壕を出られない。兵力の差は圧倒的だった。
その様子を見た将軍は味方陣地への砲撃命令を出すが、砲兵隊は拒否。
「軍規に従い文書で命令願います」砲兵隊長のルソー大尉(ジョン・スタイン)
は将軍に答えた。予想通りにフランス軍701連隊による攻略戦は失敗。
激怒したミロー将軍は退却命令を出し、軍法会議を開き701連隊が敵前逃亡
したとして告発することを大佐に告げる。起訴されたのは中隊から各1名、
都合3人の兵士。フェロル二等兵(ティモシー・キャリー)、アルノー二等兵
(ジョセフ・ターケル)、パリス伍長(ラルフ・ミーカー)の各名。
Pathsofglory3
ダックス大佐は
彼らの弁護人として立ち会うことになったが、
即日開廷の軍法会議のうえ最初から有罪=
銃殺が目的なのがみえみえで、大佐の弁護も
機会をろくに与えられないまま閉廷、評決と
なってしまう。結果は出来レースの銃殺。

その夜、ダックス大佐の元を砲兵隊のルソー大尉が訪れる。
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そのすぐ後、舞踏会の中、ブルーラール大将を訪ねるダックス大佐は
ルソー大尉から聞いたミロー将軍の軍規違反の事実を報告する。
Pathsofglory6

3人の命を助けたかった大佐だがその願いは
かなわず、翌朝、刑は執行。
しかしミロー将軍も査問会で罪を問われること
となった。大佐は将軍の後任を大将から打診
されるが、皮肉たっぷりに断る。


Pathsofglory10

701連隊の兵士達が酒場で騒いでいるところに顔を出そうとする大佐。
そこに前線復帰の命令が伝えられる。

 前作「現金に体を張れ」で名を成した
クーブリックが、ハンフリー・カップの小説
「Paths of Glory」を基に映画化したもの
だけど当初その内容の暗さでメジャーは
取り合ってくれなかった。そしたら反骨が売りのカーク・ダグラスの目に留まり、
映画化となった次第らしい。よってクレジットの製作会社はブライナ・プロダクション
(カーク・ダグラスの製作会社)だけど、実質はクーブリックプロダクションの製作。
Pathsofglory2

製作時クーブリック29歳と若い。そのせい
だろうけど、後の作風の感覚的な部分が
かなりわかりやすくこの映画で出て来る。
塹壕の中を移動するカメラワークとか、(
「シャイニング」の移動撮影と同じ感覚)
光線にこだわる撮り方(塹壕内部のカットは
えらい少ない光源で撮ってるせいか、人物
にピントが合ってない部分がある)とか。
また、このひと結構「軍」の出てくる映画を多く撮ってるけど(「スパルタカス」
「バリー・リンドン」など)その表現なんかはまさしくここで見られる撮り方。
俯瞰の、左右対称の人工的な構図とでもいえるような画面がきっちりと撮ってある。
Pathsofglory8

戦闘になると、これが横移動の画になるのも
おなじみ。もともと写真のひとだからだろう
なぁ、こういう画面へのこだわり。
シャイニング」の空撮の没フィルムだけで
3万フィートあったそうだし、「突撃」でも銃殺
される兵士達の最後の夕食なんぞは68回の
リテイクだったそうな。
結果的に、一緒に仕事した人間からは「才能あるくそったれ」なんて言われて
しまうわけなのだ。でも、アーサー・C・クラークとのコラボを再度考えていた
らしいし、人間は少しずつ丸くなるものなのね。
最後にドイツ人の若い女が歌を歌わされるシーンがあるけれど歌ってたスザンヌ・
クリスチャンは後にクーブリック夫人となり、彼の最期まで連れ添っていたそうな。
結局、「突撃」はクーブリックにはいろいろとエポックある作品でした。なので
いろいろと楽しく見てしまったけど物語は深刻だぞ。
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これでオイラの見てないのは「非情の罠」
だけになった、と思ってたらもう一つ「恐怖と
欲望」っていう処女作があった。
これ、よっぽどクーブリック本人が不満な作品
だったらしく、まさしく封印状態。自主映画
やってた人間からすると非常に興味あるなぁ。
「博士の異常な愛情」また見たくなりました。

