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October 27, 2006

ナイト・タイド

 その昔、今でこそ音楽はネットなりケータイなりで購入するのがフツーになったけど、自分がそろそろ好みの曲を持ち出した頃はというとまずレコードを買ってこなきゃならなかった。しかし、なぜかLP盤は2,800円もして金の無い中坊にはつらい買物ではあった。となると、どうするかといえば欲しい曲がかかるFMの番組を調べ、エアチェックしてカセットテープ に録音し、マイベストを作っていったのだった。
たまっていったカセットテープはどうなるかといえば、結局そのままになることは多かったなぁ。とにかく既成のソフトはめっちゃ高かった。
裏ビデオのおかげでビデオデッキが普及しだして、ビデオのソフトがどんどん発売されたのだがこのソフトがまた高かった。買うと10,000円以上した。
結果レンタル屋に走るしかなかったのだが、レンタル料金も今とは段違いの高さ。何を借りても1泊2日で400円なんて値段。そういう点ではホントに時代は変わった。DVDのセルソフトは劇映画でも500円からあるんだもんなぁ。
そういう原体験があるから、結果DVDのソフトを手当たり次第に買い集めるようになったのかしら、と最近思うようになったです。今何枚あるんだ?

トラッシュマウンテンのDVDは、企画はいいんだけど肝心の内容がいまいちよくないんで困る。かといって、ジェス・フランコの作品なんかはいいところを押さえて発売したりしてるんでこれまた困る。
作品がDVDになった」ことを喜ぶべきか、「いい内容のソフトが手に入った」と喜ぶべきか?ここは難しい問題。
実際に、「地球最後の男」が「人類SOS!」とツインパックになって発売されたときにはあたしも喜びました。実際に買って、見てみてちょっと悲しくなりました。スティングレイを見習ってくれ。しかし、日本語版のソフトがこれしか
ないって場合は、もう仕方なしに積極的に買ってしまうわけです。
今回見た「ナイト・タイド」は実はこのツインパックの第2弾で、「恐怖の足跡」とカップリングされているやつなのだけど、こっちはこっちで実は結構なめっけもんだった。メインはあくまでも「恐怖の足跡」なんだけと、何がめっけもん
かというと、あまりにも若き日のデニス・ホッパーが主演なのだもの。そして実際に見てみたら、これがまたとてもいい感じの作品なのでうれしくなってしまった。
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←若いのだ!


ジョニー・ドレイク(デニス・ホッパー 泣けるくらい若い)は海兵隊員。入隊してまだ1年ほどのルーキー。生い立ちのせいか、孤独なワカモノ。休暇で訪れたサンタモニカのクラブでジャズカルテットの演奏に聞き入るモラ(リンダ・ローソン)に出会う。
美しいモラに一目ぼれのジョニーはコナかけるのだが、そこに怪しい女(マージョリー・キャメロン)が現れ何事かを語る。苦しみだすモラ。
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クラブを飛び出したモラを家まで送るジョニー、ちゃっかり翌日のデートの約束もとりつける。
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けっこう調子のいい奴


モラの住む部屋はメリーゴーランド小屋の二階。翌朝そこを訪ねたジョニーはメリーゴーランドの持ち主の男(トム・ディロン)とその孫娘エレン・サンズ(ルアナ・アンダース)と知り合う。しかしモラの部屋に行くと告げたとたんに二人とも怪訝な表情。ジョニーはモラの部屋で食事をとり、二人でモラの仕事場に向かうとそこは見世物小屋。その主サム・マードック船長(ギャビン・ミューア)をモラに紹介されるジョニー。
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モラの仕事は、この見世物小屋で人魚を演じることなのだ。
ジョニーはモラと愛し合うようになり、休暇のたび彼女の元へ通う。自身を人魚の末裔と信じる彼女はどこか秘密めいていることを楽しむジョニー。
ある日、メリーゴーランドでジョニーが時間をつぶしているとエレンにコーヒーを勧められ、ありがたくいただく。同席した占い師のロマノビッチ夫人(マージョリー・イートン)を紹介される。
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そこへヘンダーソン警部が現れ、エレンの祖父(名前ないんだもん)と会話を交す。
「事件は解決しそうかい?」
「いや、だめだ。2件とも」
エレンはジョニーに隠していた事実を聞かせる。この二年間でモラと付き合った男性が2人、殺されているのだ。エレンはジョニーの身を案じる。そこへジョニーに電話がかかってくる。ここにいるのは誰も知らないはずなのに?無言電話が切れあの怪しい女が電話ボックスから出る姿が見える。女の後を追うジョニー。
姿を見失ったところは、マードック船長の家の前だった。
船長の家で、ジョニーはモラの思い出を聞かされる。モラは以前、この家に彼と住んでいたのだ。モラは本当に人魚の末裔なのか?

