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July 19, 2006

ナイロビの蜂

 先日、由あって海外へ出かけておりましたが、往路の飛行機の中で
はどうせ寝ていくことになるんだから楽なもんだと思ってた。が、ビデオを
選んで見られることを知り、プログラム冊子を眺めてたらプログラム中にもう、
「ナイロビの蜂」が入っていました。これは寝ている場合ではないってんで、前日
遠足前夜の子どもと同じにさっぱり眠っていないにも関わらず、しっかりと鑑賞。
他に「ブロークバック・マウンテン」も選べたけれど、悩んだ結果こちらに。
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原作はジョン・ル・カレのconstant gardener(原題も同じ)訳すると「誠実な
庭師」とでもいうのかな?映画の邦題は、劇中登場する製薬会社のマークに
蜂の絵が使われていることによるので、ありがちな「愛と哀しみの云々」みたいな
ものではないので納得。邦訳原作の題も同じ。
005

英国外務省一等書記官のジャスティン・クエイル
(レイフ・ファインズ)はガーデニングの好きな、
おとなしい男。ナイロビの空港からロキへ旅立つ
妻テッサ(レイチェル・ワイズ)
を見送る。
「じゃ2日後に」
黒人医師のアーノルド(ユベール・クンデ)と一緒に飛行機に乗り込む妻を見送る
ジャスティン。
後日、友人の高等弁務官サンディ・ウッドロウ(ダニー・ヒューストン)がジャスティン
を呼び出す。
「遺体の確認をしてほしい」
ジャスティンが安置所で見たものは、変わり果てた妻の姿。アーノルドは行方不明。
警察は単なる殺人事件として処理しようとするのだが、その捜査に納得がいかない
ジャスティン。
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彼がたまたま上司の代理で講義に行った先で、
舌鋒鋭く論戦を挑んできたのがテッサ。そこで
彼は恋に落ち、彼女と結婚する。精力的な慈善
活動家だった彼女は妊娠し活動はしばらくおと
なしくなるが、子どもは死産だった。以後、ますます
精力的に活動するテッサ。そんな妻の姿にさほど関心を払わなかったジャスティン
は彼女が本当は何をしていたのかを知ろうと、積極的に彼女の人生に向き合う
決意をする。
「彼女はなぜ殺されたのか?」
独自に調査を始めたジャスティンは、大手製薬会社がイギリス政府とともにケニア
で行っていた問題のある新薬の実験をテッサが告発しようと、レポートを外務省に
送っていたことを知る。その事実を明るみにしようとするジャスティンにも、危険が
迫っていた…。

 まずル・カレの原作ということを考えると(未読だけど)かなりうまく脚本に仕立て
てあると思う。レイフ・ファインズはこの風采のあがらないジャスティンの造形には
かなりいい線いってると思います。この作品でテッサを演じたレイチェル・ワイズは
アカデミー助演女優賞をゲットしてるけど、うまくキャラクターが立っているもんなぁ。
「恋に落ちたシェイクスピア」のグウィネス・パルトロウみたいにうまくキャラクターが
目立ってるから、これはまぁ及第点でしょう。
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「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレスが監督なのだけど、この人の
感覚はとにかく基本的に視覚的なものなのかなぁと思った。ケニア国内の色のある
映像とロンドンのどえらいくすんだ色の映像の、この表現の差といったらものすごい。
おかげで、見ててメリハリがあります。短いカットでつなぐ、ナイロビの雑然とした
パワフルな描写と引き気味に灰色のトーンで描かれるロンドンの街にすこし新鮮な
驚きがあった。
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劇中、盗賊に襲われる部落の描写がある
けれど、ここから飛行機で脱出する
ジャスティンが女の子を助けようとする。
しかし「ここではそんなことはできない。
彼女をおいていくんだ!」とパイロットに
言われる。女の子はそれを知っていてか自分から離れていく、というくだりが
あるけれどこれもまた切ない。
援助と救助は別なのだ。そして介入もできない国連の活動。納得いかんぞ。
自分の妻の信念と行動の意味を知り、ジャスティンは妻への愛を確かめるわけ
だが自分にゃそんなことはようできません。うぅ、なんて器量の狭い自分。
彼女が最期に見たであろう湖の、その岸辺でたたずむジャスティンの姿は
なんともいえない余韻がありました。
まずまずの好作品でありました。

にしても、洋行ボケで6月の更新は一切無し。こんなこっちゃいけません。
オプス・デイの修道士にならい反省。

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Comments

ル=カレの原作読みましたよ(映画は未見)。久々にル=カレを読んだけど、スパイが出てこないなんて、ル=カレじゃない!

Posted by: やぎ | July 19, 2006 at 12:26 PM

やぎさん、まいどです。
自分の場合、ル・カレの原作でまともに
読んでるのがスマイリー3部作なもんで、
やっぱああいう枯れた年寄りのスパイが
出てこないと確かにピンとこないかも
しれませんなぁ。
映画の方は、とにかくラブロマンスとして
持ち上げすぎですが、出来は悪くありませんよ。

Posted by: 最上屋 | July 19, 2006 at 11:42 PM

ル=カレって、今ハヤカワじゃないんだね。どうも新刊が出ないと思ってた。
ところで洋行ってどちらへ?

Posted by: KT | July 24, 2006 at 12:36 AM

KTさん、お久しぶりです。
仕事で、初の海外出張はタイでの研修でありました。
てっきり早川だと思ってたら、今は集英社なんですね。
これ以降の邦訳はまだ出てませんけど、Absolute Friends
くらいはもうすぐ出てくるのではないでしょうか?

Posted by: 最上屋 | July 25, 2006 at 05:02 AM

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