« 映画祭 | Main | てなわけで12モンキーズ »

October 29, 2005

ラ・ジュテ

 いろいろと忙しく、ろくに更新ができない!
困ったもんだ。と思いつつ昔に自分がここで起した文章を読み返してみると
…だめだこりゃ。気持ちばかり、先走っている。へただ。
いかんよこれは。とはいっても、過去のブログをいちいち井伏鱒二みたく
直していてもまずは読んではもらえんな。というわけで、昔書き込んだ
やつをお色直ししてまた出そうかなぁ、なんて考えてたりする。
新たに書き込みしたいのもあるのだけれど、どれから手をつけていいのか
思い悩んでおります。
la2



うーん、自分に宿題出しておこうかな。「ラ・ジュテ」と「12モンキーズ」でも
何とか次にあげたいな、とは思っているんだけども。ということはこれらを
また見なきゃならんです。「ラ・ジュテ」は貸したまんまだし、「12モンキーズ」
は借りてこなきゃならんな。にしても、「ラ・ジュテ」はあんまり見た人いない
だろうなぁ。ちゃんとこれ借りられるんだよ。

 「おれはこんなのまで見てんだぞ」みたく自慢するのは、ダメだと思ってる。
自慢話じゃなく、あくまで経験談にしようよ。と思ってます。自分的には、
ポリシーは「経験談」。

なんだか、成り行き的に「ラ・ジュテ」のことどんどん思い出してきたぞ。
もともとこれ、何ゆえ見たのかというと、もともとは「12モンキーズ」を
その昔に借りて見ようと思ったらDVDが貸し出し中。さびしくパッケージ
だけ眺めていたらこの映画の元ネタが「ラ・ジュテ」だと説明文に書いて
あった。で、こっちの方もちゃんともっぱらお世話になっているツタヤに
あって、そのままこれを借りてきて見たのだ。なので、オイラはこの2本を
時間軸的に正しい順番で見てしまったのである。

監督は、クリス・マルケル。この人もともとドキュメンタリー作家で、ゴダール
などと一緒に「ベトナムから遠く離れて」にも参加している人。彼のおそらくは
唯一の劇映画がこの「ラ・ジュテ」なんだけどこれ、短編なんだよな。28分。
それでもシネフィルのDVDのパッケージはとにかくクールでかっこよくて、手に
取って見たら関心がむくむくとわいてきた。これも大きな動機になった。
cpvd1059






で、見てみたらとにかく驚いた。白黒の、ほぼ全編スチルカットという構成。
「映画の表現」という観点では、なんか自分の価値観が変えられたかも。

 時は未来。放射能に汚染された地上では暮せなくなった人類。
主人公は、敗者側の捕虜の男(ダフォ・アニシュ)。冒頭「これは少年期の
イメージに取り憑かれた男の物語である」とのナレーション。
全編、ジャン・ネグロによる三人称のナレーションで物語は進行する。
過去に飛行場で、男は叫ぶ女の姿、誰かの死?を見たことがあるらしい。
断片的なそれが、男を捉える。自分は何を見たのだろう?
戦争が起こった、その原因を探るべく過去にタイムスリップする男はそこで
ある女性(エレーヌ・シャトラン)と出会う。彼はなぜか、彼女に見覚えがあった。

過去のその時代で彼は彼女と愛し合うようになる。
逢引を重ねる二人。そして彼は彼女と飛行場で会ったことを思い出し、
二人は飛行場へ向かう。そこで何が起こったのか?

 「12モンキーズ」を見ている人には、物語の重要なプロットはほとんど同じ
なのでネタバレしてしまうのだけれど、逆にこっちを知っていると
「一緒にすな!」と思う人も多いだろうな。
 この「静謐」という言葉の似合う映画、なんと言っていいのだろう。
全編スチルカットでの構成なので、もともと写真を撮ってそれを編集
したのかと思ったら、実はちゃんとムービー撮影していてその中からカットを
抜き出してスチルにしていたんだそうな。
たかだか28分の作品なのに、これだけ印象の強い作品というのはめったに
ないぞ。この徹底的に詩的な時間、28分。
一瞬だけ、朝に目覚めた彼女が目を開き、微笑む。
それだけのムービーがはさまれているのだけれど、このカットはとにかく
感動的。白黒の画面でこれほどの情感が表現できるとは、うーむ。
「映画的表現」という言葉の意味の深さを知った一瞬であった。
結局いっぺんでこの映画、気に入ってしまいました。

この作品は1963年ジャン・ヴィゴ賞とトリエステSF映画祭金賞受賞。
日本ではまさに知る人ぞ知る名作だったけど、1999年ついに初公開。
後にDVD化されたけど…
シネフィル版のやつ、なんちゅー高くなっとるんじゃい!
私が見たのはまさにこの版であります。後に紀伊国屋版を買った(サン・ソレ
イユとのツインパック)

「12モンキーズ」はまさにこの映画を下敷きにして作られた作品で、若干元祖
とは異なる部分がある。
・人類が滅びたのは核戦争でなく謎のウィルスのせいになっている
・ラ・ジュテでは未来にも行っているのに、こっちは過去だけ
・謎のウィルスにからむ人々(例 ブラピ)はラ・ジュテには当然出てこない
・少年の視点は、ラ・ジュテではあまり重要視されてません(この点は重要だ)

クリス・マルケルの作品は日本ではあまり公開されてないけど、実際には
かなり多作で、昨年もTV用に1本撮っている。「Level5」という作品には大島渚も
出ているらしい。どんなのなんだろ?

忙しい理由の大きなもの、自分の出ていた芝居がめでたくハネたので、
少し時間ができました。

|

« 映画祭 | Main | てなわけで12モンキーズ »

Comments

「ラ・ジュテ」は総統も大好きです。現在はパソコンが発達したので、動きのあるフツーのアニメを自主製作しておりますが、ちょっと前までそれは、叶わぬユメマボロシでした。んで、苦し紛れにスチル映画制作を目論み、参考にしたのがこの映画と、大島渚の「忍者武芸帳」でした。どちらも、映画って一体ナニ?と考えさせ、悩ましくなるステキな作品です。こういうチョッピリ狂った映画をもっとみたいですね。
「シン・シティ」にそんなにほひを感じて見にいったのですが、そこまでアバンギャルドってなかったのが惜しかったです。

Posted by: ガットラー総統 | November 03, 2005 at 12:44 AM

総統閣下、いらっしゃいませ。
「ラ・ジュテ」いいですよねー。小生、「忍者武芸帳」はすんげー関心あるのですがいまだ未見です(T_T)

>こういうチョッピリ狂った映画をもっとみたいですね。

私も同感です。こういう風なの、自分でも作りたいと思いましたし。
思い出したのですが…
昔、PFFで見た山川直人の「100%の女の子」がまさにこの手法で
作られていたのは後から気づきましたが、でもそんなに見た当時は新鮮には
思わなかったのですよ。
作り手の詩的センスの問題なのかなぁ、と考えてしまいました。

Posted by: 最上屋 | November 03, 2005 at 01:42 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55867/6712223

Listed below are links to weblogs that reference ラ・ジュテ:

« 映画祭 | Main | てなわけで12モンキーズ »