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August 24, 2005

東京ジョー

 以前、「コロンビア・トライスター フィルムノワールコレクション」というDVD
ボックスを見つけて、内容を見るとvol.1はハンフリー・ボガートの主演作5本で
vol.2がリタ・ヘイワースの「ギルダ」「上海から来た女」を含む5本。なにしろ
これが2004年いっぱいの限定販売ということで、結局悩んだあげくどちらも
手に入れてしまった。小林信彦が週刊誌のコラムで「これは欲しい」みたいな
ことを書いていたことも大きいが、当時の自分にとっては一大決心だったなぁ。
同時に発売されていたリタ・ヘイワース ミュージカルボックスもちょっと欲しか
ったけど、まぁ仕方ない。
限定販売だったのに、今年の10月からまた単品で売るらしいが(;゚д゚)ふたたび
年内限定だと…きつい商売してるわ。

しかーし、こんな感じで買ったDVDがたまるばかりで、これもさっぱり見てなかった
のでこれじゃイカン、ってんで見ました。「東京ジョー」。
昔からハンフリー・ボガートは好きだった。「三つ数えろ」「キー・ラーゴ」「マルタの
鷹」ではかっこいいし、「サブリナ」ではコメディも飄々とこなしている。
近代騎士物語の主人公、レイモンド・チャンドラーが創作したフィリップ・マーロウと
チャンドラーとともにハードボイルドの始祖にして双璧をなすダシール・ハメットの
生んだヒーロー、サム・スペイドの両方を演じているのだ。ハードボイルドのキャラを
とことん具現化した男、ボギー。
アカデミー賞も「アフリカの女王」で主演賞を獲っている。背が高くてスマートでは
ないし、決して男前というわけでもないけど、やっぱかっこいい。
「カサブランカ」も忘れちゃいけない、そんなボギーの「東京ジョー」。

戦後間もない東京に降り立ったジョー・バレット(ハンフリー・ボガート)。空軍に従軍
した彼は戦前銀座で「東京ジョー」というクラブを経営していた。かつて店のあった
銀座に行くと、店はまだ健在。店を友人のイトウに任せていたのだ。再会したイトウ
からジョーは別れた妻トリーナ(フローレンス・マリー)がまだ生きていることを知ら
される。しかし、彼女は再婚していた。イトウに紹介されたキムラ男爵(早川雪舟)
から、彼女の反米行為を知らされたジョーは、その過去を公にしない代わりに
男爵の依頼をうけ航空便の会社を興す。ある日、男爵から3人の男を韓国から
日本に運ぶよう依頼されるが、彼らは戦犯だった。このまま帰国させると政情を
脅かす存在になる。しかも男爵はトリーナの娘を誘拐して、ジョーが断れないように
仕向ける。一方、ジョーの行動を監視していた米軍は男爵の計画を察知し、これを
何としても阻止するためジョーに協力を求める。

 一応、東京でロケもしているけどボギーは来日してない。それっぽい後姿の
男が吸っていたタバコを捨てるとシケモク狙いがぱぱっと集まるのが時代性。
ボギーが「ギンザ、イッチョウメ」なんて車夫に告げるのが驚き。えらいぞボギー。
下手でも日本語を話している。ショーン・コネリーとはえらい違いだ。
店に着くと看板に「東京ヂヨー」って書いてある。中に入るとカンダという太目の
男が出迎える。それをジョー軽くいなしてイトウ登場。「昔は一緒に柔道やったろ」
とその場でいきなり柔道の組手をやりだすイトウとジョー。どう見てもただのコント。
イトウ役はテル・シマダ。「二度死ぬ」の大里社長だ!若い!
調べてみたら、この人「歩け走るな!」にも出てるのか。スタートレックのスールー
=ジョージ・タケイと共演してたとは。
カンダはモリ・ヒデオ。カンダはこのなんとなく油っこいキャラクターで印象に
残る。もう一人、ジョーの会社に雇われる元軍人の日本人、カミカゼの本名が
「カマクラ・ゴンジロウ・カゲマサ」って、いつの時代の名前だ。
早川雪舟の胡散臭さはとてもいい味。キムラ男爵のアジトを突き止めるため
ジョーが芝居を打つんだけどこのときもキムラの手下に「キミ、タスキテクレ」と
ちゃんと日本語を話す。終盤イトウを捜すときも「イトウサンハ?」と日本語を
話す。ボギー、いいぞ。ハンフリー・ボガートはたぶん、真面目な俳優だったの
だと私は確信しました。
みんなそこそこ真面目にやっているだけに、この内容で結果的ににはギャグ
になっちまうのがいちばんのポイント。
劇中、捕らえたキムラの部下を泳がしてトリーナの娘の居場所を突き止め
ようとするんだけど、ジョーと一緒に米軍の建物の2階から逃げるとき雨どい
使って下に降りようとして、手下が摑まったら雨どいが折れて棒高跳びの
失敗状態で下にたたきつけられ、死んでしまうくだりがあるがこれ、「8時だョ
全員集合」のコントみたい。イトウがハラキリして自害するし、日本への見方が
やはり変なところもあるけど、これくらいなら私は許すぞ。悪意も感じられないし。
でも、日本で未公開だったのは仕方ないかなぁ。これじゃ。

こうなると「東京暗黒街・竹の家」(サミュエル・フラー監督)も早くソフト化して
ほしい。発売予定が中止のまんまなんだもの。次はボギーの遺作「殴られる
男」を見よう。

本編とは関係ないけど、見ていて感じたこと。
いつからアメリカにとって日本はけったいな国になったのかなぁ。というか、
アメリカ人の正しい世界はいつからアメリカだけになったのだろうか。
この映画の劇中聞こえる日本語は特に変なところもないから、やはり他国の
文化に対して敬意を持っていた、かつてのアメリカ的高潔さが感じられる所が
ある。
現代のアメリカは、というと…。あまりにも大きな「困ったちゃん」かなぁ。
「アラバマ物語」で強姦罪で告発される黒人・トムを演じたブロック・ピーターズが
先日亡くなったが、何かこれも時代のメタファーじみた出来事。
アメリカ政府よ、もっと謙虚になりなさい。

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