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April 26, 2005

イル・ポスティーノを見る


 つっこみどころ満載の娯楽映画ばかり見ているのも何なので、以前から
関心のあった映画を見ることにする。イタリア映画は、画がきれいだし。
 公開された当時は、その作品自体の評判もさることながら主演の
マッシモ・トロイージがクランクアップ直後亡くなったという、
壮烈な話が伝わっていたから、そんなに気合の入った作品なのだろうか
と思っていた。原作はアントニオ・スカルメタの小説で、登場する
亡命詩人パブロ・ネルーダは実在の人物。1970年ノーベル文学賞を
受賞している。舞台は1950年頃イタリアのナポリ辺りの小さな島。
この島に世界的詩人パブロ・ネルーダ(フィリップ・ノワレ)がその
共産主義思想の故にチリからイタリアに亡命し居を定める。その彼のための
臨時郵便配達をするのがマリオ(マッシモ・トロイージ)。マリオは詩人と
親しくなり、詩作に関心を深めるけどそんな時、マリオはベアトリーチェ
(マリア・グラツィア・クチノッタ)に恋をする。恋の手助けを詩人に求め
るマリオ。彼女との恋は成就して結婚するのだけれど、詩人は故国に帰ること
に。帰国した詩人はマリオのことを忘れたのか、ずっと音沙汰なし。やっと手紙
が来たと思ったら、詩人の秘書からの荷物発送依頼。詩人の家に行ったマリオ
は、詩人の家に残された録音機で島の音を録音し彼に送ることを思いつく。
 時は流れ、詩人が島に帰ってきた。しかし、マリオはもうこの世を
去っていた。共産党大会で詩人に捧げる自作の詩を朗読するはずが、そこで
起こった暴動に巻き込まれ命を落としていた。詩人は、彼の残した録音を聞き
海辺で彼の思い出にひたる。
 マッシモ・トロイージはかなり体調悪かったのは最初のカットからも窺える。
葉書を眺めているだけなのに、もう息があがってる。自転車が劇中アシとして
活躍するけどとてもこげなかったろうなぁ。坂を下るだけだと本人が乗ってる
けど、頑張ってこいでるのはおそらくスタンドイン(このとき写るのは後姿
ばかりだし)体はものすごく痩せてしまってるし、声はほんとに出ない、とい
うか出せない。気合は、これじゃ入りようがありませんが最後まで演じたのは
すごい精神力です。
フィリップ・ノワレというと「ニューシネマパラダイス」が思い出されるけど
こっちの詩人役はこざっぱりした印象。マリア・グラツィア・クチノッタは
ワイルドな感じの美人ですな。ワールド・イズ・ノット・イナフ(邦題を
もっと考えようよ)にも出演してるそうな…また007か(;一_一)
共産党員の島の郵便局長がいい味出してます。
 マリオの結婚までは軽いタッチのコメディ的なノリ。その後は、少し
重くなるけど全体にくどい演出もなくさらっと見られる。欧米の映画だと
結構こんな風な、「知」へのアプローチを題材に取り込んでいる映画が
結構ありますな。
 タビアーニ兄弟の映画もそうだけど、なんでイタリア映画の田舎は
こんなに素敵なのだろう。自分の島の美しさに気づき、またそれを人に
伝えようとして録音に励むマリオは感動的。
政治的な部分はあまり気にはしなかったけど、実際のパブロ・ネルーダは
1973年のピノチェト軍事クーデターの際、もともと病気だったのが悪化した
上、その状態で尋問までされたりしてさらに悪化させ、そのすぐ後亡くなった。
このクーデターは1973年9月11日発生。この背後にはCIAの活動があった。
 アメリカは正義の国やあらしまへん。
2001年の9月11日にはあの事件発生。因果だ。

 関係ないけど、「幻の湖」も1982年9月11日に封切り。
夏目雅子が亡くなったのは1985年の9月11日。この日は事件が
よく起こる。

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Comments

すごい! とても勉強になります。
一つの映画でここまで周辺情報を押さえてらっしゃるとは本当に博識ですね。
私の拙いレビュー、トラバさせてくらさい。
(オペラ座の怪人のトラバ、ありがとうございました)

Posted by: カゴメ | October 05, 2005 at 11:31 PM

カゴメさん、いらっしゃいませ。
さっぱりおかまいしてませんで、m(__)m
お褒めいただき恐縮です。でも、自分的にはその作品だけでなく
それをとりまくお話にもいろいろ関心があったりするもんで、もともと
知っていることとそれらがつながったりするとなんだか嬉しいのです。
カゴメさんのレビュー、よく見ると私と結構同じものをご覧になっておられる
様子ですので、楽しみにしています。今後ともよろしくお願いします。

Posted by: 最上屋 | October 06, 2005 at 10:31 PM

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