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May 20, 2006

映画館へ行こう” ホテル・ルワンダ編

 基本的には旧作のレビューをあげていきたい方針なのですが、
まぁ何でもありということで。先日、秋田の有楽座にピンク映画を見に
いったわけであるが、心中どこかで「これでいいのか?」と考えたことも
事実。そんで、たまたま見てみたいと思っていた「ホテル・ルワンダ」が
もう盛岡でクローズになるってんで慌てて見に行きました。

「ホテル・ルワンダ」という映画の存在は知っていたのですが、評価のわりに
いかんせん公開のめどが立たなかった。でも、04年アカデミー賞の主演
男優・助演女優・脚本の3部門ノミナーという、評価の高い作品が見られない
のはよろしくないなぁ、と思っていたらやっと今年公開の運びとなった。
この、公開までに至る過程がおもしろい。
詳細はこちらのミズキ・ユータ氏のブログへ。
わたし自身は、映画秘宝の記事でこちらの活動を知りました。結果は、今年の1月
についに日本公開。信ずれば道は開けるのですな。
物語自体は、94年にルワンダで発生した虐殺事件の実話を下敷きにしている。
この事件は当時、ちょっとニュースで聞いたことがあるけれど詳細は知らなかった。
でも関心はあったのでこうして映画となって、やっと詳細を知ることができました。
Hotelrwanda_bigposter











舞台は94年のルワンダ。首都キガリの高級ホテル「ミル・コリン」で雇われ支配人
を務めるポール・ルセサバギナ(ドン・チードル)は有能な支配人だった。争いを
好まない性分もあって、そのためのコネクションを大切にする男。しかし、ラジオは
フツ族のツチ族排除の蜂起を呼びかけ、市内では煽動されたフツ民兵がデモを
繰り返す状況。自身がフツなんだけど、ポールはいさかいを好まないもんだから
この状態に不安を覚える。妻のタチアナ(ソフィー・オコネドー)はツチなのだ。
Hotelrwanda3

ツチの血をひく自身の子ども達にも
害が及ぶのではないだろうか?
不穏な状況下で国連平和維持部隊の
オリバー大佐(ニック・ノルティ)は国内の
状況を報告。外国メディアのTVクルーが
それを取材している。ある日タチアナの兄夫婦が「フツがツチを
狩ろうとしている。すぐに出国しよう。合図は、「高い木を切れ」だ」
フツ民兵の友人から聞いたとポールに告げに来る。
が、監視下でそれはないだろうと思ったポールは兄夫婦をそのまま帰してしまう。
その夜帰宅したポール。家は真っ暗。中には焼討ちにあった近所の知人たちと
妻子が身を潜めていた。信頼できるフツはポールしか居ないのだ。そして、
大統領暗殺のニュースとともにラジオが「高い木を切れ」と告げた。
Hotelrwanda2

翌朝政府軍がポールの家にやってくる。
隠れていた人々は見つかり殺されそうに
なったけどポールが現ナマをばらまき
なんとかその場は助かる。でも、行き場の
無い彼らを保護するため、ポールたちは
ミル・コリンへ向かう。海外資本で、国連平和維持軍もいるここならうかつに
政府軍や民兵は手を出せない。義兄夫婦は行方がわからなくなった。
その娘たちも何としても保護したいポールは、最後まであらゆる手をつくす。
混乱するホテル、ミル・コリン。スタッフたちは訳がわからない。
ポールは従業員を集めて告げる。「ここではツチもフツも平等だ」
この一言で、疑心暗鬼になりかかっていた彼らは淡々と自分の仕事をこなす。
そうこうしているうちに避難民がミル・コリンに集まりだす。国連軍が来て、助けて
くれるに違いない。そう思っていたポールとオリバー大佐だったが、やっと来た
国連軍は国連関係者と外国人の退去を支援するためのもの。ホテルの本社派遣
の支配人はポールに鍵を渡して「あとはよろしく頼む」と告げ去っていった。ポール
たちは見捨てられたのだ。酒とカネと口八丁手八丁を頼りに、ポールの武器無き
戦いが始まってしまった…。
Hotelrwanda9