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December 20, 2006

今日もおくやみばっかり

 クレージー世代の最後のあたりに属する自分としては、悲しい。
青島幸男が亡くなった。享年74歳。「シャボン玉ホリデー」が
絶頂期だった頃はさすがに知らないけど、それでも「スーダラ節」
「ドント節」「ハイそれまでヨ」なんかの作詞家だし、俳優としてもキャリア
があって「告訴せず」なんてえらいシリアスなのも出てた。

何はさておいても残念。

岸田今日子も亡くなった。というか、亡くなっていた。「ムーミン」の声
はまったくのリアルタイムで知っていたけれども、そのほかあまりにも
いろんなところに出てたから困るけど、他に思いつくのだと
やっぱ「砂の女」かなあ。白黒の画面であれほど不思議なエロな感覚は
あの人でないと表現できなかっただろうなあ。「傷だらけの天使」なんて
いいのもあった。
ともあれ、「千夜一夜物語」早く見よっと。お2人とも声の出演してます。

と思ってたら、カンニングの中島も亡くなった。世は無常。

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December 11, 2006

最近は

買い込んだソフトもろくに見ずに○○○なサイトばかり見て、ムダに
夜更かししているわけだけど、今日はお昼に久々に吉牛を食べた。
わざわざ職場から離れた店に行った。
 もともとは用をたすために盛岡駅前の職場から大通りまで歩いて
出かけた訳だけど、そういえば…と思い新規開店のMOSSへ行って
みた。ジュンク堂が入ったから覗いてみよう、という程度だったが
仙台のジュンク堂は知ってたので「あ、やっぱこんな感じ」というのが
本音。ちなみにこのテレビCM、「映画をつくっていたい」とかいう女性
(失礼ながら、小生名前を存じ上げませんm(__)m)が8mmフィルムの
カメラを持って登場しているけれど、これニコンのR8じゃないのよ。
よく持ってた人がいるなぁ、って自分も先日キャノンの1014を我が家に
迎え入れている。なんて、わかる人が限られている話題はともかく
MOSSは混んでました。でもまだ開店三日目だもの。そりゃ当然。
しかし、これで盛岡の中心街は何か変化があるだろうか?と考えた。
もともと大通りにあった店舗がここのテナントで入店してるんだもの。
しかも盛岡フォーラムもこのビルに越してきた。で、空いた店なんかの
跡は新規入居はまだ決まっていない。おそらくはこのままになるだろう。
こうやって中心部から店がなくなっていくわけだけれど、この状態を
「街が死ぬ」とか言うのは簡単だけどその原因を作っているのは誰よ?
と思った。フォーラムが移転したのは、賃料が値上げされるから。
本当は元の場所も併用したかったらしいが、家主との調整がつかなかった
からだそうな。
もっと中心部を活性化したいんなら、家主さんは店子のために賃料を
安くしてあげようよ。ここで欲の皮を突っ張るもんだからみんな逃げて
いくんだから。
郊外の住宅地に移り住んだ世代の人たちがまた中心部に戻りだしている
現状では、盛岡の中心部の活性化は重大な問題なのだけど、真剣に
考えているのは商店主ばかりで家主がまったく協力してくれないように
しか思えない。ということを、ふと考えた。自分も街の中に住んでいるから。
そんなことを考えながら、欲しかった本は結局地元の本屋さんで買いました。

