« 孤独な場所で | Main | もう冬だわ »

November 26, 2005

花嫁吸血魔

 もう12月になるってのに、思いの外寒くはならずに今に至る。
とにかく最近、「あ、これ使えるかもしれん」というネタが出てきても、
いざこうやって書き込もうとすると…出てこない。忘れている。
面白い幻のネタが数知れず。もう若年性の認知症が始まっている
のか?まずいぞ。

ボギーの映画もそうだけど、最近まともに見るのは白黒の映画ばかり。
買っておいて見てなかった「花嫁吸血魔」を無駄にしないために、観る。
この作品、変な伝説がくっついていて、それに興味しんしんだったので
またいつものように「どうせレンタルじゃ見られないし」ってんで、買って
しまった。この作品、伝説がいろいろある「怪作」
hanayome







主演は池内淳子。なんだけど、この人この作品の前に新東宝を寿退社。
結婚して引退する、つもりだった。この結婚に猛反対だったのが大蔵貢。
「どうせ結婚は長続きしない」と言いきっていたらしいけど、案の定半年で
彼女は離婚。結局、新東宝で女優として復帰することを大蔵に申し入れた
のだけど、そこは大蔵先生。簡単には認めない。
どんな役のオファーにも文句を言わないことを条件に、復帰を認めたのだけど
その復帰第一作が、これ。池内淳子は泣く泣くこの役を演じることになったの
だそうで…。

 白井藤子(池内淳子)はニュー東京舞踊学校に通う、明日のスターを夢見る
若き乙女。同じ学校に通う滝内喜代子(天草博子)、篠原英子(瀬戸麗子)、
玉木里枝(三田泰子)、そして光武早苗(矢代京子)はもともと藤子と仲良し
だったのだけれど、喜代子は自分が抜擢された極光映画社の新作ヒロインが
会社の意向で藤子に代わり、英子が好意を寄せていた女たらしの芸能記者
大田基保(高宮敬二)は藤子をものにしようとする。里枝が思いを寄せる
早苗の兄、光武貞夫(寺島達夫)も藤子に好意を寄せるようになる。
…何も藤子はしてないんだけどな。
藤子のおうちは超ビンボで、借金まみれ。母・道子(津路清子)は病に伏して
いる。極光映画のヒロインに抜擢された藤子は
「これでおうちの借金が返せるし、お母様の入院もできるわ」
と素直に喜ぶ、いい子なのだ。
喜代子・英子・里枝は面白くない。何とか藤子をおとしめたい彼女らは
基保と貞夫をダシに藤子を城ヶ島へのピクニックに誘いだす。そして
藤子を断崖から突き落とし、顔を砕くほどの重傷を負わせる。結果、
ヒロインは辞退。家の借金は返すこともかなわず差し押さえられ、怪我を
おして藤子が母の面倒を見に家に戻ると母・道子は自害していた。
「あなたの曾祖母、お琴様をたずねなさい」との母の遺言に従い、家伝の
手鏡を持ち藤子は顔面に包帯巻いたままお琴様のもとを訪ねる。藤子は
南北朝で下野したとはいえ由緒正しい陰陽師・影山家の子孫で、お琴様
(五月藤江)はその妖術を会得した、一族で唯一の生存者だったのだ。その
証が手鏡。
「影山の子孫のためにわしは死ぬわけにいかん」みたいなことを信条に、
とんでもない顔をしているお琴様。彼女は何でも知っていた。藤子が
女友達に陥れられたことも妖術水鏡で見ていたのだ。彼女らに復讐を促し
秘術で顔の治療をするお琴様。だけど、コウモリで湿布したって効かん
だろうなぁ。目を覚ました藤子は自分の顔を見て絶望し自害を図る。
藤子を何とか復讐のため蘇生させようとお琴様は自らの血を与え、己の
命とひきかえに藤子を生き返らせる。しかし、藤子は呪術のために吸血鬼
の化け物に自分の意思にかかわらず変身することとなる。
藤子の後を追って、貞夫がお琴様の家を訪ねると彼は下男の捨助(由木
城太郎)(←お約束の、せむしでまともに話せない)に案内され、藤子の墓へ。
藤子さんは死んでしまった!悲しむ貞夫。

東京で開かれた第六回ミス太平洋コンテスト(何か中途半端だな)に現れた
謎の美女・影山小夜子。この審査をしていた喜代子と英子は驚く。
「あれは藤子さんだわ!」
ふたりの疑惑を、確かめようとスケベ心が先にたつ基保。小夜子のもとに
押しかけ、スケベなことに及ぼうとすると小夜子変身。基保は怪物に血を
吸われ絶命する。ここから小夜子=藤子の復讐が開始される。
まず英子が怪物に襲われ、ついで新婚早々の喜代子が襲われ殺される。
貞夫と婚約していた里枝は、次は自分が殺されるとおびえる。
「私たち、藤子さんに大変悪いことをしてしまったの。小夜子さんは藤子さん
だわ」里枝は貞夫に自らの罪を告白するのだった。
その様子を怪物の姿で見ていた藤子は、貞夫が里枝を愛していると知る。
「里枝さんを殺してはならない。貞夫さんを悲しませてはならない」
復讐をやめようと決心する藤子。

貞夫の故郷での結婚式に、贈り物を持って現れる小夜子=藤子。これで
さよなら、と思いを断とうとしてたのだけどその帰り道に自らの意思に反し
怪物に変身。式場に舞い戻り里枝を襲うのだが、銃で撃たれてしまう。
最後の力を振り絞り逃げる藤子だったが、池の水辺で力尽きる。追って
きた貞夫は藤子のなきがらを抱きしめるのだった。


まずすごいのはお琴様の顔。特殊メイクすごすぎ。怪我を負った藤子の
顔もメイクがすばらしい。変身後の怪物の造形はまぁ、時代を考えると
それなりだけど変身途中の描写はとてもよく作ってある。編集もいいし
ワンカットでの変身シーンというすごい技術も見られる。
変なババァの呪術に引っかかったお嬢さんの復讐談、って言ってしまうと
あんまりかもしれんけど…
おそらくは怪物も池内淳子本人がやってるんだろうなぁ。小柄だし。
新東宝の撮影所が出てくるのがうれしいし、作品自体の出来は悪くないです。
池内淳子と大蔵貢の確執がまず伝説的だけど、ことの真贋は不明。
でも、大蔵が彼女に嫌がらせしようとするならやはり仕事を干してしまうだろう
から、これは彼女の女優としてのやる気を確かめたかったんだろうと思いたい。
うーむ、スポ根のようだ。いい話ではないか。

それと、もうひとつの伝説はこの映画の存在をキャリア上の汚点とした
池内が、後にこのフィルムを買い取りジャンクにしたとのお話。

…なら、なんでDVDが出てんだ?これはまさに、ガセだったのだった。

|

« 孤独な場所で | Main | もう冬だわ »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55867/7325324

Listed below are links to weblogs that reference 花嫁吸血魔:

« 孤独な場所で | Main | もう冬だわ »