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May 16, 2005

思い出したこと

 ちょっと前のことになるけど、衛星放送でしばらくゴジラシリーズを放送
していて、ちょうどゴジラがこないだの「FINAL WARS」で一応シリーズ
終了ということになってたがゆえの安易な企画なのは推察できたけど、けっ
こう単純な私は見てしまった。といっても、たまたまやっていたのが一番
最初の「ゴジラ」だったからなのですが。まぁ、監督が北村龍平では最終作だ
っていっても見る気しないし。ゴジラシリーズが終了だってんで朝日新聞に
矢作俊彦がコラムを寄せていたけど、こっちの方が面白かったしこれを読ん
でちょっと考えた。
なぜゴジラシリーズは終わるのか?
時代が変わったと言ってしまえばそこまでではあるのですが。それで
原点の「ゴジラ」を再見し、映画的に考察したかった時期だったので、これ
はありがたかった。監督の本多猪四郎はもともと黒澤明とともに東宝の若手
のホープというべき監督だったけど、黒澤が肺病の病歴があって徴兵不合格
だったのに対し、本多は召集され兵役に就いたためキャリアが中断している。
復員して東宝に復職したけど、黒澤がもう何本かヒットをものしていたの
に対し本多はまだ代表作がない状態。そんな中、田中友幸プロデューサーが
企画した怪獣映画に、監督として白羽の矢が立った。本人、当初乗り気では
なかったであろうことは推察がつくけど、従軍経験がこの企画意図に応える
ことになったみたいで結局監督を引き受ける。やると決めたら男気満点、水爆
でこの世に蘇ったこの「ゴジラ」のために多量に絵コンテを描いている。
だいたいこの怪獣映画は考えてみればかなり挑戦的な企画で、戦争で失っ
たものをやっと取り返してきて、なんとか復興しつつある現実を映像の中で
ぶち壊しにしようとしている訳で、リアルに創ればかなりの衝撃になる。
原作は香山滋。田中プロデューサーの意を汲んで創造したのが、水爆実験で
目を覚ました巨大怪獣が復興しつつある東京を破壊する物語。ゴリラとクジラ
をあわせて出来上がった名が「ゴジラ」。
特技監督は円谷英二御大。最初は製作が極秘に進められ「G作品」と暗号で
呼ばれることになる。
キャストも魅力的で、主人公は宝田明。ヒロインは河内桃子(キュートです)その
父の科学者が志村喬。その教え子の隻眼の科学者は平田昭彦(かっこいい)
東宝一座みんないい味出している。
 見て改めて思ったのは、とにかく監督の従軍経験が演出に多大に影響して
いると思われること。ゴジラに破壊される銀座松坂屋の前で「お父様の所へ
行くのよ」と死を受け入れる親子の描写とか、ゴジラのために傷ついた人々
の救護所描写がえらくリアルなところでそう思った。まだ戦争の記憶が重い
昭和29年ではこの演出はヘビィだったろうなぁ。テクノロジーの進歩は
幸福か?という命題がこの映画のテーマとして存在しているのが、この後の
さらなる日本の高度経済成長を考えると皮肉な感じもする。
黒澤は本多と同期だったし、実際親友だったのでこの「ゴジラ」の大成功を
とても喜んでいたらしい。この年の4月には「七人の侍」が公開されている。
後に本多は黒澤のファースト助監として黒澤作品に参加。そのまま晩年を
黒澤との友情を大事にして、過ごすことになる。

 こんなの思い出したのは、たまたまファミリー劇場で「帰ってきたウルト
ラマン」の再放送の初回を見て、第2話まで監督が本多猪四郎だったのを
思い出したから。これの本放送の頃はというと、自分はまだ小学1年生の
夢多き少年でありました。おかげで毎年盆暮れは「東宝チャンピオンまつり」
見に行ってたなぁ。本多猪四郎というと、このチャンピオンまつりの特撮
映画の監督というイメージが強くて、実際「ゴジラ」以後は幸か不幸か特撮
映画の専門になってしまった。一般の映画も撮っていたんだけれど、今は顧
みられることがない。再放送を改めて見ると、けれんみのない素直な演出を
しているのがかえって新鮮な感じがした。実相寺演出がウルトラ関係だと
えらく持ち上げられてるけど、素直さに徹した本多演出は今見るとかえって
好感が持てた。このひと、技がないわけじゃなく「ゴジラ」ではきちんと
ホラーの定石を踏んだ構成をしているが、この後は「ゴジラ対キングコング」
を頂点に明るい娯楽性を盛り上げる方向に振っている。ゴジラシリーズは
「メカゴジラの逆襲」まで製作が続いたし、「日本沈没」とか「ノストラダム
スの大予言」などの特撮映画も製作されたけれど、特撮映画の製作縮小に
伴い結果的に本多は仕事が減ってしまうわけで、また原点の一般映画に
戻ることになった。本多猪四郎の齢を経た演出を見てみたかったけど、今と
なってはもうかなわない。
 ウルトラマンシリーズの新作が準備中だそうだけど、今放映中のネクサスは
見ていない。やっぱウルトラマンは一話完結でなきゃ。

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