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December 03, 2006

冬の訪れ、なのか

珍しく連日の更新。
今日はめっきり冷え込んで、まさに冬の到来。
とはいっても夜にさらっと降った雪が家の屋根に朝方残っている
くらいがその証左なのですが、これを見て「車のタイヤを交換しなくては」
と私は慌てました。昼ごろに交換を決意して、スタッドレスを車に積んで
ジェームスへ。ついでにオイルの交換も…と思っていたのだが、そして
今頃タイヤの交換に走る奴などここいら辺じゃ自分しかいねぇだろと
思っていたのだが、ジェームスにて
「タイヤの交換お願いしたいんですが」
「持込ですか?…3時間くらいお待ちいただきますが、よろしいですか?」
そんなに交換サボってた奴が集まってたのか!
3時間?去年は、引っ越す前のアパートには広い
駐車場があったのでそのまま車をジャッキアップして自分で交換
していた。これでもどんなに丁寧にやったつもりでも2時間くらいの作業。
3時間待てと?ジェームスでの作業はあきらめて
結局オイルだけ交換した。
雨模様だったのが、所用をこなして夕刻になってみたらだんだんみぞれ
混じりの雨になってくる。ネットで天気予報を見ると
盛岡 12月3日 くもり
ああよかった、と思ったのはつかの間。最低気温をみたら0℃
…ていうことは今日中に換えないと明日がたいへんじゃん!
何ぼなんでも凍りかかった道をノーマルタイヤで走る気はない。
困ったなぁ、と考えあぐね仕方ないので生家の前をちょっと借りてタイヤ
交換をセルフでやろうかと思ったが、こんなクソ寒い日没後に、しかも
雨まで降っているのに外で作業をしろと?軟弱な私は迷った。
そういや自宅の近所にスタンドあったな…と思い出し即効で直行。
幸いにもなんとか交換はできたわけだが4本で2940円也。
微妙に痛い出費となったが、ま、仕方ない。
今日はこんな風に、目論見が崩れやすい一日であった。

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December 01, 2006

おくやみ連発

 あんまり意識していなかったうちに、10月から11月にかけていろいろと
監督とか亡くなってる方が多くて驚いた。

10月4日 田中登 急逝
日活ロマンポルノの、まさに「巨匠」。
実録阿部定」「㊙(マル秘)色情めす市場」「江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者
といろいろ並ぶけど個人的には「人妻集団暴行致死事件」の題名がえらく
印象が強い。これで日本アカデミー賞の監督賞候補にまでなってるから、
これは異例の高評価。一般映画では「丑三つの村」もあるのでした。

10月12日 ジッロ・ポンテコルヴォ監督 逝去
代表作は「アルジェの戦い」で、朝日の記事によるとアメリカ国防総省で
イラクでの対テロ戦の教材として関係者向けに上映していたそうで、
本人はこの知らせにえらい不満だったそうです。とにかく、寡作。
というか日本で公開された劇映画はこれも含めて4本だけ。だけど、イタリア
映画界の重鎮だった人。

10月30日 木下順二 死去
映画の人じゃないけど、演劇界のまさに重鎮。大御所。
「夕鶴」とか「子午線の祀り」は有名。木下恵介とは無関係。
「子午線の祀り」は見てみたかったっす。92歳…

11月15日 石川賢 心不全で急逝
なんつっても「ゲッターロボ」。永井豪との共作だけど、このあたりの
永井豪の発想はすごい。史上初の「合体ロボット」の概念がここで
登場。それを形にした石川賢。この「ゲッターロボ」がライフワークみたい
になって「真ゲッターロボ」「ゲッターロボ號」と神隼人を狂言回しにした
連作として発展したけど、これがまた面白かった。

11月29日 実相寺昭雄 胃がんで逝去
なんと言っていいやら。自分はウルトラオタではないので
神様扱いするつもりはないけれど佐々木守とのコンビで撮った
ウルトラシリーズのエピソードはみなとにかく個性的。怪奇大作戦
の「京都売ります」は円谷で撮った一番の作品かも、とは思う。
「哥(うた)」とか「無常」「歌麿 夢と知りせば」「あさき夢みし」
とかの作品が印象に強い。もっときちんと見よう。「シルバー假面」
「日本以外全部沈没」「ユメ十夜」と最近えらくアグレッシブだったのに
寂しいものです。

