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July 29, 2005

大蔵映画

 個人的には、映画ってまだ芸術としての完成度は絵画とか、演劇とかに
比べるとまだ低いんじゃないかと思っています。
だから、我々一般人の欲するエロ・グロ・ナンセンスへの欲求に対しての
はけ口としての価値はまだまだ高いのでは。クリムトがほとんど春画みたいな
のを描いていた時代から比べると、テクノロジーは進歩している。
その昔、大蔵映画という映画会社があって、社長の大蔵貢はもともと弁士だった
人。東宝で労働争議を起こしたあげく、東宝を離れた人々が1947年興したのが
新東宝という映画会社で、これが1961年に倒産。1955年よりこの会社の社長の座
にあったのが大蔵貢。
新東宝といやあ、「スーパージャイアンツ」なんてすごいの作ってたりしてたけど
基本的には文芸作品が印象に強い。溝口の「西鶴一代女」とか成瀬の「おかあさ
ん」なんかが代表格。
スーパージャイアンツ、何がすごいって宇津井健のもっこり姿とか、この宇津井健
演じる主人公ってまずなぜか幼稚園とかに居つく。ダブルのストライプ柄の背広
着てる奴がオルガン弾いて子供と歌ってるのって、なんだかなぁ。
悪役は思い切り江戸弁口調で、なんか下町風になるところがほのぼの。
ほかにも石井輝夫の「地帯(ライン)シリーズ」とか、中川信夫の「地獄」を頂点と
する怪奇映画のあれやこれや。
中川の「地獄」はぜひ見たい。池内淳子の「花嫁吸血魔」(本人がいやいやながら
特殊メイクしているとの話。本人のキャリアの汚点らしい)も再びDVDになるし。
ああ、またろくでもないコレクションが増えそう。
この「花嫁吸血魔」なんてタイトルみんな一人で考えていたのが大蔵貢。この人の
考えてたすごいコピーは、いっぱい出て来る。
「憲兵とバラバラ死美人」くらいならまだいいけど「九十九本目の生娘」(ほんとは
「九十九本目の妖刀」なんだけど、なぜこうなる)「蛇精の淫」 「女体桟橋」 
「裸女と殺人迷路」 「貞操の嵐」(なんじゃこりゃ) 「黒い乳房」などなど
配給した洋画の邦題も「姦婦の生き埋葬」とか「性本能と原爆戦」とか。
「沖縄怪談逆さ吊り幽霊 支那怪談死棺破り」のように2本に見えて
1本の映画なんて、すごいアイデアもあって感動的。
こういう変な映画を選んで人に見せたがる高橋克彦もどうかと思うぞ。
「からっ風野郎」(主演 三島由紀夫)とか。←これは新東宝とか大蔵ではない
高倉みゆきという女優がいたけど、この人について
「女優を妾にしたのではない。妾を女優にした」
なんて名言もある。大蔵は偉大な人だ。

先ごろ大蔵映画の怪談映画が何本かDVDになって、このうち「沖縄怪談…」
と「生首情痴事件」は見た。「沖縄怪談…」は実は一部フィルムが欠損して
いるので微妙に話がつながらない部分がある。
「生首情痴事件」は妻の財産目当てで結婚した男が妻に睡眠薬を飲ませて
鉄道自殺に見せかけて殺害。だけど首がみつからないまま、その首が
幽霊になってたたり、男の愛人が顔にやけどを負う。さらにこの財産目当てで
組んだ医者と看護婦も、みなたたられ死んでいく物語。
ピンク映画と怪談映画の融合は、枯れたすけべごころをそよっと刺激して
くれます。「怪談バラバラ幽霊」もいずれ手に入れたいし、「怪談異人幽霊」も
ソフト化してほしいなぁ。この4本だけがこの辺りじゃ現存してるんだし。
結局、「死霊の盆踊り」は購入してしまった。「花嫁吸血魔」もたぶん
買ってしまうだろうなぁ、ああ。

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Comments

こんにちは。「憲兵とバラバラ死美人」について書かれているものを探していて、こちらにたどりつきました。どの記事も内容が濃く、楽しませていただきました。TBもさせていただきましたので、よろしければウチものぞいていただければ幸いです。

Posted by: ガットラー総統 | September 13, 2005 at 10:48 AM

総統閣下、ご拝謁をいただき恐縮です。
なんとかトラバなんかの意味を理解してきました、最上屋です。今頃レスつけて
大変失礼しました。
新しいレビュー、お待ちしております。

Posted by: 最上屋 | October 06, 2005 at 10:35 PM

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