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September 07, 2005

殴られる男

 タイトルだけ見れば、今の自分のよう。
仕事がたまっています。ホントならこんなことやっているヒマはないのですが。

 その昔私がレイモンド・チャンドラーにハマっていた頃(もう20年ほど経つ)
チャンドラーの遺作で未完に終わった「マーロウ最後の事件」の邦訳を買ったら
そのカバーはやはりハンフリー・ボガートの写真だった。その写真は、首には
蝶ネクタイ。ややくたびれ気味のボギーの顔が、くたびれた写真に処理してある
ものだった。本を買ったその当時はぜんぜん気にしなかったその写真は、今に
して思えばこの「殴られる男」のスチルだったのではないか、としみじみした。

 スポーツライターのエディ・ウィリス(ハンフリー・ボガート)はある日、悪徳プロ
モーターのニック・ベンコ(ロッド・スタイガー)に呼び出され大型の新人ヘビー級
ボクサー、トロ・モレノ(マイク・レーン)の売出しを依頼される。が、このトロは
弱い。なんで、つまりは八百長で売り出す片棒担ぐのを頼まれる。仕事のない
エディは仕方なく引き受け、トロは連戦連勝(八百長で)。世界戦の直前、前
チャンプのガス・ダンディとの挑戦権をかけた試合でも八百長するんだけど
この試合でガスが死んでしまう。でもこれはチャンピオンのバディ・ブラナン
(マックス・ベア)戦でのひどい後遺症のためだった。自分がガスを殺したと
悩むトロ。しかしトロは実は弱い。そのことを理解させタイトル戦に挑ませる
エディ。そして、ボロボロにやられたトロは惨敗。彼のファイトマネーを受け取りに
ニックのもとに出向いたエディはその額の少なさに激怒し、トロに自分の取り分
を渡し故郷に帰らせる。そして、ニックの脅しにも屈せずにボクシング界の
腐敗を告発するべく、タイプライターに向かう。

 われらがボギーはこの頃はもう、あまり体調がすぐれなかったのかあまり大きく
動くことはないです。「東京ジョー」では元気に柔道してたのに。
最後にトロを連れ出すときに止めに入ろうとする世話係のヴィンスを空気投げで
投げ飛ばしてる。修行の成果だ。
原作が「波止場」のシュールバーグ、監督が硬派の作品で有名なマーク・ロブソン
なので作品自体はとてもタイトな感じで悪くない。この作品は白黒撮影賞を
アカデミー賞で受賞してるそうで、確かに絵のつくりもグッド。

個人的に見てて思ったのは、出演者のキャラの面白さ。世話係のヴィンスを演じた
のはフェリス・オーランディという俳優だけど、見た目がネプチューン名倉と中山
秀征を足して二で割った感じだし、劇中登場する興行師ワイアハウス(エドワード・
アンドリュース)もいしかわじゅんと大竹まことを足して二で割った感じで、どちらも
なんか印象が濃い。
エドワード・アンドリュースはキャリア豊富な演技派なんだけど…胡散臭さがイイ。
チャンピオン、バディ・ブラナンを演じたマックス・ベアも輪島功一そっくりなんで
親しみがもてたけど、実はこの人本物の元世界ヘビー級チャンプ。
ラッセル・クロウの最新作「シンデレラマン」で、主人公ジム・ブラドック(この人も
実在のボクサー)が闘ったその相手がまさにこの人、マックス・ベア。1934年に
プリモ・カルネラを破り王座についている。と、このことを今知った。どうりでどっかで
聞いた名前だと思った。ブラドック戦はベルトをかけての防衛戦だったのね。
現役時代から映画はそこそこ出演してますな。

 いちばん頑張ってるのはやはりニックのロッド・スタイガー。この俗物っぽさは
最高。金のために、本意ならずもトロの売出しをするエディをボギーは好演。
作品序盤、八百長を看破したエディの友人のテレビレポーター、アートがニックに
関わらないようエディを説得するくだりがあるけど、この部分でうっすらと物語の
結末が見えちゃう。でも、やはり信念のため正義の戦いを挑もうってのは、
かっこいいよな。
自分もそうありたいもんだが、なかなか、ねぇ。
自分も矜持を持っていたいものです。

 まずは、たまっている仕事を片付けてしまわんとなぁ。

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