11月27日 宮内国郎 大腸がんで逝去
なんだか奇遇ではあるけれど「ウルトラマン」「ウルトラQ」の作曲家
宮内国郎も亡くなっていた。実はオイラの大好きな特撮作品はこの人の
担当した物が多くて「ガス人間第一号」「戦え!マイティジャック」(富田勲と
併用)「スペクトルマン」と並ぶ。

他にもあったような気もするけど、たてつづけに訃報。
さびしくなってきたので、今日はもうおしまい。合掌

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ブラック・サンデー

 その昔、オイラが少年だった頃。70年代後半は日曜日はテレビの日。
小学生のころはというと朝7時ごろからまず「花のピュンピュン丸」
「ジャイアントロボ」ときてそれ以降は「人造人間キカイダー」「変身忍者嵐」
を見て、9時半になると「ミユキ野球教室」なんだけどこれはあまり面白く
なくて、ここでインターバル。
このあと10時からまた何か見てたけど、いろいろな
番組があったからちょっと思い出せない。11時ごろからは外で遊んだ。
んで、昼飯時家に帰るわけだけど午後1時になるとまたテレビの
時間。「TVジョッキー 日曜大行進」を見ていた。「奇人変人」とか「珍人集合」
(呼び出しは山田康雄)のコーナーに挟まって福田一郎が(この人本業は
音楽評論家なんだけど)楽しそうに新作映画を紹介していたのだが、
個人的にはこのコーナー結構好きでしっかり見ていた。別にジャンルを
限っていた訳じゃなく「白い家の少女」とか「シビルの部屋」なんかもこの
コーナーで紹介していたのを思うとえらい大らかな時代だったけど、ここで
紹介された映画は何かとても面白そうだった。いまだによく覚えているのは
「パニックインスタジアム」とか「ブラック・サンデー」。「フラッシュ・ゴードン」
もあったかな?たまに福田一郎が休みで浜村純がやるとつまんなかった。
「ブラック・サンデー」はとにかく面白そうで、ちょうど洋画を映画館まで見に
行くのが楽しかった頃(中学生になったあたり)だから絶対見に行ってやる、
と思っていたのに、公開直前におクラ入り。CMもけっこうやっていたのに。
テロの予告があったからだそうだが、その後しばらくこの映画は「幻の逸品」
になった。原作はトマス・ハリスだし、監督はジョン・フランケンハイマーだし。
今にしてみりゃすごい豪華な布陣。
その後、ビデオは出たしレーザーディスクにもなった。ここでこの作品の
評価は固まっていたけれど、いまだ未見だった私は当時の思い出を
いろいろと噛みしめつつ今回DVD化されたソフトを予約して購入。
…パッケージのイラスト、へたくそ…。
しかし、見てみて思った。「こいつぁ面白い!
物語はドキュメンタリータッチで始まる。

ベイルート 11月12日
空港に一人の女が降り立つ。「黒い九月」のテロリスト、ダーリア・イヤッド
(マルト・ケラー)街を抜け向かった一軒の家。そこで何人かの男と一緒に
フィルムを見る。
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「私は、自分のした行為を遺憾に思う…」と画面に語る男。ベトナムで
捕虜になった米軍パイロット、マイケル・ランダー(ブルース・ダーン…
ローラ・ダーンのおやじだったのか)がベトナム軍の前で自己批判する
姿だった。ダーリアは彼と組んでアメリカ本土でのテロ計画を実行しようとして
いたのだ。決行は年明け早々の1月9日。
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必要な物資はプラスティック爆弾600キロ、ライフルダーツ22万本。
(これを日本から来たナガワが調達することになっている)このフィルムは
すぐに廃棄することになっていた。そして、ダーリアは犯行声明を録音する。
その夜半。イスラエル軍特殊部隊が「黒い九月」アジトの家を急襲。チーム
リーダーはデビッド・カバコフ少佐(ロバート・ショウ)。
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こうしてみるとデ・ニーロに似てる。