ミル・コリンの親会社サベナの社長役で、ジャン・レノが堂々とカメオ出演している。
とにかく一生懸命に家族とホテルに居る人々とを守ろうとするポールをドン・
チードルが熱演。このときには他に2本かけもちで撮影したそうで、その作業密度
を考えると頭が下がります。個人的にはドン・チードルというとなんか一歩引いた
芝居をしている人みたいなイメージが強いけど、そのキャラがここではかえって
生きていると思う。深刻な題材だしものすごい実在のキャラクターを熱演すると
ねばっこくなって見てられない場合が多いのだがここではしつこさがなくて好感が
もてる。
監督は「父の祈りを」でアカデミー脚本賞ノミナーのテリー・ジョージ。とことん
直球勝負で、もう少し演出にバリエーションが欲しい感はあるけれど、けれんみ
なくまとめてまずは及第点。どぎつい描写もあえて抑えて、この悲劇を解りやすく
描いている。ホアキン・フェニックスもテレビクルーの役で出てるけど、途中で
退去するのでもったいないなあ。ニック・ノルティの演技は熱い。平和維持軍は
本来護身のためだけにしか武器の使用は許されないのだけれど、ミル・コリンの
人々を守るために腹をすえて、部下ともども銃器を構える姿はかっこいい。
自分的には、劇中終盤に全員でミル・コリンを脱出する際にポールの部下
のデュベ(だったかな?)が玄関の鍵を閉めた後、
「また戻れますよね」 とぼそっと言うところでほろっときた。ホテルマンの鑑だ。

4月に事件発生後、3ヶ月たってツチの反政府軍がキガリに侵攻して事態はほぼ
収束。その間、ほんとうによくぞポール・ルセサバギナは不屈の戦いを繰り広げた
ことになる。脚色は抑えてあるのだろうけどホテルには何度も政府軍が侵入
してくる。そのつど、ポールはあらゆるコネを使いギリギリの所で追い返すのだ。
現実にはこのホテルから1286人が助かったのだ。驚異。虐殺の背景はおよそ
信じがたい。とことん異民族の間の紛争でないのだもの。ツチもフツも、何にも
違いはないのである。ただ単に、「顔つきが白人ぽいからあんたツチ。いかにも
土着の顔つきだからあんたフツ
」という感覚で分けられた民族なのだから。
もともとの宗主国ベルギーはこれでツチを優遇して、多数派のフツは被支配側
になっていたのが背景にあるとはいえ、こんな程度の民族支配はそりゃ頭に
くるとは思う。そんな背景で、フツによる虐殺は周到に準備されていたのだ。
劇中ちらちら登場するナタみたいな刀(マチューテ)は安物の刀で、切れ味は
悪かったそうだけどこれが大量に準備され、実際に使用された。むごい。
いきなり隣人が自分を殺しにくるなんて、考えられるだろうか?
一説には3ヶ月の間に100万人の人間が殺されてしまったとのこと。
そこらへんに死体が転がっているわけで、およそ現実には信じられないが
事実なのだ。そう思うと、何と自分はへなちょこな国に生きているんだかと
思ってしまった。
現在のルワンダは何とか復興途上にある。しかし、当然のごとくフツ・ツチという
人種区別は廃止され、この言葉は禁句となっているそうだ。
この映画、もっといろんな人に見て欲しいなぁ、とひさびさに素直に思った。

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Comments

よーやっと観ました、この作品(苦笑)。
ルワンダの虐殺に付いては、何年か前からNHKの特集で知ってましたが、
こうして2時間ジックリ観ると本当に悲惨でありますね。
他国の事にまでは何かと容喙し難いですが、
少なくても、日本ではこんな事が起きない様、
しっかりしたいもんだ、と思ったですよ。

Posted by: カゴメ | October 10, 2006 at 08:10 PM

カゴメさん、ごぶさたしてました。
ちょうどこの事件の起こってた頃はユーゴスラビアの
ごたごたと重なってて、結果こっちは放ってかれてた
わけなので、悪いことは重なるものなのですね。今では
「国連PKOの失敗例」として扱われているそうですね。
でも、今のダルフールの状況を見ると教訓にはなってないような気も。

日本でこんな人種区別してみたら、どういう風に分けるんだろ?
と、不真面目に考えてしまいました

Posted by: 最上屋 | October 11, 2006 at 11:11 PM

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