夜、モラの元を訪ねたジョニーは眠ってしまう。目が覚めると、モラが寄り添っているのだが…人魚。そして、怪物になる。襲われるジョニー…彼は夢にうなされていたのだが、本当に目が覚めるとモラがいない。
「どこにいるんだ?」
彼女の名を呼び捜すジョニー。
「ジョニー!」と応えるモラは、桟橋の下で波に打たれている。
助け出すジョニー。モラは、海に呼ばれたのか?
夜が明け、モラを休ませてジョニーは占い師ロマノビッチ夫人のもとに。自身の運命を占ってもらうのだ。結果は、自分を犠牲にする男の姿。どんな意味?
マッサージ屋で船長から彼は忠告をうける。「満月の頃は気をつけろ」
エレンにコーヒーを勧められ、善後策を話し合うジョニー。
モラの元に戻ると、彼女はいそいそと潜水具の手入れ。ダイビングに行こうと誘われるジョニーだが、気乗りしない。でも結局行くことに。おりしも日は満月の頃。
翌日海に出てダイビング開始。と、ジョニーはモラに海中で襲われる。ナイフでエアを切られ命からがら船に戻るジョニー。モラの戻ってくるのを待つが、彼女は戻らなかった

 常宿のホテルで、ジョニーはまた夢を見る。波打つ岩に座るモラ。人魚。彼女の手を握るが、モラは海に逃れる。それでも手を離さないのだが、それを笑うモラの顔。笑い声。
目が覚めて、ふと目にした新聞に遊園地の20周年記念の記事。モラの人魚はまだやっている…?私服でサンタモニカへ行くジョニー。そして、人魚の小屋へ。
そこには、モラの死体が飾られていた。「来ると思っていたよ」
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ジョニーに銃を向け、声をかける船長。船長はモラを海から捜し出してきたのだ。
そして、彼女と付き合った男たちを殺したのは船長だったのだ!
モラを奪ったジョニーも殺そうと銃を撃つ船長。しかし弾ははずれ、銃声を聞いた警官が駆けつけてきた…。

船長は警察ですべてを告白した。彼はモラをどうしても手放したくなかったのだ。
彼女を、少女の頃から愛していたのだ。が、いずれ家を出て行くに違いない。
そんなことは考えられなかった。だから彼女を人魚の末裔と信じ込ませた。
それから、彼女と付き合っていた2人の男を殺したのだ。
モラは、愛するジョニーとともに死ぬつもりだった。そのことをようやく解ったジョニー。しかし、あの謎の女のことは船長も知らないと言う。
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エレンはひたすらジョニーにコーヒーを勧める





ジョニーを迎えるため、エレンは待っていた。紙コップでコーヒーを勧めて
「次の休暇は、回転木馬に乗って」
「ああ、そうするよ」
憲兵の車に乗り、基地に向かうジョニー。
エドガー・アラン・ポーの詩「アナベル・リー」の抜粋が、字幕に現れてエンドタイトル

 とにかく、清楚で雰囲気が幻想的でいい作品なのだ。
白黒の、低予算で撮影されたことがばればれのフィルムなんだけど若き日のデニス・ホッパーがこのジョニー役にはまりすぎでこれだけでもいい感じなのに、モラを演じたリンダ・ローソンも謎めいた不思議なキャラクターを好演していて、見事にファンタジーの要素を満たしている
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夢で出てくるタコの造形なんかは失笑してしまうけれど、そこはそれ、補ってもあまりある幻想的な好作品に仕上がってます。主演の2人のおかげ。
監督のカーティス・ハリントンは、こんないい感じのを撮ってるからさぞかし他にもいい仕事をしてんだろうなぁと思ったら、別にそんなこともなくてB級ホラーをこの後ぼちぼち撮ったりして、後にテレビシリーズの演出を主に生業にしていたみたい。「ベガス」「刑事バレッタ」「ワンダーウーマン」「ローガンズ・ラン」「チャーリーズエンジェル」に「新トワイライトゾーン」と、結構なヒットシリーズが並びます。この作品がホラーのプログラムピクチャー専門AIPに買い取られたせいかB級のホラーを撮るようになったらしいけど、なんかもったいない気もする。またしてもコーマン先生登場。
とにかく、こんな感じでめっけものがあればうれしいなぁ。

 だから僕は一晩中 いとしい人の傍らに身を横たえる
 いとしい人 ぼくの人生 ぼくの花嫁
 海のそばの墓のなか 波音ひびく彼女の墓で
 (出口保夫・斉藤貴子 訳より)

アナベル・リー全文はこんな風
この映画の下敷きはこの詩なのでした

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