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シャワーを浴びていたダーリアはなぜかカバコフには撃たれなかった。
が、家にいた同志はほぼ全滅し、アジトは爆破される。フィルムは焼却して
いたものの、録音した犯行声明のテープがカバコフ達に奪われてしまった。
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11月14日 ロサンジェルス。
グッドイヤーの広告をつけたブリンプ
(飛行船)を操縦するランダー。
フットボールの中継用に飛んでいた。


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これが「ブリンプ」プラモも出たぞ
おわん二つ合わせるだけだったけど

11月17日 ワシントンDC
イスラエル大使館に入るFBIエージェントのサム・コーリー(フリッツ・ウィーバー)。
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そこでカバコフが持ってきた犯行声明テープを検証することに。
いったい「黒い九月」は何を計画しているのか?ダーリアが生きている
以上、計画は進行しているはず。ダーリアの行方を追うために顔写真など
情報が必要だが顔を見ているのはカバコフだけ。
同じ頃、そのダーリアはロスでランダーと合流していた。

11月23日 ロングビーチ港
香港経由で入港した貨物船で調達した資材が到着。これを夜に陸揚げしようと
するダーリアとランダーだったが、沿岸警備隊に見つかる。何とかこれを
まいて、荷揚げに成功。(この貨物船、よく見たら「スマ丸」って書いてある。
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これが「スマ丸」


リビア国籍の船だろ?船長も日本人だぞ)日があけて、船長は船内の捜索
を拒否。しかしカバコフは夕刻、上陸して船に戻った船長を部下のモシェフ
スキー(スティーブン・キーツ)とともに厳しく尋問。ところが船長は電話に仕掛け
られた爆弾で爆殺され、また入院したカバコフを狙うダーリアによってモシェフ
スキーも毒殺される。
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怒りに燃えるカバコフは荷主の貿易商ムツァイを締上げ
荷物がプラスティック爆弾であることをつきとめる。
一方ランダーは試作品の実験に成功。プラスティック爆弾でライフルダーツを
撒き散らす、クレイモア地雷のような爆弾である。

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(ブルース・ダーンのこの辺の
狂信的演技はすばらしいぞ)



12月6日 ワシントンDC
カバコフは脅迫同然で某国(たぶんソ連)のリアット大佐(ワルター・ゴテル)
に協力を要請。
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「あの女の写真と経歴がほしい」
カバコフに屈したリアット大佐は、彼にダーリアの写真を渡し、経歴を伝える。
「君達が彼女をそうさせたのだ」と皮肉りながら。

12月31日 マイアミ
ダーリアは、ランダーとの「作品」を車で引いてマイアミに移動。
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ホテルで同志ファシルと落ち合うが、「君の正体がバレた。計画は中止だ」
と告げられる。しかしダーリアはあきらめない。翌日FBIでもダーリアの
所在をつかみ、さっそく逮捕に向かうコーリーとカバコフだが、ファシルに
気づかれてしまう。それでも身柄の確保を試みるも銃撃戦の末ファシルを射殺。
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ダーリアの確保には失敗。部屋を捜索したところスーパーボウルの
ブックレットが出てきた。「まさか…!」
コーリーは言葉を失う。彼らはスーパーボウルでテロを計画していたのだ。
そして、今回は大統領も観戦する。8万人の観客を巻き込んでのテロが
計画されている。しかし、どのようにテロを実行する?
ブリンプの操縦はランダーに代わり同僚のファーリーが担当することに
なる。しかし、ダーリアは当日ファーリーを射殺し、ランダーが乗り込む
ことになる。はたして、計画は成功するのか?

本編が2時間23分と結構長いのだけれど、ぜんぜん飽きない。全編とても
演出が決まっているのでとても面白い。日にちが表示されて、また手持ちの
カメラの画面がリアルな感じでとてもよい。それにマイアミでのファシルとの
銃撃戦のスピード感はすごい。フランケンハイマーの緩急使う才能に感服。
見てればだいたいは途中でどんな手段を使うのか見当がつくものなのに、
これはずーっと解らなかった。というか、ここではライフルダーツ22万本を
500キロのプラスティック爆弾で飛散させて8万人の観客に被害を与える、
というのは解る。そのためにブリンプを使うのも解る。けど、肝心のスーパー
ボウルの開始時にはその爆発物はブリンプには装着されてないのよ。
どうやってブリンプでこの爆発物を有効にするのかがわからなかった。
だけれどもここからが面白く盛り上がるのだ。なるほどなぁ、と感心しました。
脚本のみなさんはえらい。
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ランダーの操る爆弾つきのブリンプにダーリアが同乗し、スーパーボウル
の会場に向かうわけだけどこれをヘリで追いかけるカバコフとコーリー。
このクライマックスの追撃戦もすごい。特撮部分は今ならCGなんだろうけど
できの悪さは許す。これなら許す。むしろヘリのアクションはCGなしだから
ものすごいスリリング。フランケンハイマーは日本好きだったのか、この
作品で同志ナガワが登場するけど、原作には出てこないみたい。「スマ丸」
船長のオガワも同様。「グラン・プリ」での日本の扱いも好意的だったもん。
それに原作の書かれた当時はまだ日本赤軍が活発だった頃で、ハイジャック
と占拠事件を連続して実行していた(クアラルンプール事件、ダッカ事件など)
テルアビブ空港乱射事件の実行犯、岡本公三はアラブの英雄だったし、
状況的に不自然ではないな、と納得。
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パレスチナ問題はえらいデリケートな問題なので(元はといえばイギリス
のいい加減な外交が発端)今ならあまりさわれない題材だけど、この
作品では堂々とイスラエル側にも非があるという言葉が出て来る。
カバコフのキャラクターも実はとても人間くさいし、彼の職業にからんで
の哀しい家族環境がちょっと見える。ベトナム帰還兵の悲しい現実を
体現しているランダーの造形にも理解がある。自分を見捨てた国家に
対しての復讐を何としても果たさなくてはならないのだ。
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この映画は善と悪の戦いでなくて、人間同士の争いを描いて
いるのだった。だから、ちゃんとしたドラマ。当時はまだイスラエルとアメリカは
べったりでなかったせいもあるだろうけど創り手がもっとしっかりと意思
表示していて、それを吸収する良識が一般の人々にもあったのだろうな、
と思うといい時代だったなぁ。今のアメリカは単なるヒステリーの群れにしか
思えない。ようやく冷静になってきたような気もするけど、どうなるだろう?
おバカブッシュの後の大統領は大変だ。
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ソフトとして不満なのは、特典が少ないこと。ブックレットもついてない。
予告編も何にも無い。お蔵入りしたポスターの縮刷版カードがついてきたけど
もう少しおまけしてよね。原作自体はトマス・ハリスのデビュー作だけど
この後は「レッド・ドラゴン」でこういう冒険小説的なものからは離れて
しまったのが少し残念。ジャック・ヒギンズばりになってほしかった。
できるなら「ハンニバル」の続編も書いて、早いとこレクターを何とかしてくれ。

と思ってたら、Hannibal Rising なんての書いてた。ハンニバル・レクターの
できるまでの物語。できればはやいとこ後日談をやってよ。島耕作じゃない
んだからさぁ

あと、実はこれジョン・ウィリアムスの音楽なのだけど…そうだったっけ?

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